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みんな大好きイタリアトスカーナの郷土料理

イタリアにはそれぞれの州で郷土料理があり、フィレンツェを中心とするトスカーナ州にも、たくさんの伝統料理があります。フィレンツェの町なかのレストランは、トスカーナ料理のお店が大半を占めます。

近年、創作料理風のレストランも増え、いつもと違った料理を食べることもあります。でも常連になるのはトスカーナ料理店。家庭で食べるのもやっぱりトスカーナ料理です。

今回は、フィオレンティーニ(フィレンツェ人)が大好きな郷土料理をご紹介します。

トスカーナの郷土料理~前菜編~

みんなから好かれている前菜は、「クロスティーニ・トスカーニ」。つまりトスカーナのクロスティーニで、「クロスティーニ・ネーリ」とも呼ばれます。

「ネーリ」とは黒という意味。黒のクロスティーニとは、鶏のレバーのクロスティーニです。

パンの上に鶏レバーのペーストをのせて食べる料理で、レストランの前菜メニューには必ずといっていいほど載っています。

フィレンツェは内陸に位置し、歴史的にほとんど魚を食べません。魚を使った伝統料理は、干ダラを使ったものくらいで、フレッシュな魚を使った伝統料理はほとんどありません。

トスカーナでも海の近くに行くと魚を食べますが、フィレンツェの小売店の魚はあまり新鮮でなく、値段も高いため、家庭の食卓にはあまり上りません。

前菜、パスタ、メインのどれも、肉中心の料理が多く、カジュアルなレストランでは魚を使った料理がまったくないところもあります。

クロスティーニ・トスカーニは、家庭でも頻繁に食される料理で、おつまみに、またおもてなしにも、どんな場面にも登場します。

アンチョビとケイパーが入っているので、レバー特有の臭みもありません。そもそも臭みのあるレバーはあまり見かけません。鶏レバーは特に傷みやすいものですが、肉屋さんにはいつでも新鮮なレバーが置いてあります。

色は明るく、光を放っているように輝いていて、つるっとして、プルプルしています。また、レバーは安価のため、ポピュラーな素材でもあります。でも、安価な素材とは思わせない豊かな風味があり、みんな大好きです。

【レバーペーストのレシピ】

▼材料(4人分)
鶏レバー…300g
玉ねぎ…1/2個
オリーブオイル…大さじ2
アンチョビ…2枚
ケイパー…大さじ1
セージ…5枚くらい
白ワイン…1/2カップ
塩胡椒…適量
お好みのパン

▼作り方
①レバーをよく洗う。脂、スジ、血を取り除く。
②鍋にオリーブオイルを入れ、みじん切りにした玉ねぎを中火で炒める。
③レバーとセージ入れて、さらに炒める。
④ワインを入れて、約15分煮詰める。塩胡椒をする。
⑤火を止める直前に、細かく切ったアンチョビとケイパーを入れる。
⑥ブレンダーで撹拌する。
⑦パンの上にのせて出来上がり。

トスカーナの郷土料理~パスタ編~

肉料理ばかりのフィレンツェですが、山の素材であるキノコもお馴染みの食材です。

特にポルチーニは、独特な香りと食感で、パスタと相性が良いキノコです。夏の終わりごろになると、八百屋さんにポルチーニが並び始め、レストランではおすすめメニューとして「ポルチーニのパスタ」がお目見えします。

パスタは、卵入りの平麺タリアテッレが定番で、キノコのソースとよく絡みます。ソースといっても、シンプルにオリーブオイルとニンニクで炒めただけのものです。

生のポルチーニは非常にやわらかいため、炒めている間にくずれて、それがオリーブオイルと混ざり合い、食欲をそそるコクのある味わいになるのです。秋限定の料理ですが、その間に何度も食べる人気の高いパスタです。

【ポルチーニのタリアテッレのレシピ】

▼材料(2人分)
タリアテッレ…200g
ポルチーニ茸…200g
ニンニク…1片
オリーブオイル…大さじ2
塩胡椒…適量
パセリ…適量

▼作り方
①湿ったクッキングペーパーで、ポルチーニに付いている土を落とす。
②フライパンにオリーブオイルとつぶしたニンニクを熱する。
③ニンニクの香りがしてきたら、厚めのスライスにしたポルチーニを入れ、塩胡椒をし、中火で約10分炒める。ニンニクを取り除く。
④ゆであがったタリアテッレを③に入れる。パスタのゆで汁を少々入れ、かき混ぜる。
⑤みじん切りにしたパセリを入れ、皿に盛りつけて出来上がり。

トスカーナ領土料理~肉編~

肉文化のフィレンツェには、肉を使った郷土料理は山ほどありますが、その中でもトリッパはもっとも親しまれている料理のひとつです。

「トリッパ・アッラ・フィオレンティーナ」というフィレンツェ風トリッパは、牛の胃をトマトで煮込んだもの。フィレンツェの町なかには、トリッパの屋台も数多くあり、トリッパのパニーノ(サンドイッチ)は、市民のランチの強い味方です。

市場にはトリッパ専門店があり、下茹でしてあるトリッパが売られています。トリッパのみを扱う店があるほどで、いかにトリッパが家庭で食べられているかがうかがえます。

トリッパは料理するのが大変というイメージですが、下茹でしてあるトリッパを使えば、煮込むだけなので、家庭でも手軽に調理することができます。

胃は牛の中で一番脂肪の少ない部位のため、ヘルシーともいわれています。トマトで煮込み、弾力ある歯ごたえで、ヘルシーとは思えない味わいですが、クセになる旨味があります。

【フィレンツェ風トリッパのレシピ】

▼材料(4人分)
下茹でしたトリッパ…800g
玉ねぎ…1個
ニンジン…1本
セロリ…1片
ニンニク…1個
ホールトマト…300g
オリーブオイル…80g
バター…30g
白ワイン…1/2カップ
ローリエ…2枚
パルミジャーノチーズ…80g
塩胡椒…適量

▼作り方
①トリッパを細切りにし、水でよく洗う。
②玉ねぎ、ニンジン、セロリをみじん切りにする。
③鍋にオリーブオイルとバターを熱し、②とつぶしたニンニクとローリエを入れ、弱火で約5分炒める。
④ニンニクを取り除き、①を入れ、約5分炒める。
⑤ワインを入れる。
⑥ワインが蒸発したら、ホールトマトを入れ、塩胡椒をし、蓋をして時々かき混ぜながら弱火で約1時間半煮込む。途中で水分が少なくなってきたら、水またはブイヨン(分量外)を加える。
⑦火を止め、パルミジャーノを加え、5分ほど置いておく。
⑧皿に盛りつけて出来上がり。

マンマの料理

世界中の料理を口にすることができるようになった現代。それでも、フィレンツェの人々は伝統の料理を好み、地元の食文化に誇りをもっています。

他の州の料理や他の国の料理を食べるときは、なんとなく口に合わないぎこちなささえ感じ、話も盛り上がらなくなるといっても過言ではありません。

子どものころから、マンマ(お母さん)の愛情のこもったトスカーナ料理を食べて育ち、マンマの料理が一番だと思っているフィオレンティーニ。マンマから子どもに伝わり、孫に伝わり、今までも、そしてこれからも、トスカーナ料理を愛していくのでしょう。

フィレンツェ・イン・タスカでは、そんなマンマの味を体験できるイタリア家庭料理教室をおこなっています。実際に、フィレンツェの家庭で作られている家庭料理を通訳付きで一緒に作っていくという実践型の料理教室です。

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太田 由歌

イタリア在住ワインコーディネーター
2003年にフィレンツェに料理&ワイン留学。
2004年よりフィレンツェ在住。イタリアソムリエ協会ソムリエ資格保持。
トスカーナのワイナリーツアーを企画・主宰し、通訳案内もしている。
1日の終わりに、手作り料理とワインをペアリングすることが何よりの楽しみ。
▶︎フィレンツェ・イン・タスカ 太田 由歌の記事一覧 

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