イタリアトスカーナの煮込み郷土料理
イタリア中部のトスカーナ州の郷土料理には、煮込み料理がたくさんあります。コトコト煮込んだ料理は、心も体も温まります。
今回は、トスカーナの煮込み料理とそのペアリングをご紹介します。
トスカーナの煮込み郷土料理~リボッリータ~
「リボッリータ」は、「再度煮込んだ」という意味のトスカーナの郷土料理です。冬の野菜であるキャベツが主役の野菜の煮込み料理で、パンの上にかけて食べます。
もともとは、固くなってしまったパンを利用して食べる庶民の料理でした。現在では、野菜たっぷりなので「体にいい」と、ヘルシー志向の人やベジタリアンも好んで食べる料理となっています。
トスカーナのカジュアルなレストランで、リボッリータがないところはないといっていいくらいポピュラーな一品です。
作ってすぐ食べるより、温め直したほうが、味がしみ込んでおいしいリボッリータ。家庭では、たくさん作っておいて、2~3日かけて食べるのが一般的です。
【リッボリータのレシピ】
▼材料(4人分)
ゆでた白インゲン豆(水煮缶でもよい)…200g
ちりめんキャベツ…200g
黒キャベツ…200g
フダンソウ(小松菜で代用可能)…200g
玉ねぎ…1/2個
ポロネギ(長ネギ)…1/2本
トマト…2個
ジャガイモ…1個
ニンジン…1本
セロリ…1片
オリーブオイル…大さじ4
お湯…約1リットル
パン(バゲットなど)…約150g
パルミジャーノチーズ…大さじ4
塩胡椒…適量
▼作り方
①鍋にオリーブオイルを熱し、細切りにした玉ねぎとポロネギを弱火で炒める。
②ちりめんキャベツ、黒キャベツ、フダンソウを細切りにして①に入れ、さらに炒める。
③ジャガイモ、ニンジンの皮をむいて2センチくらいの角切り、セロリは1センチくらいに切る。②に加えてさらに炒める。
④トマトは皮を湯剥きして、種を取り除き、2センチくらいの角切りにして、③に加えてさらに炒める。
⑤白インゲン豆を④に入れ、塩胡椒をして、お湯を入れ、蓋をして、弱火で約2時間煮込む。
⑥パンをよくトーストし、お皿の上にのせ、その上に出来上がった⑤を盛り付ける。オリーブオイル(分量外)を回しかけ、パルミジャーノチーズをかける。
野菜がメインの料理ですが、長時間煮込んであるため、味に深みがあります。そんなリボッリータに合わせるワインは、トスカーナのヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノがぴったり。赤ワインが有名なトスカーナの地で、唯一のDOCG(統制保証原産地呼称)白ワインです。
パニッツィの「ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノ」は、エニシダの花の香り、青リンゴや洋ナシ、グレープフルーツの香りがあり、酸味と果実味のバランスがとてもよい辛口の白ワインです。後味にほのかなアーモンドのニュアンスが感じられます。その後味がリボッリータの野菜の深みとマリアージュします。
トスカーナの煮込み郷土料理~パッパ・アル・ポモドーロ~
リボッリータと同じくらい有名で、トスカーナのカジュアルレストランのメニューには欠かせない煮込み料理が「パッパ・アル・ポモドーロ」です。
パッパとは、おかゆのようなドロっとした食感という意味で、トマト(ポモドーロ)の煮込み料理です。これも固くなってしまったパンを利用していた田舎の料理で、今もなお広く愛されている郷土料理です。
トマトとバジルを使う料理なので、夏のイメージがありますが、コトコト煮込むため、真夏には不向きです。春と秋によく食べられる家庭の味です。
【パッパ・アル・ポモドーロのレシピ】
▼材料(4人分)
熟したトマト…500g
パン(バゲットなど)…200g
ニンニク…2片
バジル…20g
オリーブオイル…大さじ4
野菜コンソメスープ…約1リットル
塩…適量
①トマトは皮を湯剥きし、種を取り除き、2センチくらいの角切りにする。
②ニンニクは芯を取り、みじん切りにする。バジルもみじん切りにする。
③鍋にオリーブオイルを入れ、②を弱火で炒める。
④トマトを入れ、塩をし、蓋をして弱火で約20分煮込む。
⑤よくトーストしたパンと野菜コンソメスープを④に入れ、時々かき混ぜながら、約10分煮詰める。
⑦塩で味を調え、お皿に盛り付け、オリーブオイル(分量外)を回しかけ、出来上がり。
トマトとバジルとコンソメの味がじわ~っと口の中に広がり、ほっとする一品です。そんな伝統のパッパ・アル・ポモドーロと合わせるワインは、トスカーナの白ブドウ、トレッビアーノ種が定番です。
テヌーテ・ロッセッティの「ビアンコ・トスカーナ」は、トレッビアーノ種主体(80%)で、白い花、トロピカルフルーツのニュアンスがあり、フレッシュな味わいの白ワインです。このフレッシュさが、トマトを煮込んだときの旨味にマッチします。
まとめ
老若男女に親しまれているトスカーナの煮込み料理。家族で日常の会話をしながら食べられ続けているやさしさにあふれた料理です。
そして、そこにはいつもトスカーナのワインがあります。そんな平和な生活が感じられるペアリング、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
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イタリア在住ワインコーディネーター
2003年にフィレンツェに料理&ワイン留学。
2004年よりフィレンツェ在住。イタリアソムリエ協会ソムリエ資格保持。
トスカーナのワイナリーツアーを企画・主宰し、通訳案内もしている。
1日の終わりに、手作り料理とワインをペアリングすることが何よりの楽しみ。
▶︎フィレンツェ・イン・タスカ
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