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料理やチーズに合うって本当?!洋梨スパークリングの世界

洋梨のスパークリング

フランス語で洋梨はPoireポワールと言って、洋梨を使ったスパークリングはPoiréポワレと言います。日本ではシードル以上に馴染みがないですが、シードルのリンゴではなく洋梨版のようなものです。

フランス北西部ロワール川の北からノルマンディーへ広がるメーヌ地方は、洋梨の栽培に優れた気候風土とされ、凝縮感があり野性的な風味をもつ洋梨が出来ます。

ノルマンディーやブルターニュはシードルの生産で有名ですが、シードルと同じようにポワレの製造も行われています。食用の洋梨と違ってポワレ用の洋梨は栽培が限られているので、シードルほどの生産量はありません。

そんな希少なポワレですが、産地では料理やチーズ、デザートに合わせて親しまれています。アルコールがワインと比べて低いので、アルコールに強くない方や、昼間から飲みたい時にもおすすめです。

そして、近年はまるでワインのように複雑性のあるポワレが出てきているので、ワイン好きの方にも是非楽しんでいただければと思います。

ポワレに合う料理とチーズ

日本ではあまり馴染みがないポワレですが、様々なお料理と合わせて楽しむことができます。サラダや、フォアグラ、海沿いの街で良く見かける魚介のプレート、エビチリやドライカレーなどスパイシーな料理、ローストチキン、仔牛のソテー、豚カツや鍋、刺身や寿司などの和食にも良く合います。

そして、カマンベールチーズやフレッシュのシェーブル、ブルーチーズや、ガレット・デ・ロワやクロワッサン・オ・ザマンドなどアーモンドを使ったお菓子やヴィエノワズリーとも素晴らしい相性です。アルコール度数も低めで、ワインと同じように幅広いお料理に合わせて楽しめるので、日本の食卓でも大活躍です。

次に、とびきりに美味しい特別なポワレを紹介しますので、是非お料理と合わせて楽しんでみてくださいね。

ドメーヌ・ジュリアン・チュレル

豊かな自然が残るオルレアンの森で高品質なシードルとポワレが生産されています。ロワレ県でシードルやポワレの製造は今では珍しいですが、古い文献をたどると19世紀頃にはロワレ県がシードルとポワレの重要産地として栄えていたそう。

そして、樹齢100年〜推定400年超えの果樹は環境に完璧に順応しているため、農薬を使って病害虫を排除する必要がありません。2013年の創業当時から一度も農薬や有機栽培で許されているフラワーレメディすら施さずに栽培が続けられています。

▶︎ポワレ・アテナ・セック

樹齢100年超えの地元品種の洋梨をステンレスタンクでデブルバージュし、サンセールとメヌトゥー・サロンで使用されたワイン樽で発酵・熟成し、瓶内二次発酵を施しています。アルコール度数は7%。

様々なテイストの洋梨がブレンドされ、複雑でバランスの良い仕上がりです。洋梨のコンフィチュール、白い花やその蜜の上品な香り、よく熟した果実味に蜂蜜を想わせる優しい甘さがあり、フレッシュな酸がしなやかに広がります。

エリック・ボルドレ

元はフランスの三つ星レストラン『アルページュ』のソムリエとして働いたエリック・ボルドレが実家の果樹園を継ぎ、類稀なポワレを生み出しています。

友人であったディディエ・ダグノーの助言によって、ブレット臭がしないレストランで飲まれるような高品質なシードルやポワレ造りを目指し、取り組んでいます。

本当に彼のポワレやシードルからは一切ブレットを感じません。少なからずするのが通常ですが、それだけクリーンな環境を徹底して造られているということですね。

彼の果樹園では、掛け合わせの品種ではなく、伝統品種の約15種類の洋梨と30種類のリンゴをビオディナミ栽培で育てています。中には樹齢300年超えの洋梨の樹木もあり、未だ現役で素晴らしい味わいの洋梨を実らせます。

▶︎ポワレ・グラニット

こちらがその樹齢300年超えの樹に実った洋梨の極上ポワレ。手動式の木製圧縮機を使って、補糖もしない伝統製法で造られています。アルコール度数は5%未満。

よく熟したリンゴや洋梨、レモンコンフィ、フローラルで芳醇な香り。時間経過ともに、スパイスを振って焼き上げたような洋梨の風味へと変化します。

豊かなコクがありながらも豊富なミネラルとキレのある酸、泡立ちはきめ細やかでほんのりと感じる苦味があり、まるでワインのように複雑な味わいの構成を感じられます。

ポワレやシードルはすぐに飲んでしまうものという認識の方も多いかと思いますが、今回ご紹介させていただいた2本に関しては、今飲んでも勿論美味しいですが、熟成に耐えられるポテンシャルがあるので、熟成させるのもおすすめです。

抜栓してみると分かりますが、他の生産者のポワレやシードルと比べて良いコルクを使っているので、安心して熟成させることができます。熟成させることによって感じられる至福の味わいを楽しんでください。

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Haruka Kageyama

JSA Sommelier
The Ritz Carlton Tokyo Azure45や、阿部誠氏が率いる「東京ぶどう酒店」、「サロン・ド・シャンパーニュ ヴィオニス」、フランスのシャンパーニュ地方ランス「Domaine les Crayéres」にて10年以上サーヴィス、ソムリエールとして働く。
現在様々な形でワインを広めるべく雑誌やウェブメディアにて執筆中。 Haruka Kageyamaの記事一覧 

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