ペアリングワイン

ご当地食材とワインのペアリング〜山形編〜

日本の食とワインを支える

国内の様々な産業を支えていくために私たちにできること。それは、今までよりも、より日本のものを楽しむこと。日本には美味しい食産物が沢山あります。そしてワインも。それらを守るためにも、積極的に日本産を楽しんでみませんか?

今回は、山形のご当地食材と山形ワインのペアリングを提案させていただきます。

山形のワイン

山形は昼夜の寒暖差があり、秋雨が少なく果樹栽培に適した気候で、ブドウだけでなく、さくらんぼ、ラ・フランス、リンゴなども有名で古くから果樹栽培が盛んです。東北でのワイン生産量も1位を誇ります。

1878年より高畠町にて地域興しの一環としてワイン造りが始められました。明治時代には東北最古のワイナリーである赤湯町の酒井ワイナリーにて、甲州の栽培が始まり、栽培が増えましたが、1916年からフィロキセラの壊滅的な被害を受け、晩生の甲州よりも早く収穫ができるデラウェアへの改植が広がります。そして、現在デラウェアの生産量日本一に輝いています。

1970年頃より欧州品種の栽培が少しずつ増えています。品質の高いブドウができるため、3〜4割は県外のワイナリーへ卸し、全国の中でも卸す割合が最も多いのも山形の特徴です。2016年に、上山市『かみのやまワイン地区』南陽市『ぶどうの里なんよう』がワイン特区として認定されました。伝統的なワイナリーに加え、情熱溢れる新生ワイナリーが増えていて大注目の産地です。

おみ漬け

山形特産の青菜(芥子菜)を刻み、他の野菜とともに漬けた漬物で、山形内陸部の冬の郷土料理です。余った野菜を無駄にしない手法として近江商人が伝えたため、近江漬けと呼ばれ現在のおみ漬けとなりました。

漬物はお酒だけではなく、ワインのおつまみとしても素晴らしく、特に甘酸っぱいデラウェアのワインと良く合うので、是非合わせてみてください。

▶︎イエロー・マジック・ワイナリー ヒップ・ホップ・デラ

イエロー・マジック・ワイナリーは、2019年山形県赤湯にできたばかりの新生ワイナリーです。代表の岩谷さんは滋賀のヒトミワイナリーにてデラウェアのワインが注目される前からデラウェアのワインを造り続け、デラウェアの評価を高めた人物といっても過言ではありません。そんな岩谷さんが満を持してデラウェアの聖地山形県赤湯にてワイナリーを開きました。

このヒップ・ホップ・デラは弾ける泡が心地よく、ヒップホップのようなお尻浮き感が感じられる楽しいワインです。レモンの果皮、すりおろしリンゴ、マスカット、ほんのりヨーグルトやイーストの香り、ジュースのような飲みやすさがあり、澱は旨味が弾けていて飲み進めるほどに旨味が強くなります。きめ細やかな泡立ちと余韻に残るレモンの果皮のような爽やかな苦味が心地よいワインです。

おみ漬けと合わせると、ワインのグリーンノートと同調し、爽やかな風味が豊かに感じられ、ヨーグルトのような風味と漬物ならではの風味もマッチし、山形青菜の辛さに甘酸っぱいデラウェアの風味や、泡の刺激が心地よく調和します。

* 原産国:日本
* 産地:山形
* 品種:デラウェア
* 生産者:イエロー・マジック・ワイナリー
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* 容量:750ml

いも煮

芋煮は山形を代表する郷土料理としてとっても有名ですが、内陸と庄内で具と味付けが違うことをご存知ですか?内陸は牛肉を用いて醤油を使って味付けるのに対して、庄内は豚肉を用いて味噌で味付けます。

どちらも美味しいのですが、今回は内陸の芋煮を紹介します。このいも煮は、贅沢にも米沢牛の牛肉を使用し、中には上質な肉の脂が溶けて旨味が詰まっています。そして、里芋、こんにゃく等と合わせて醤油でじっくり煮込んだ山形自慢の郷土料理です。

合わせるワインは、山形を代表する老舗ワイナリーの甲州がおすすめです。

▶︎酒井ワイナリー 甲州

江戸中期からの歴史ある赤湯の自社畑の甲州と、天童市の契約農家の甲州のブレンド。樽熟成を12ヶ月施し、一升瓶にて貯蔵後に、ノンフィルターで上澄みのみを瓶詰めし直し出荷されています。

ドライアプリコット、グレープフルーツ、りんごのコンポート、生姜、木の温もりを感じる香り、ピュアな果実味に、塩味がかった旨味とミネラル、しっかりとした酸味が特徴的で、かすかに枇杷の皮のような苦味と余韻には木桶のような和の木の温もりを感じる香りが残ります。

このワインのもつ木桶のような香りと醤油の風味が絶妙にマッチし、甲州本来の懐の広さで芋煮の旨味たっぷりの出汁にぴったり寄り添います。

* 原産国: 日本
* 産地:山形
* 品種: 甲州
* 生産者:酒井ワイナリー
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* 容量:750ml

鯉の甘煮柔らか煮

鯉の甘煮は、鯉を輪切りにして、醤油、砂糖、酒で煮込んだ山形の郷土料理です。内陸で水産資源の乏しい米沢の地で、鯉を貴重なタンパク源として養殖し始め、今では『米沢鯉』のブランドで知られています。

鯉は『来い』と迎え入れられる喜びを意味し、滝のぼりのように上昇を意味することから縁起の良い食材とされています。生産者は減少傾向にありますが、今でも結婚式やお正月などハレの日に主に内陸で食されています。

合わせるワインは、甘煮の甘やかな味わいとマッチするマスカット・ベリーAのワインがおすすめです。

▶︎タケダワイナリー kamioginoto 843-5

タケダワイナリーは山形県上山市に位置し、使用するブドウは全て山形県産のものを使っています。このワインは、山形県天童市の契約農家である花園農園の花園周一郎さんがワイン名にもなった住所上荻野戸843–5に位置するブドウ畑で栽培したマスカット ・ベリーAを100%使用して造ったワインです。

イチゴキャンディ、ラズベリー、スミレの華やかで可憐な香りや、ほんのりと醤油やヴァニラなど甘やかながらも落ち着いた香り、なめらかで豊かな果実味が優しい甘さを感じさせ、しなやかな酸味と溶け込んだタンニンが奥行きを感じさせます。

ワインのもつイチゴキャンディや醤油の香りが、鯉の甘煮の風味とマッチし甘やかなタレの風味と良く合います。

* 原産国: 日本
* 産地:山形
* 品種: マスカット・ベーリーA
* 生産者:タケダワイナリー
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* 容量:750ml

山形のご当地食材とワインのペアリングをお楽しみいただけると幸いです。

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Haruka Kageyama

JSA Sommelier
The Ritz Carlton Tokyo Azure45や、阿部誠氏が率いる「東京ぶどう酒店」、「サロン・ド・シャンパーニュ ヴィオニス」、フランスのシャンパーニュ地方ランス「Domaine les Crayéres」にて10年以上サーヴィス、ソムリエールとして働く。
現在様々な形でワインを広めるべく雑誌やウェブメディアにて執筆中。 Haruka Kageyamaの記事一覧 

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