ペアリングワイン

ご当地食材とワインのペアリング〜新潟編〜

日本の食とワインを支える

国内の様々な産業を支えていくために私たちにできること。それは、今までよりも、より日本のものを楽しむこと。日本には美味しい食産物が沢山あります。そしてワインも。それらを守るためにも、積極的に日本産を楽しんでみませんか?

今回は、新潟のご当地食材と新潟ワインのペアリングを提案させていただきます。

新潟のワイン

新潟のワインといえば、日本のワインぶどうの父と呼ばれる川上善兵衛氏が1890年、新潟県上越市に岩の原葡萄園を開設したことから歴史が始まります。地域の発展を考え、豪雪地帯でも育つぶどうを求めて品種改良を行った結果、有名なマスカット・ベーリーA、ブラック・クイーンなど、22品種ものぶどうを世に送り出しました。

冷却設備の無い時代から、発酵温度のコントロールや、ワイン熟成庫の温度管理を、冬場に積もった雪を利用して行なったことなど新潟の気候風土に合わせたワイン造りが行われてきました。一度は廃止されましたが、現在再び環境保護の観点から復活し、雪による冷却が行われています。

そして、今もっとも新しいワイン産地として新潟が注目されていることをご存知ですか?海と砂に囲まれた新潟ワインコーストは、スペインのリアスバイシャスの気候と新潟の気候が似ていることに着目し、新潟の海岸地帯に位置する砂質の土壌から素晴らしいアルバリーニョなどのワインが次々に産み出されています。

1992年カーブドッチ・ワイナリーが創設され「国産生ぶどう100%、かつ欧州系のワイン専用種100%のワインを造る」という当時では考えられなかった目標を掲げて、ワイン未開の地だった新潟の海岸地域が、世界に誇る日本のワイン産地として発展して現在では5軒の意欲的なワイナリーが集まっています。

新潟のご当地食材 ①くろさき茶豆

新潟県黒崎名産のくろさき茶豆は、豊かな香りとコク深く甘みのある味わいが特徴です。

茹で上げた時のくろさき茶豆の香りの良さを超えるものとは出会えていません。その品質の高さ故に『枝豆の新潟魚沼産こしひかり』とも呼ばれています。

合わせるワインは、シンプルな茹で上げた茶豆と、スッキリとしつつも海のミネラルが感じられるコクのある白ワインです。茶豆の甘さを引き出し、コク深さが同調して、より味わい深く感じられます。

▶︎ドメーヌ・ショオ ”Some people talk to animals.Not many listen though”

日本の自然派ワイナリーとしてカルト的人気を誇るドメーヌ・ショオ。ワイン名には『動物に話しかける人はいるけど、聞こうとする人はほとんどいない』という意味で、『まずは聞くことから・・・ いいかい?耳を傾けるんだ。物事のほとんどの問題は、聞いていないことから始まっているんじゃないかな。本質が分かっていないのに解決できるかい?静かに、穏やかに、耳を澄ますんだよ。』とのメッセージが込められています。深いメッセージ付きのワインで、なかなか個性的ですね。

新潟ワインコーストは主に砂質土壌で、繊細で華やかな個性がワインに齎されています。リンゴのコンポート、パイナップル、パッションフルーツ、青草、ほのかにローストしたアーモンドやヴァニラのの香り、滑らかで凝縮した果実味、潮風からの塩味、ジュワっと広がる旨味と溌剌とした酸がセイブリーな印象の辛口白ワインで、シンプルに塩茹でした茶豆と塩味の感じるミネラリーさが同調し、旨味がより豊かに感じられます。

* 原産国:日本
* 産地:新潟
* 品種:シャルドネ
* 生産者:ドメーヌ・ショオ
* 味わい:甘口☆☆☆☆★辛口
* 容量:750ml

新潟のご当地食材 ②タレカツ

新潟が誇るB級グルメ『タレカツ丼』は、甘辛い醤油ダレの味わいが豊かで食欲をそそります。

合わせるワインは、こちらも新潟が誇るブドウ品種マスカット・ベリーAのワインです。甘辛い醤油ダレが繋ぎ役になってワインとの絶妙なペアリングを実現します。

▶︎岩の原葡萄園 深雪花

岩の原葡萄園の看板銘柄である深雪花は、その酒質を可憐な雪椿の花に喩えて名付けられたワインです。

甘く熟したラズベリーやブラックべリーの香り、菫の花や、甘香ばしい醤油、ヴァニラの豊かな香り、滑らかな質感に、熟度の高い果実味、コクがあり、まろやかでフレッシュな酸と柔らかなタンニンがあり、以前よりも樽香が抑えられ、酸のある印象です。

甘やかで樽熟成による甘香ばしい醤油にも似たフレーヴァーがタレの味わいと同調し、フレッシュな酸味と柔らかいタンニンが程よく引き締めてくれます。

* 原産国:日本
* 産地:新潟
* 品種:マスカット・ベリーA
* 生産者:岩の原葡萄園
* 味わい:甘口☆☆★☆☆辛口
* 容量:720ml

新潟のご当地食材 ③一夜干しイカ

日本海は夏に真イカの漁場で沢山のイカが獲れます。そして、一晩干すことで旨味が凝縮した味わいになります。

焼くだけでふっくらとした柔らかい食感と、旨味がしっかりと感じられます。

一夜干しイカに合わせるおすすめのワインは、新潟ワインコーストの代表品種アルバリーニョの白ワインです。海のミネラルが感じられるワインは魚介類との相性抜群です。

▶︎フェルミエ アルバリーニョ

新潟ワインコーストのテロワールを表現するこのワインは、アルバリーニョをステンレスタンクで発酵熟成させていて、フレッシュレモン、白桃のコンポート、アプリコットなどのフルーツや、白い花の香り、やや厚みのあるテクスチャーに豊かな果実味、ほんのりと塩味がかっていて、クリスピーな酸が印象的な辛口白ワインです。

ふっくら柔らかな真イカの食感とやや厚みのある果実味のワインの質感が合い、イカの海の風味とワインから感じるほんのりとした塩味が同調し、クリスピーな酸がイカの旨味を引き立てます。

* 原産国:日本
* 産地:新潟
* 品種:アルバリーニョ
* 生産者:フェルミエ
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* 容量:750ml

ご当地の食とワインを合わせて旅行気分が味わえますね。

楽しいワインライフをお過ごし下さい。

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Haruka Kageyama

JSA Sommelier
The Ritz Carlton Tokyo Azure45や、阿部誠氏が率いる「東京ぶどう酒店」、「サロン・ド・シャンパーニュ ヴィオニス」、フランスのシャンパーニュ地方ランス「Domaine les Crayéres」にて10年以上サーヴィス、ソムリエールとして働く。
現在様々な形でワインを広めるべく雑誌やウェブメディアにて執筆中。 Haruka Kageyamaの記事一覧 

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