スペインのワイン産地と地元料理はエリアによってこんなに違う
スペインはワイン生産高が世界3位、日本の輸入量もチリ、フランス、イタリアに次いで第4位です。
2008年に比べると約2倍以上の輸入量になっています。
飲みやすく、料理に合わせやすいスペインワインはテーブルワインだけではなく、スパークリングワインやシェリー酒など種類が豊富です。
今回は、おすすめエリアのワインとエリアの自慢料理も含めてご紹介します。
スペイン各地で作られ、そして飲まれている:赤ワイン
スペインといえばワイン。その中でも特に赤ワインは各地で作られています。スペインの代表的なワインの産地はどこかとスペイン人に聞くとほぼ「リオハ」という答えが帰ってきます。
リオハはスペインの北東部ラ・リオハ州を中心にしたエリアにボデガ(ワイン貯蔵室)があるワインです。リオハ州のアーロ(Haro)では、「ワイン戦争(La batalla del vino )」と呼ばれるお祭りを毎年6月29日に開催するほどです。
ワイン戦争は赤ワインで衣服が葡萄色に染まるまでワインをかけ合います。リオハは歴史のあるワインの産地ですが、リオハ以上に注目を浴びている産地がリベラ・デル・ドゥエロ(Ribera del Duero)です。
マドリードより北部、美しいカテドラルで有名なブルゴスのあるカスティーリャ・イ・レオン州です。リオハの方がマイルドでやわらかな味わいがあります。
リオハは昔からワインの産地だけに昔から伝えられたワインをたっぷり使ってなおかつワインにぴったりのお料理があります。パタタ・リオハーナはリオハ風じゃがいも。
リオハのワインにはもちろん、リベラ・デル・ドゥエロにも、その他の赤ワインにぴったり。
【パタタ・リオハーナ】
▼材料
じゃがいも…3個(そぎ切り、肉じゃがに入れるような感じ)
玉ねぎ…大みじん切り
にんにく…1片みじん切り
人参薄切り(万能調理器、スライサーなどで小さく)…1本〜2本
ピーマン(緑)…1個〜2個(輪切り)
ワイン…150cc
パプリカ…ひとつまみ
クミン…ひとつまみ
ローリエ…2枚
黒胡椒…好みで
塩…小さじ半分
ソーセージ・ハムなど加工肉…100g(一口大に切る)
オリーブオイル(できればバージンエクストラ)…大さじ1
▼作り方
①オリーブオイルを熱してにんにく、玉ねぎ、人参、ピーマンの順に入れて炒めます。この時、お塩もパラパラと。しなしなになったらじゃがいもとソーセージ、パプリカ、クミン、黒胡椒を足して軽くかき混ぜながらも足して炒めます。
②ワイン、ローリエを入れて煮ます。じゃがいもが柔らかくなったらできあがり。スペインでは加工肉としてチョリソを入れますが、好みの加工肉でOKです。
スペインのスパークリングワイン:カバ
カバはフランスのシャンパーニュと同様のスペインのスパークリングワインですが、もっとカジュアルに楽しめます。
カタルーニャ地方のペネデス地方が有名ですが、各地で作られ実はポルトガルとの国境近くにあるエストレマドゥーラのカバもスペイン国内では人気で、その他リオハなどワインの産地ではワインと一緒に作られています。
カタルーニャのDescregut Brut Nature ReservaやエストレマドゥーラのPuerta Palma Brut がおすすめです。
お料理はヘルシーな野菜料理がぴったり。カタルーニャ地方のコカ・デ・ベルジューラ(野菜のコカ)。
コカはくるみやアーモンド、レーズンなどを入れる甘い焼き菓子が有名ですが、この場合は塩味でパン生地。
チーズ抜きのピザと考えていただければわかりやすいかもしれません。
生地はパン生地ですが、市販の冷凍ピザ用生地を使うのでとても簡単にできます。
【コカ・デ・ベルジューラ】
▼材料
ズッキーニ
なす
玉ねぎ
ピーマン(赤と緑)
オリーブの実*(黒)
オレガノ
黒胡椒
オリーブオイル
塩
冷凍のピザ生地
▼作り方
①野菜類は全部薄切り。表面にオリーブオイルを刷毛でさっと広げて、野菜をのせます。
③オリーブの実、好みでツナやアンチョビーを散らし、オレガノ、黒胡椒、塩を全体に振ってオイルをさっとかけます。
④180度のオーブンで20〜25分。
スッキリしたカバとの相性がバッチリのメニューです。
イギリス小説にも登場する醸造酒:シェリー酒
イギリスの小説を読むとよく出てくるシェリー酒は、原産はスペインです。
ティータイムには少し早いからシェリー酒でもいかがですか?という感じで用意したり、ランチタイムの少し前に簡単なおつまみと一緒にいただいたりします。
シェリー酒は、スペイン語でヘレス(Jerez)。
アンダルシア、南西部にあるカディス県ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ、サンルカール・デ・バラメーダ、エル・プエルト・デ・サンタ・マリアで作られています。
繊細なフィノは、サンルカール・デ・バラメーダで作られるとマンサニーリャと呼ばれ、珍重されます。
オロロッソは香り豊かなという意味で、じっくり熟成したタイプです。フィノとオロロッソの中間に当たるのがアモンティリャードです。
ペドロ・ヒメネスと呼ばれる種類のブドウを使って作られたシェリー酒「ペドロ・ヒメネス」はソースに使われます。
サルサ・デ・ペドロ・ヒメネスイ(ペドロ・ヒメネスのソース)はソースの缶詰だけではなくペドロ・ヒメネスのソース和えの魚や肉類の缶詰や瓶詰めが販売されています。
【サルサ・デ・ペドロ・ヒメネス】
▼材料
青ねぎ…2本(みじん切り)
干しぶどう…50g
出汁(スープを溶かした水でも)…250g
ペドロ・ヒメネス(シェリー酒)…150cc
ブラウンシュガー(普通のお砂糖でも)…大さじ半分
コーンスターチ…小さじ半分(少量の水にとかしておく)
オリーブオイル…大さじ1
塩…小さじ半分
▼作り方
①干しぶどうは容器に入れて水(材料に載っていません)をひたひたに入れ、電子レンジで30秒間温めます。
②取り出して20分間放置し、柔らかくします。その間、ねぎをオリーブオイルで炒め、塩を加えます。
③軽く混ぜてお砂糖もプラスし、ペドロ・ヒメネスを入れかき混ぜながら火を通します。
④干しぶどうは水切りをして、鍋に加え、かき混ぜ続けます。コーンスターチを足して、どろっとした感じになるまでかき混ぜて出来上がりです。
豚肉、牛肉、鴨肉のソテーにぴったりです。
デザートワイン・モスカテル
モスカテルもシェリー酒の一種ですが飲み方や雰囲気がシェリー酒とは少し違うのでシェリー酒とは別に説明します。モスカテルはマスカット種を天日に干して、干しぶどうにした後で醸造したシェリー酒です。
そのためとても甘いことが特徴で、スペイン在住者はみりんの代わりに使って肉じゃがなどを作りますがなかなか美味しくできます。フルーティーで甘い香りがスイーツをいただくときにもぴったりでケーキやチョコレートにもぴったりです。レーズンバターなどにも合います。
とても甘いのですが、飲んだ後にスッキリした後味もあることが魅力です。食後に小さなグラスで少量いただくと満足感が持続します。
スペインのワインを気軽に楽しもう!
今回はスペインのワインと地元料理をご紹介いたしました。最近はスペインのワインが気軽に購入できるようです。
スペインは太陽が降り注ぐ国ですから、日光をたっぷり浴びたぶどうは甘みが強く発酵しやすいといメリットがあります。スパークリングワインのカバは、シャンパーニュよりもカジュアルにいただけ、飲んだ後もスッキリした味わいです。
イギリス人に人気で今では世界中で飲まれているシェリー酒は栓を開けた後もしばらく美味しさが持続することが魅力。ワインとして飲むだけではなく、フルーツなどを加えてサングリアにしたり、炭酸で割ってティント・デ・ベラーノというカクテルにしたりして楽しみます。
スペインではほぼどのエリアでも地元のワインがありますから、旅行に行かれた時は各地のワインを楽しんでください。
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スペイン在住20年で現在アンダルシア在住。
アンダルシアにて調理師免許を取得し、スペイン中を歩き回っています。
クラシック音楽とワインを楽しむ毎日。
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