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旅するワイン!ジュラ地方の自然派ワイン

ワインを飲んで旅をしよう

フランス東部スイスと国境を隣接する位置にあるジュラ地方は、自然派ワインの愛好家に最も愛されるワイン産地です。ジュラ山脈の山々に囲まれた厳しい環境の中で育まれたブドウを使った名産のワインはとても特徴的です。

最も代表的なものは、日本語で黄色いワインという名の『ヴァン・ジョーヌ』。ヴァン・ジョーヌとは、白ブドウ品種のサヴァニャンから造られる、ワインの熟成中にウイヤージュ(蒸発して量が減った分を補充)を敢えて行わず、ワインを空気に触れさせることによって2〜3年で表面に酵母の膜ができ、それによって酸化的で複雑な風味が齎された伝統的な白ワインです。

ヴァン・ジョーヌと名乗るには、6年3ヵ月という長い熟成期間の間に一度のウイヤージュも許されません。熟成によってワインが目減りすることに由来する伝統的なクラヴランという620mlのボトルに瓶詰めされるのも特徴です。

ヴァン・ジョーヌは、熟成中に忘れ去られたことによって偶然生まれたワインですが、今や地元の人たちが、『ジュラの黄金』と称するこの地を代表するワインです。

そして、藁の上で乾燥させて糖度を高めて造られたことが由来の藁ワイン『ヴァン・ド・パイユ』は、砂糖漬けのフルーツやキャラメリゼにしたアーモンドやヘーゼルナッツの風味をもつ素晴らしいデザートワインです。

また、ジュラ地方の赤ワインは、繊細でチャーミングな味わいのプールサール、スパイシーでタンニンが尖ったトゥルソーを用いたものなど、こちらも個性が際立っています。瓶内二次発酵のスパークリングワイン、クレマン・ド・ジュラも生産されています。

ジュラ地方名産の食材は、山々で採れたジロール茸やサクランボ、湖からはザリガニ、川で釣り上げられるマスや日持ちのするシャルキュトリーやチーズなど。この地を代表するモルトー・ソーセージという豚肉加工品は、チュイエと呼ばれる農家で燻製して作られる非常に伝統的なソーセージです。

ジャガイモやバゲットとともにカンコワイヨットを使ったチーズフォンデュで食べると絶品です。他にもモン・ドール、モルビエ、コンテなど個性豊かなチーズの産地でもあり、ジュラ産のワインとの相性はよく知られていますね。

郷土料理には、Poulet au vin jaune という鶏のヴァン・ジョーヌ煮込みがあります。名産のモリーユ茸や生クリーム、バターなどを加えた伝統的な家庭料理です。

そして、Écrevisse sauce nantuaというザリガニのナンチュア・ソース添えや、Gaudesというトウモロコシを使った粥や、Soupe aux Ceriseというサクランボのスープなどもこの地の特色あるお料理です。

おすすめお取り寄せグルメ

現地に行かずともジュラのとびきりの食材がネットで簡単に購入できます。飲食店に卸されずに余ってしまっている現状もあり、プロが使う食材が手に入りやすくなっていますので、是非ご活用くださいね。

▶︎ブレス鶏

ブレス地方の名産品ブレス鶏は、数多くの食用鶏の中でもフランスで唯一AOPに登録されたブランド鶏で、その味わいから『世界一の鶏肉』と称されています。美食家として知られるブリヤ・サヴァランもブレス鶏の味わいを称賛したと言われています。

ブレス鶏の美味しさの理由は、肥育期間に入るまでほぼ野生同然で育てられるため、よく動き回り、しっかりと締まった肉質になることです。そして、かつては湖だったこの地域には地中に鶏たちのエサとなる沢山の虫やミミズが生息していて、良い栄養になっていることなどが関係します。

更にこちらのブレス鶏の生産者ミエラルでは、法律での基準よりも高いレベルで飼育しているため、ブレス鶏の生産者の中でもトップクラスの品質です。プーレ・オ・ヴァン・ジョーヌを作るのに、是非おすすめです。

注目の自然派Domaine Labet

1974年から長きに渡り自然派ワインを造り続けてきたドメーヌ・ラベ。2013年1月1日にお父様が完全引退。ボーヌの醸造学校を卒業し、ブルゴーニュの名門ドメーヌ・ラモネやアフリカで経験を積んだジュリアンが責任者を務めています。ジュリアンが個人的に始めたDomaine Jelien Labetもまた注目に値する素晴らしいワインを造り出しています。

彼はジュラの畑でテロワールを尊重したワイン造りに取り組んでいて、生産量が少ないため入手するのは大変ですが、是非様々なキュヴェをお試しいただければと思います。

▶︎ヴァン・リクルー ラ・パイユ・ペルデュ ドメーヌ・ラベ

ヴァン・ド・パイユの規定アルコール度数に到達せず、アルコール度数9.7度。それ故、ヴァン・ド・パイユの代わりにパイユ・ペルデュ(失われた)と名付けられたお茶目なキュヴェです。

マロングラッセ、アプリコットの蜂蜜漬け、甘苦系スパイス、麦藁、クルミやアーモンド、高級なメープルシロップのような芳醇な香り。濃厚な甘さがありつつも、美しく広がる酸味がなんとも甘美な味わいで、ほんのりと感じられる麦藁の風味が温かい親しみを感じさせます。

認定されなくても関係ないとびっきりの美味しさで、むしろ今まで飲んできたヴァン・ド・パイユよりも格段上の旨味と複雑味が堪能できます。

* 原産国:フランス
* 産地:ジュラ
* 品種:シャルドネ、サヴァニャン、プールサール
* 味わい:甘口★☆☆☆☆辛口
* 容量:375ml

ワインと合わせて楽しみたい絶品ケーキ『Toutché』

フランシュ=コンテでは、古くから家族の誕生日などに家庭で焼かれてきた伝統的なケーキがあります。バターをたっぷり使ったリッチなブリオッシュ生地の上に爽やかなサワークリームをのせて焼き上げられています。

▼材料(2人分)
[ 生地用 ]
小麦粉…530g
砂糖…50g
常温バター…60g
卵…2個
牛乳…250ml
ドライイースト…20g

[ クリーム用 ]
サワークリーム…150g
生クリーム…100g
卵黄…2個
砂糖…60g

▼作り方(2人分)
①まずは小麦粉と砂糖をよく混ぜ、バターとを加え混ぜます。牛乳とイーストを混ぜ合わせて滑らかな生地になるまで捏ねます。
②捏ねたら室温で1時間から1時間30分一次発酵させ、約2倍の大きさになるまで待ちます。
③型の中に入れて手で型作り、底の部分はフォークを刺して細かな穴を開け、卵黄を塗っていきます。
④ボウルにサワークリーム、生クリーム、卵黄、砂糖を入れてよく混ぜ合わせます。
⑤混ぜ合わせたクリームを注ぎ180°Cに予熱したオーブンで30分加熱して、取り出したケーキに砂糖をほんの少量振りかけたら完成です。

紹介したワインとともに味わうことで、ジュラの家庭で味わっているかのような温かなひとときを過ごしていただけるかと思います。ボナペティ!

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Haruka Kageyama

JSA Sommelier
The Ritz Carlton Tokyo Azure45や、阿部誠氏が率いる「東京ぶどう酒店」、「サロン・ド・シャンパーニュ ヴィオニス」、フランスのシャンパーニュ地方ランス「Domaine les Crayéres」にて10年以上サーヴィス、ソムリエールとして働く。
現在様々な形でワインを広めるべく雑誌やウェブメディアにて執筆中。 Haruka Kageyamaの記事一覧 

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