ペアリングワイン

本当に旨い日本のシードル

日本のシードル

フランスではシードルはビールの延長線上のような感覚で2€ちょっとで購入できる気軽なものから、自然派生産者の造るこだわりを強くもって造られているものまで様々あります。

以前記事で紹介させていただいたデュ・フォールマネルのシードルは中でもトップクラスのこだわり派で、美味しいシードルとは何たるかを教えてくれます。

フランスのシードルを造る際に用いられるリンゴは、小ぶりで酸味が豊かで凝縮した味わい。その味わいの種類から主に4種に分けられ、更には数種から数十種類の品種をブレンドして造られます。そのため味わいに甘み、凝縮感、苦味、酸味のコントラストがあり、バランスがよく、リンゴの本来の風味がしっかりと感じられるのです。

一方、日本のシードルは、紅玉など主に食用のリンゴが用いられ、良く言えば水分が多いためスッキリとした繊細な味わい、悪く言えば薄い味わいになることが多いです。

味わいをしっかりと引き出すために、素材の良いリンゴを用いたり、リンゴのブレンドを研究したり、醸造技術や様々な努力によって美味しいシードルを造ろうと頑張る生産者がいます。

日本でシードルを造るのにかかる費用は高いため、フランスのように安価なシードルは見かけません。コストパフォーマンスを考えるとフランス産に手が伸びてしまうという声も多く聞こえてきます。

日本国内で栽培されたリンゴを用いて、国内で醸造されたシードルの価格帯は、750mlで1,000円代前半から2,000円までの値段帯が多く、3,000円近いものまで様々ですが、値段とクオリティに関しては、ワインと同様に値段が高いからといって美味しいというわけではありませんので、しっかりと造り手を選ぶ必要があります。

設立されて間もないワイナリーでは、ブドウが育ってワイン造りが出来るようになるまで、リンゴを購入してシードル造りを行うワイナリーがあるのですが、醸造のセンスが反映されるので、シードルの出来栄えで将来醸造されるワインの味わいを想像することが出来ますし、購入することで応援することができるので、そんなシードルがあるとついつい手が伸びます。

そんなワイナリーの中から、是非紹介したいのが2017年に設立された小さなワイナリー『ドメーヌ長谷』です。代表の長谷 光浩さんは、ワイン好きが高じ、脱サラしてワイン造りを始めたので、ご自身の納得できる品質を追い求めていて、そのこだわりが味わいからしっかりと伝わってきます。

ワインだけではなくシードルも素晴らしく、小さなワイナリーだからこそできるこだわりが詰まっています。長谷さんもブドウの樹が育ってワイン造りが出来るようになるまでシードルを造り販売していましたが、そのシードルがあまりにも人気で、ワイン造りが出来るようになった今でもシードルの販売を続けています。

もちろん長谷さんの造るワインも素晴らしいのですが、生産量があまり多くない上に、コストパフォーマンスの高さから人気過ぎて中々手に入りません。

長谷さんのシードルを飲んで、是非そのレベルの高さを感じてみてください。特に今回のシードルは長谷さんが今迄造ってきた中でも自信作で、日本のシードルにもこんなに素晴らしい味わいのシードルがあったのだと嬉しい驚きを与えてくれます。

和シードル

▶︎和シードルヒカルファーム(ドメーヌ・長谷)

リンゴの銘産地として知られている信州高山村。ドメーヌも高山村にあり、その地で育った紅玉とサンふじを使っています。農家さんのりんごを購入しているため、ドメーヌ長谷ではなく、HIKARU Farmでのリリースです。

極力人為的介入を避け、昔ながらの自然な造りが行われています。野生酵母による発酵で、長期間かけてゆっくりと発酵させるので、旨味と複雑味が齎され、瓶内二次発酵によるきめ細やかな泡立ちも楽しめて、無濾過・無清澄、非加熱処理、SO2は極少量で仕上げています。

より美味しさを高めるにはあと1年程熟成させるのがおすすめです。そして、空気に触れて温度が上がるにつれて開いてくるので、ゆっくり時間をかけてお楽しみください。野菜の蒸し煮、鍋などととても相性が良く、お野菜の美味しさを引き出してくれますよ。

プレミアム・和シードル

▶︎プレミアム和シードル ヒカルファーム(ドメーヌ・長谷)

日本にもこんなに美味しいシードルがあるんだと嬉しい驚きをくれるプレミアム和シードル。リンゴの銘産地として知られている信州高山村。その高山村の中でも高い評価を受ける『信州松本園』のリンゴだけを使ったプレミアムな1本です。

紅玉、シナノゴールド、サンふじ、秋映、シナノピッコロ、アルプス乙女の計6品種をブレンドによりバランス良く複雑性を感じられます。

野生酵母による長期発酵、ステンレスタンクで熟成、瓶内二次発酵および瓶内熟成を施して無濾過・無清澄、非加熱処理、SO2は極少量で仕上げています。

搾汁の際には搾汁率を抑えて美味しいところだけを使っているため、今回の2019年は今迄よりも更にレベルアップした味わいです。

抜栓直後はレモンやグレープフルーツなど柑橘系のさっぱりした風味が楽しめて、抜栓2日目から蜜リンゴのような風味が出てきてより複雑味と旨味を楽しむことが出来ます。是非ゆっくりと味わってみてくださいね。

幅広く食事と合わせていただけますが、ポン酢でいただく豚しゃぶが特におすすめのペアリングです。

ぜひ、日本の美味しいシードルをお楽しみください。

Haruka Kageyama

JSA Sommelier
The Ritz Carlton Tokyo Azure45や、阿部誠氏が率いる「東京ぶどう酒店」や「サロン・ド・シャンパーニュ ヴィオニス」、フランスのシャンパーニュ地方ランス「Domaine les Crayéres」にて10年以上サーヴィス、ソムリエールとして働く。
現在様々な形でワインを広めるべく雑誌やウェブメディアにて執筆中。 Haruka Kageyamaの記事一覧 

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