ペアリングワイン

旅するワイン!南西地方の自然派ワイン

ワインを飲んで旅をしよう

今回ご紹介するフランスの南西地方は、フランスの中でも『美食の宝庫』として知られています。豊かな自然の中で育まれたフルーツや木の実、トリュフ、唐辛子、キャビア、鴨やフォアグラ、バスク豚や羊など想像するとグルメなフランス人も涎がでてしまうような非常に恵まれた食の産地です。ちょっとした息抜きに南西地方の料理とワインを合わせて旅行気分を味わってみてくださいね。

そして、この南西地方で栽培されたブドウを使った特色あるワインも忘れてはなりません。ちょっとした息抜きに南西地方の料理とワインを合わせて旅行気分を味わってみてくださいね。

おすすめのお取り寄せ食材

現地に行かずとも南西地方のとびきりの食材がネットで簡単に購入できます。飲食店に卸されずに余ってしまっている現状もあり、プロが使う食材が手に入りやすくなっていますので、是非ご活用くださいね。

▶︎ピマン・デスプレット

フランスの調味料の中で唯一AOPが認められている唐辛子『ピマン・デスプレット』。エスプレット村と周辺の村々では本当に沢山の唐辛子が干されています。

海から吹きあげる南風と雨の多い穏やかな気候が唐辛子栽培に最適で、約100年前から栽培されています。8月~11月に収穫された唐辛子だけがAOPに認定されます。

約8kgの唐辛子がなんと約1kgのパウダーにしかならず、基準も厳しく、高価な価格ですが、辛味だけではなく、コクが豊かでほんのりと甘みも感じられる上質な味わいで、お料理に使うとその豊かな風味をプラスします。

フォアグラのテリーヌや、カスレなどバスクの名物と相性抜群で、七味唐辛子の代わりに使ったりなど日本の食卓でも活躍します。

▶︎マグレ・ド・カナール

マグレ・ド・カナールはフォアグラを取った後の鴨の胸肉のことです。鴨はフォアグラをとる為に大きく飼育され、脂が多めでしっかりした肉質、そしてほんのりとフォアグラの風味がします。

皮と肉の間に旨味がたっぷりの脂があるので、じっくりと皮から火を入れて旨味を閉じ込めるのが美味しくいただくコツです。フォアグラとの相性も良く、贅沢なひとときにおすすめの食材です。

▶︎ピエール・オテイザさんのキントア豚

1981年にはメス20頭とオス2頭にまで激減し、絶滅が危惧された純血のバスク豚を見事復活させたのがシャルキュティエのピエール・オテイザさんです。彼の尽力により、国の保護プログラムが組まれ、1997年には血統書登録に認定。バスク語でアルデュード村を意味する『キントア豚』として2016年には念願のAOCを取得し、2019年には、ヨーロッパ規格のAOPにも認定されました。

キントア豚は屋外で産まれ、生後2ヶ月は母乳を飲んで育ち、12~14ヶ月までは広大な敷地内で放牧され、自然の中にあるドングリなど木の実を食べてストレスの少ない環境で育ちます。そして、年間約2000頭のみが出荷される希少価値の高い人気の豚なのです。

ナッツのような香ばしい香りがあり、豚肉の風味が豊かで脂の柔らかさやサッパリした口溶けも秀逸で、全国の星付きレストランのシェフを魅了して止みません。

▶︎サラミ

2008年農業博覧会にて銀賞を受賞した逸品。熟成期間が約4週間と短めで熟成香はあまりありませんが、キントア豚の美味しさを純粋に楽しめます。バスク名産のピマン・デスペレットが中に入っていてピリリと良いアクセントになっています。噛めば噛むほど味わい深く、まずはシンプルにそのままいただき、スープに入れたり、焼飯に加えても美味しくいただけます。

南西地方の新星L'OSTAL

フランスを代表する出版社であるガリマール出版社で編集者として働き、同じ職場で出会った妻シャルロットとともに、より自然に近い生活をしたいとヴィニュロンへの扉を開いたルイ・ペロ。彼はカオールの自然派生産者として知られるシモン・ビュッセの元で学び、門下生として彼の畑の一部を譲り受け、自らのドメーヌを興し、シャルロットとともに、二人が理想とした豊かな自然環境の中での生活を手に入れました。

ロスタルはまだまだ慣行農法が多いカオールに現れた新星です。果実味と冷涼感が両立したエレガントなスタイルのワイン造りを目指して奮闘する彼のカオールを是非味わってみてください。

▶︎ル・トゥール

こちらは2014年の少し熟成したワインに、18年のチャーミングでフレッシュな果実味のワインを混ぜて造られていて、個性が上手く融合しています。異なるヴィンテージのワインを混ぜるなんてとっても挑戦的な1本です。ル・トゥールの区画は酸化鉄を含む粘土石灰質土壌で、ワインにもその個性が反映されています。

ブラックベリー、ドライプルーン、チョコレート、鉄錆、ほんのりとミントのニュアンス。鞣し革など少し熟成を感じさせる香りもあり、味わいも果実味がありつつも繊細な酸にきめ細やかなタンニンが溶け込んでこなれたエレガントな味わいに仕上がっています。

* 原産国:フランス
* 産地:カオール
* 品種:マルベック
* 生産者:ロスタル
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* 容量:750ml

是非今回紹介させていただいたマグレ・ド・カナールとロスタルのル・トゥールを合わせてみてください。酸化鉄土壌の齎す鉄の風味と鉄分の豊富な鴨肉の味わいがマッチし、鴨の脂の多さをきめ細やかなタンニンと繊細な酸味がバランス良く纏めてくれる理想のペアリングとなります。

ソースはお肉を焼いたときに出た肉汁とバターや塩胡椒、隠し味にお醤油、それに赤ワインを合わせたソースや、赤ワインの代わりにカシスリキュールを使ったものや、バルサミコ酢を使ったソースとも相性良く楽しめますよ。

南西地方のペアリングで旅行気分を味わっていただけると幸いです。

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Haruka Kageyama

JSA Sommelier
The Ritz Carlton Tokyo Azure45や、阿部誠氏が率いる「東京ぶどう酒店」、「サロン・ド・シャンパーニュ ヴィオニス」、フランスのシャンパーニュ地方ランス「Domaine les Crayéres」にて10年以上サーヴィス、ソムリエールとして働く。
現在様々な形でワインを広めるべく雑誌やウェブメディアにて執筆中。 Haruka Kageyamaの記事一覧 

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