旅するワイン!ロワール地方の自然派ワイン
ワインを飲んで旅をしよう
ちょうど今の時期に花々が咲き誇り、雄大なフランスのロワール川沿いに古城が点在する風光明媚なロワール地方が今回のテーマです。
16世紀に活躍したフランスを代表する作家フランソワ・ラブレーによって『フランスの庭園』のイメージや、彼の代表作『ガルガンチュワ物語』によって美食のイメージが高められました。
とっても優雅なイメージがあるロワール地方ですが、川沿いということもあり魚介のお料理や、豚や牛の臓物の腸詰めアンドゥイエットも有名ですね。
秋〜冬になるとソローニュの森で狩猟されたジビエ(野ウサギ、鹿、猪、キジ、鴨など)そして、クロタン・ド・シャヴィニョルなどのシェーブルチーズ、タタン姉妹の失敗によって生まれたタルトタタンなど数多くの名物があります。
ロワール産の食材を日本で入手するのは一般的にはなかなか難しいですが、ロワール風に調理をしてロワールワインと合わせて楽しみましょう!
ロワール名物を作ってみよう!
ロワールの名物のソース『ブール・ナンテ』をご存知ですか?ロワール川の川魚に、このブール・ナンテかブール・ブラン・ソースと合わせるのがロワール地方ではポピュラーなスタイルで、ロワール産の白ワインと合わせると最高に美味しいです。
現地ではカワカマスやマスなどを使いますが、カワカマスは日本ではなかなか入手困難なお魚です。手に入るお魚で大丈夫なので、是非代用して作ってみてくださいね。
▼材料(2人分)
・お好みのお魚…2切れ(240g)
・市販の野菜のブイヨン…1リットルの水に適量で
・エシャロット…1個
・白ワインヴィネガー…50ml
・白ワイン…50ml
・生クリーム…30ml
・バター…150g
・塩・胡椒…適量
▼作り方
①鍋で1リットルの水に野菜のブイヨンを溶かし塩胡椒をして沸かし、中でお魚を茹でておきます。
②別のフライパンでエシャロットをみじん切りにして炒め、白ワインヴィネガー、白ワイン、塩胡椒を加えて弱火で⅕まで煮詰めます。
③煮詰まったら火を止めて生クリームを加え軽く煮詰めます。冷たいバターを少しずつ加えてかき立てながら乳化させていきます。
④再び火にかけて沸かして、濾したソースをお皿の上のお魚の上に掛けて完成です。(付け合せには茹でたジャガイモを添えるのが一般的です。)
合わせるワインはミュスカデが王道のペアリング!
ヨット柄がなんとも可愛らしいこのワインは、ナントではポピュラーなミュスカデを使用していながら、他のミュスカデとは比べ物にならないくらいに豊かな風味が感じられます。
というのも、ミュスカデはブドウの粒が大きく水分が多いため、ワインにしたときに風味が弱くなりがちですが、このミュスカデは12時間かけてじっくりプレスすることによって果汁と果皮が接触する時間が長くなり、香りや旨味が引き出されているからです。
『美味しいワイン造りこそが自分の夢』と語る生産者のマルク・ペノは、時間も手間も惜しむことなく、自分の人生の全てをワイン造りに捧げています。
白桃やメロンの甘く爽やかな果実香、やや厚みのある優しい甘さの果実味に、ミネラルと旨味、フレッシュな酸味がしなやかに広がり、グレープフルーツの果皮を想わせる心地良い苦味がアクセントになっています。
合わせることで、フレッシュな酸味がブール・ナンテのコクにプラスされ更に魚介の風味を引き立ててくれます。
* 原産国:フランス
* 産地:ロワール
* 品種:ミュスカデ
* 生産者:マルク・ペノ
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* 容量:750ml
クリーミーでリッチなソースと濃厚なペアリングを楽しみたいならこちらがおすすめ!
▶︎リヴ・ドロワット・クロ・ベル・クロワ レイナルド・エオレ
こちらのワインも個人的に大好きな味わいで是非おすすめしたいと思い選ばさせていただきました。レイナルド・エオレは大のブルゴーニュ好きで、彼の持つ粘土石灰質土壌の畑に植わるシャルドネから素晴らしいワインを造ってくれています。30ヶ月にも及ぶ樽熟成からの複雑な風味と溶け込んだ旨味が涙モノですよ。
栗や洋ナシのタルト、藁、キャラメル、磯の香り。まろやかな口当たりに肉付きの良い果実味、塩の風味を強めに感じる程のミネラルが旨味を伴ってせり上がり、長い余韻へと繋がります。
私が作ったお料理がそこそこでもこのワインを合わせると、いつも一流の味わいに感じられるほど引き上げてくれる素晴らしいワインです。
* 原産国:フランス
* 産地:ロワール
* 品種:シャルドネ
* 生産者:レイナルド・エオレ
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* 容量:750ml
◆本格的ブール・ナンテが作れるおすすめの伝統的なオルレアンの白ワインビネガーを紹介します。
本場フランスでも一流レストランのシェフが愛用していることでも有名なマルタンプーレ社のオルレアン製法で作られるワインビネガーです。
オルレアン製法は、ワインを酢酸菌の付いた樫樽に入れて一定温度で3週間寝かせて、約6ヶ月間熟成させる伝統的な製法です。ゆっくりと酢酸発酵が進むことにより、香り豊かでまろやかな味わいの最高のビネガーです。
サラダや魚介料理に使うと香りと味わいが格段とレベルアップします。是非料理の隠し味に使ってみてくださいね!
◆デザートには、長野産のリンゴを使った本格的製法のタルトタタンはいかがでしょうか?
長野のタタンおばさんが、リンゴを8個も使って、6時間以上をかけて弱火でじっくり焼き上げた昔風タルトタタン。
こちらは、ロワール地方の甘口に仕上げられたシュナン・ブランのワインと相性抜群で、至福のデザートタイムを楽しめます。
こちらはロワールの自然派生産者の代表生産者ドメーヌ・モスの甘口ワインです。とびっきりに美味しいワインを造ってくれるので私も大好きなドメーヌのひとつです。
このル・シャン・ブコーは、AOCコトー・デュ・レイヨンの認定に『色調と味わいが酸化傾向にある』という理由で落ちてしまい、区画名のル・シャン・ブコーとして販売されています。INAOは時代に追いついていませんね〜。
カリンやマルメロのコンポート、オレンジフラワー、メープルシロップやカラメルの甘やかな香り。滋味深いミネラルと酸がただ甘いだけではなく深みをプラスしています。余韻も長く芳醇な香りで楽しめます。
SO2の含有量がトータルで58ml/lと甘口ワインにしてはかなり抑えられている点も素晴らしいです。この少し酸化的な風味がまたタルトタタンのキャラメリゼされた風味と堪らなく合うのでおすすめです!
* 原産国:フランス
* 産地:ロワール
* 品種:シュナン・ブラン
* 生産者:ドメーヌ・モス
* 味わい:甘口★☆☆☆☆辛口
* 容量:500ml
お料理とワインを楽しみながら、ロワールの庭園に想いを馳せて素敵なひとときをお過ごしください。
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JSA Sommelier
The Ritz Carlton Tokyo Azure45や、阿部誠氏が率いる「東京ぶどう酒店」、「サロン・ド・シャンパーニュ ヴィオニス」、フランスのシャンパーニュ地方ランス「Domaine les Crayéres」にて10年以上サーヴィス、ソムリエールとして働く。
現在様々な形でワインを広めるべく雑誌やウェブメディアにて執筆中。
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