ペアリングワイン

旅するワイン!アルザス地方の自然派ワイン

ワインを飲んで旅をしよう

ドイツやスイスと国境を接するフランス北東部アルザス地方。まるで絵本の中に迷い込んだかのようなカラフルな家が建ち並んだ街並みはとても可愛らしく、特色のある郷土料理や美味しいワインが楽しめる人気の観光地です。

フランス有数のワイン産地としても知られ、約170kmにも及ぶワイン街道はワイン好きにおすすめの観光ルートで、一般開放しているドメーヌでワインの試飲も楽しめます。

郷土料理はドイツ文化の影響を色濃く受けています。シュークルートはドイツでいうザワークラウトのことで、アルザス地方でもどの家庭でも親しまれている家庭の味です。塩漬けにしてから乳酸発酵させたキャベツとソーセージや豚バラ肉、ベーコンなどを煮込んだお料理です。

タルト・フランベは、タマネギとベーコン、フロマージュ・ブランを使ったピザのことで、ベックオフはアルザス版の肉じゃがのようなものです。フォアグラやマンステール・チーズ、マリー・アントワネットが愛したクグロフなども有名ですね。

どれもこれもアルザスワインとの相性が抜群で長い年月によって研ぎ澄まされた同じ土地の料理とワインのペアリングて本当にすごいなぁと感動します。

次に、素晴らしいマリアージュが楽しめる少しマニアックなアルザス料理とワインを紹介します。 

Escargots à l'alsacienne

日本語ですとエスカルゴのアルザス風です。このメニュー名自体はアルザスのビストロやレストランでよく見かけますが、エスカルゴをアルザス産の白ワインやスパイス、ブイヨンで煮込んでからエスカルゴバターをのせて焼き上げたものがスタンダードなスタイルです。

レストランによって様々なスタイルがあり、今回紹介するレシピのエスカルゴの方がよりアルザス産の白ワインに合うのでおすすめです。使うエスカルゴはフランス産のものが高品質でおすすめです。ネットから購入出来ます。

▼材料(2人分)
・エスカルゴ…20個
・レモン…1/2個
・オレンジ…1/2個
・グレープフルーツ…1/2個
・タマネギ…1/4個
・エシャロット…1個
・ニンニク…お好みで
・生クリーム…150ml
・白ワイン…25ml
・パセリ…適量
・バター…30g

▼作り方
①柑橘類を洗って皮を剥き、皮をみじん切りにします。沸騰したお湯でさっと茹でて、冷水に浸けます。
②タマネギとエシャロットをみじん切りにし、炒めます。そしてそこにエスカルゴ、柑橘類の皮、白ワインを加えて炒めます。
③次に柑橘類を絞って、ジュースを②中に入れ½まで煮詰め、塩胡椒します。
④煮詰まったらそこに生クリーム、パセリ、ニンニクをみじん切りにしたものを加え½まで煮詰めて味を調整したら完成です。柑橘フルーツの爽やかな風味が夏にもピッタリなメニューです。

次に、合わせて楽しみたいアルザスワインを紹介します。

▶︎リースリング・グリュエンシュピール ドメーヌ・グザヴィエ・ヴァイマン

マーマレードジャムのような香りが堪らないこちらのワインは、紹介させていただいたお料理と柑橘類の豊かな香りが同調し、穏やかに広がる酸味が旨味を引き立てて余韻には再び柑橘の爽やかな香りが後を引く至福のペアリングです。

このキュヴェは、ベルクハイムの畑のグリュエンシュピールという区画のワインで、ここの区画は南向きの丘の中腹に広がる粘土石灰質と泥土質の混ざった土壌で、プルミエ・クリュへの昇格が期待されています。古樽で12ヶ月発酵させ、ステンレスタンクで11カ月熟成の後、無濾過・無清澄・SO2無添加で仕上げられています。

マーマレードジャムやアプリコット、ドライマンゴーの香りがあり、滑らかでとろんとした口当たり。柑橘果実のような爽やかな甘さ、豊かなミネラル感、ピールを想わせる苦味が余韻に続きます。

* 原産国:フランス
* 産地:アルザス
* 品種:リースリング
* 生産者:ドメーヌ・グザヴィエ・ヴァイマン
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* 容量:750ml

Munster

ヴォージュ山脈にあるマンステールの谷で修道士たちによって作られたのが始まりのマンステール・チーズ。修道院を意味するモスナールという言葉が語源となっています。

塩水で表面を洗って熟成させるため独特の香りがありますが、味わいはマイルドで熟成が進むごとに滑らかでコクが深まり魅力的な味わいになります。茹でたジャガイモとともに味わったり、上からクミンシードをかけて食べる習慣もあります。

合わせるワインはゲヴェルツ・トラミネールが一押しです。

▶︎ゲヴェルツトラミネール・ビルステゥックレ ジェラール・シュレール

個性×個性の組み合わせで楽しみたいのが、アロマティックな香りのこちらのワイン。ライチ、アプリコットのコンポート、バラの花など、うっとりするような香りです。

生き生きと弾けるピュアな果実味!瑞々しく豊かなミネラル感、ギュッと詰まった旨味エキスが余韻までダイナミックに感じられます。

マンステールの独特さにもバッチリ寄り添うことのできるゲヴェルツトラミネール。クミンをマンステールに適量かけて合わせてみると更に相性が高まります。

旨味が蘇り、後引く美味しさでなかなか止めることができませんのでご注意を。

* 原産国:フランス
* 産地:アルザス
* 品種:ゲヴェルツトラミネール
* 生産者:ジェラール・シュレール
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* 容量:750ml

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Haruka Kageyama

JSA Sommelier
The Ritz Carlton Tokyo Azure45や、阿部誠氏が率いる「東京ぶどう酒店」、「サロン・ド・シャンパーニュ ヴィオニス」、フランスのシャンパーニュ地方ランス「Domaine les Crayéres」にて10年以上サーヴィス、ソムリエールとして働く。
現在様々な形でワインを広めるべく雑誌やウェブメディアにて執筆中。 Haruka Kageyamaの記事一覧 

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