ペアリングワイン

今宵はチーズ&ワインペアリング〜シャンパーニュ地方編〜

クリーミーな泡立ちのシャンパーニュは、口溶けの滑らかなチーズと相性抜群!中でもシャンパーニュ名産のチーズとの相性は格別です。

今宵はシャンパーニュ地方名産のチーズとシャンパーニュを合わせて簡単贅沢なペアリングはいかがでしょうか?

シャンパーニュ地方のチーズ
①ラングル

ラングルは、シャンパーニュ地方のラングル高原原産のチーズです。チーズの熟成中に反転させる作業を偶然忘れたことがきっかけでフォンテーヌ(日本語で泉の意味)が出来たと言われています。

熟成するほどに窪みが深くなるので、見ただけで熟成度合いがわかりやすいチーズです。お行儀が良いのか悪いのか分かりませんが、この窪みにマール・ド・シャンパーニュやシャンパーニュを注ぐ食べ方はとても有名です。

マール・ド・シャンパーニュも良く合いますが、中心にまだ芯の残る熟成の若い状態のものには酸化熟成させた辛口シャンパーニュ、よく熟成したものには甘口のシャンパーニュがオススメです。

舌の上でとろけるミルクの旨味と塩気が堪らない濃厚な味わいのチーズなので、あんまりスッキリした軽快なスパーリングワインや、ワインを合わせると味わいが負けてしまうので注意が必要です。

▶︎ゴヤール マール・ド・シャンパーニュ

ジャン・ゴヤールは、1911年シャンパーニュでは初めての蒸留所を設立。蒸留技術を指導する傍ら、シャンパーニュ地方で初めてシャルドネを用いた蒸留酒を完成させました。マール・ド・シャンパーニュをA.O.Cに認定させた彼の偉大な功績を想って、こちらを飲んでみてください。

* 品種:シャルドネ、ムニエ、ピノ・ノワール
* 生産者:ゴヤール
* アルコール度数:40度
* 容量:700ml

▶︎アンドレ・ボーフォール ドゥー・ロゼ

甘口シャンパーニュの代名詞的な存在アンドレ・ボーフォール。とろけるくらい熟成したラングルの塩味とドゥーのシャンパーニュの甘味が非常によくマッチする組み合わせです。

グリオットチェリー、オレンジのコンポート、バラの花弁など華やかな香り。甘美なエキス感が繊細な酸と調和しながらクリーミーな泡立ちとともに口内で優しく広がります。

1969年からシャンパーニュで一早くビオロジックを導入したアンドレ・ボーフォール。雨が多いので農薬の使用量がボルドーの次に多いと言われるシャンパーニュの地で自然農法の導入は無理と思われていましたが見事に素晴らしいシャンパーニュを造り続けています。

補糖はムーというブドウ果汁を加えて行われる為、くどい甘ったるさは無く上品に仕上がっています。元々生産量が少ない上にフランス国内で殆ど消費されてしまう為、また甘口のシャンパーニュで日本への輸入量は極僅か。是非ご賞味ただきたいシャンパーニュです。

* 品種:ピノ・ノワール、シャルドネ
* 生産者:アンドレ・ボーフォール
* 味わい:甘口☆★☆☆☆辛口
* 容量:750ml

シャンパーニュ地方のチーズ
②シャウルス

シャウルスは、シャンパーニュ地方の南端オーブ県とブルゴーニュ地方の北端シャブリの産地ヨンヌ県で生産されています。ですので、シャンパーニュはもちろん、熟成させたシャブリとも同郷のペアリングとして楽しめます。

12世紀頃に修道士によって作られたといわれていて、チーズの名はオーブ県にあるシャウルスという小さな町の名に由来しています。フランス語でシャ=猫、ウルス=熊を意味し、街の紋章やチーズのパッケージにも猫と熊が描かれています。

シャウルスはシャスランと呼ばれるチーズの型を使って成型されているので外観が特徴的でパッと見ただけで判別できます。そして、まるで綿花のような白カビに包まれていて、きめ細やかな質感で濃厚かつクリーミーで塩気があり旨味が豊か。ほんのりとマッシュルームやヘーゼルナッツの風味も感じられます。

芯が残ってホクホクしている頃が好みか、トロトロにとろけた頃か好みが別れますが、どちらも魅力的です。合わせるシャンパーニュは、熟成感があるかやや厚みのあるタイプがオススメです。

▶︎シャルトーニュ・タイエ キュヴェ・サンタンヌ・ブリュット

シャウルスの濃厚な旨味に見事に寄り添うのが、熟成感がありコクが豊かなこちらのシャンパーニュです。熟成によるマッシュルームやモカのような香りに、蜜リンゴ、蜂蜜、バター、ブリオッシュの香り。ジューシーな果実味にコクの豊かな旨味をのせてしなやかな酸味が広がります。

砂を多く含むメルフィのテロワールを感じさせます。キュヴェ名はメルフィの守護聖人サン・タンヌに因んでいます。当主のアレクサンドル・タイエはメルフィを体現しようと土壌を研究し尽くして、畑を耕す馬や堆肥用の羊もメルフィ内で育てる拘りっぷり。

以前から試験的に卵型コンクリートタンクなどを試した結果、現在は小樽発酵の比率を増やしています。進化するシャルトーニュ・タイエを是非味わってみてくださいね。

* 品種:シャルドネ、ピノ・ノワール
* 生産者:シャルトーニュ・タイエ
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* 容量:750ml

チーズ単体でも勿論美味しいですが、最後にシャンパーニュに合うとっておきの簡単レシピを紹介します。

外はサクサク中はトロトロ!クロメスキ・ド・シャウルス

クロメスキを日本語で言うと一口サイズのコロッケのことです。ひと手間加えるだけで驚くほど美味しいおつまみが出来ますので、チーズが余った際には是非お試しくださいね。

①ひと口大のシャウルスを手で取り丸めます。
②小麦粉、溶き卵、パン粉をそれぞれの容器に用意し、丸めたシャウルスを小麦粉→溶き卵→パン粉の順にくぐらせます。
③3~5分程度、きつね色になるまで油で揚げ、油を切ったら完成です。

私のおすすめは、これにリンゴのジャムや、リンゴのジャムにカレー粉を入れて温めたソースをつけて、シャンパーニュと合わせて頂くことです。ボナペティ!

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Haruka Kageyama

JSA Sommelier
The Ritz Carlton Tokyo Azure45や、阿部誠氏が率いる「東京ぶどう酒店」、「サロン・ド・シャンパーニュ ヴィオニス」、フランスのシャンパーニュ地方ランス「Domaine les Crayéres」にて10年以上サーヴィス、ソムリエールとして働く。
現在様々な形でワインを広めるべく雑誌やウェブメディアにて執筆中。 Haruka Kageyamaの記事一覧 

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