ペアリングワイン

シャンパーニュテロワール探求!Part1

シャンパーニュにもテロワールはある!

「シャンパーニュはどれを飲んでもテロワールを感じない。」

「混ぜられているからテロワールがない。」

「テロワールがないからシャンパーニュをワインとして認めない。」

これらの言葉はどれもワイン愛好家の方から実際に聞いた言葉です。

確かにそういったシャンパーニュもあるかもしれませんが、全てがそうではありません。一部だけを見て勘違いしてしまうのはあまりにも勿体無いです。

テロワールを表現するのに情熱を注ぐ生産者のシャンパーニュを味わって、テロワールを感じ、楽しんでいただけると幸いです。

そもそもテロワールとは?

テロワールとは、ワインの風味に違いを与える主にその土地の性質のことです。フランス語で土地という意味のテール(terre)が由来となっています。

気候・土壌・地形などの環境要因だけではなく、造り手による作業一つ一つも大きな影響を与える要因となります。

◎シャンパーニュ地方のテロワールといえば何が思い浮かびますか?

まずは気候から…

大西洋気候と大陸性気候の2つの気候の影響を受けます。大西洋気候の影響で降雨量が少ない、大陸性気候の影響で夏は日照に恵まれ、冬は霜害が起きることがあります。

地形に関しては、シャンパーニュ地方は大きく5つの地域に分けることができます。

モンターニュ・ド・ランス、コート・デ・ブラン、コート・ド・セザンヌ、ヴァレ・ド・ラ・マルヌ、コート・デ・バールが主な産地なのですが、コート=丘、モンターニュ=山といった名の由来通りに、丘陵が多く存在します。

シャンパーニュ地方は、パリ盆地の地盤沈下によって北側が隆起してできた丘陵地帯が主な生産地域となっています。

丘陵は南、南東、東向き斜面なので日照が均等に行きわたり、放射照度が高いのでブドウ栽培に優れています。

こうして丘陵の多いシャンパーニュ地方は、17世紀には「丘陵のワイン」と呼ばれて親しまれていました。

そして、5つの県にまたがって319のクリュがあり、クリュごと、区画ごとで多種多様な地形に恵まれています。

土壌に関しては、大変有名な白亜質石灰岩土壌を代表とする石灰質土壌が多くを占めます。

科学的に証明はされていませんが、シャンパーニュから感じられるミネラルは、この石灰質土壌由来のものとされています。

白亜質石灰岩の土壌には、海洋微生物の死骸(※写真 コッコリス)や、解石結晶粒、矢石類(古代の軟体動物の甲羅)の化石が含まれていて、多孔質で保水性が高く、乾燥する夏にもブトウ樹に適度に水分を与えることが出来ます。

石灰質土壌の他にも様々な土壌があるのをご存知でしょうか?今回はシャンパーニュの中では割と珍しい砂質土壌のおすすめのシャンパーニュを紹介させていただきます。

メルフィ

ランスの北西にサン・ティエリー山塊の丘陵の標高120mのところにメルフィという小さな村があります。

あまり知られていませんが、18世紀には現在グラン・クリュとして有名な村々と同じように高値でブドウが取引されていた銘醸地でした。

戦争によってブドウ畑は壊滅的な被害に遭い、いつの間にか忘れられた銘醸地となってしまいました。

メルフィは主に砂質土壌で、下層土は石灰質。海抜によって砂岩、粘土、石灰と様々なタイプの土壌が混ざり、同じ村の中でも多様な個性に溢れています。

砂質土壌はフィロキセラの被害を免れる為、メルフィにも接ぎ木していない自根のブドウ樹が見受けられます。

かつて銘醸地として知られたメルフィの名を再び世に知らしめたのが今回紹介させていただくシャルトーニュ・タイエの現当主アレクサンドル・シャルトーニュです。

先代までもが最初は理解を示さなかった彼のメルフィやシャンパーニュ造りへの情熱がすべてを動かし、現在の評価まで引き上げました。

砂質土壌の個性とは?

砂質土壌は、水はけがよいので根腐れが起こりにくい、またフィロキセラが生存できないので被害に遭わず、自根のブトウ樹で栽培することが可能です。

土壌のブドウから造られたワインの個性はというと、繊細で華やか、伸びがよくサラサラとしたテクスチャーで重心が軽やかな印象のワインが多いです。

ひと昔前まで軽いワインが出来るとして軽視されるところもありましたが、昨今は出来上がるワインのエレガントさからポジティブな印象へと変わってきています。

しかし忘れてはならないのが、土壌は表土だけではなく、目には見えない土の中の地質も関係して味わいやテクスチャーに影響を与えるということです。

アレクサンドル・シャルトーニュ

ジャック・セロスの当主であるアンセルム・セロスに師事し多大な影響を受けたアレクサンドルは、機械や化学薬品を用いずに、自然環境を守り馬の助けを借りながら昔ながらのブドウ栽培を行っています。

16世紀にメルフィ村の村長だった先祖が開始し、代々受け継がれてきたブドウ栽培に関しての記録を読んだアレクサンドルは、昔のメルフィではブドウの樹1本につき4房までしか実をつけさせなかったことを知り、通常の半分以下に収量を抑えたりと過去の栄光あるメルフィを復活させるために力を尽くし続けています。

ちなみに、接ぎ木無しのムニエ100%のLes Barresは人気が高く見つけるのが難しいですが、見つけたらぜひお試しください。

シュマン・ド・ランス / シャルトーニュ・タイエ

▶︎シュマン・ド・ランス2012 シャルトーニュ・タイエ

肥沃で鉄分の多い鉄分の多く含まれたサネティアン期の砂質土壌、下層土は石灰質土壌。

このシャンパーニュは赤みがかった鉄分の多い土壌に植わっていて、ブドウの根もほんのりと赤みがかり、ワインの味わいも鉄の味わいが感じられます。

砂質土壌由来の靭やかさ、石灰質土壌からのミネラルなどもしっかりと感じることができます。

そして、メルフィのテロワールを表現するアレクサンドルの情熱も純粋に驚くほどの美味しさ、完成度の高さから感じることが出来ます。

蜜柑や洋梨のコンポート、アーモンドのロースト、蜂蜜バターの穏やかで温かみ香りに、鉄、スモーキーなニュアンス。

ゆったりとしたテクスチャーで、旨味と塩味を感じるミネラル、緊張感のあるキレの良い酸がしなやかに余韻へと繋がります。

このシャンパーニュは、発酵を終えて落ち着くのに時間がかかるので、最低でも4年以上の熟成が必要です。

瓶詰めするまでにも最大2年続くことがあります。2012年のヴィンテージは今まさに飲み頃を迎えています。

メルフィのテロワールに想いを馳せて…
是非機会があればアレクサンドルのシャンパーニュを楽しんでみてくださいね。

* 原産国:フランス
* 産地:シャンパーニュ / モンターニュ・ド・ランス / メルフィ
* 品種:シャルドネ100%
* 生産者:シャルトーニュ・タイエ
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* 容量:750ml

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Haruka Kageyama

JSA Sommelier
The Ritz Carlton Tokyo Azure45や、阿部誠氏が率いる「東京ぶどう酒店」や「サロン・ド・シャンパーニュ ヴィオニス」、フランスのシャンパーニュ地方ランス「Domaine les Crayéres」にて10年以上サーヴィス、ソムリエールとして働く。
現在様々な形でワインを広めるべく雑誌やウェブメディアにて執筆中。 Haruka Kageyamaの記事一覧 

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