ペアリングワイン

シャンパーニュ地方に伝わる伝統的なチーズとシャンパンペアリング

シャンパンとチーズの組み合わせは贅沢で格別な味わいがあります。クリーミーな泡立ちとチーズのシルキーなーテクスチャーが溶け合い、すっと溶けていくような感覚はシャンパーニュならではのペアリング。

今回は、シャンパーニュ産のペアリングをチーズと共にご紹介します。

シャンパーニュ地方

パリから東へ約150km、車で2時間ほどの距離にあり、フランス国内において最北に位置するワイン生産地です。

北部のランス、その南に位置するエペルネを中心に構成され、多くのシャンパンメゾンを有する地方です。

また、中心都市ランスは、歴代フランス国王の戴冠式が行われてきた由緒あるノートルダム大聖堂があり圧倒的な存在感を放っています。

シャンパーニュ地方は伝統的チーズの宝庫

フランスでは、その土地に根付いた伝統的なチーズがどの村にも必ずと言っていいほどあります。

小規模な生産量で家族だけで消費されるものから、大量生産し輸出されるものまで様々ですが、シャンパーニュ地方においても多種多様なチーズが造られていて、日本でも入手しやすく美味しいチーズが沢山あります。

今回はその中から、シャンパーニュ地方の代表的なチーズを2種類ご紹介します。

ラングル

乳種 : 牛乳
タイプ : ウォッシュ

シャンパーニュ地方、ラングル高原が名前の由来でシャンパーニュの代表チーズです。小ぶりな円筒形で、表面は明るいオレンジ色をしています。

ウォッシュタイプのチーズは表面を塩水で洗うことでリネンス菌と言うウォッシュに欠かせない菌を繁殖させます。特有のネバネバとしたオレンジ色の粘液を出し、美味しい風味を生み出してくれています。

ラングルは熟成の段階で反転させないため、真ん中に重力による窪みができます。フランス語で泉を意味する「フォンテーヌ」と呼ばれるこの窪みにシャンパーニュを注ぎそのままスプーンで食べる通もいる程です。

◎味わい
熟成が若いうちは、ウォッシュの香りが穏やかでややフレッシュな酸のニュアンスが感じられます。

しっとりとした緻密な組織で、もろく崩れ溶けていくようなテクスチャーが心地よく感じられます。

熟成が進むとウォッシュの豊かな香りが広がり芳醇なチーズへと成長します。熟成が進むにつれテクスチャーは外側からトロリと溶け始めますが、中心部分に芯が残っているくらいの状態がフレッシュなニュアンスが感じられます。

●ウォッシュタイプ 保存の注意点
表面に繁殖しているリネンス菌は湿気を好むため、乾燥しないように注意し保管してください。

シャウルス

乳種 : 牛乳
タイプ : 白カビ

シャウルスは12世紀には修道院で造られていた記録がある歴史あるチーズです。名前はシャンパーニュ地方の小さな町の名前に由来し、フランス語でシャ=猫、ウルス=熊、を意味し町の紋章やパッケージにも猫と熊が描かれています。

カマンベールと同じ白カビタイプでよく似た見た目をしていますが、シャウルスの方が厚みがあり、ビロードのような白カビに覆われているのが特徴です。

◎味わい
若いうちは全体的に穏やかな味わいで、ミルクのいい香りがします。熟成が進むにつれて外側からとろけて行き、きのこやマッシュルームのような複雑なニュアンスに変化します。

シャウルスの場合熟成させてトロトロになりきってしまうより、中心にやや芯が残った「ホクホク」としたテクスチャーが残っている位が食べご頃です。

甘いものと相性がいいのでドライフルーツや蜂蜜と一緒に召し上がるとまた格別です。

●白カビタイプ 保存の注意点
白カビタイプは熟成が進みすぎてしまうとアンモニアを発生し表皮が茶褐色に変化します。

アンモニアが出てしまうと香りが強くなりすぎたりピリピリとしたニュアンスを感じるようになってしまいますので、熟成が進みすぎた場合はパンに乗せて焼いたり、オーブンで溶かしてフォンデュにすると美味しく召し上がれます。

おすすめシャンパーニュ

最も長い歴史を持つシャンパーニュ・メゾン
「ルイナール・ブラン・ド・ブラン」

瓶内で泡を生み出す瓶内2次発酵の技術をいち早く確立し、1927年に世界で初めてシャンパンを造りだしたルイナール。世界で確固たる地位を築き、高級レストラン御用達の歴史あるシャンパーニュメゾンです。

「ブラン・ド・ブラン」とは、シャルドネ100%で造られるシャンパーニュのこと。シャルドネがもたらす品の良い柑橘の香りと、蜂蜜のニュアンス、白桃や花梨を思わせる果実感にふわりと鼻に抜けるブリオッシュのような香ばしい香り。どれをとっても品の良さを垣間見る事が出来るシャンパーニュです。
シャルドネの程よい酸には、白カビタイプのシャウルスを!

ピノ・ノワールのスペシャリストが造る
「ドラピエ カルト・ドール・ブリュット」

創業以来、家族経営を貫くシャンパーニュきっての名門、メゾン・ドラピエ。ピノ・ノワールのスペシャリストとして有名で、カルト・ドール・ブリュットはピノ・ノワール主体(90%)で造られています。また、有機栽培者としても高名で、完全無農薬のぶどうは評価が高く世界屈指のオペラ歌手、故ルアーノ・パヴァロッティが公演前に必ずドラピエのシャンパンで喉を潤していた事も有名です。

アプリコットや蜂蜜、ローストアーモンドの奥行きある味わいの中に、程よい酸が全体を引き締め輪郭のしっかりとした味わいです。
ピノ・ノワール特有の奥深い味わいはウォッシュタイプのラングルに!

まとめ

シャンパン×チーズの組み合わせは、明るい時間帯にアペリティフとして、又は遅い時間帯のデザートとしてもシーンを選ばないペアリングです。

是非お好きなシャンパーニュとチーズの組み合わせを見つけてくださいね。

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山口 真由美

ワインバー オーナーソムリエ
J.S.A.認定ソムリエ / J.S.A.認定SAKEディプロマ
WSET level3 / C.P.A.認定チーズプロフェッショナル
ワインバーへ勤めたことをきっかけにワインの世界に入りその後独立、東京青山にワインバーを開店。ワインを提供する立場だからこそお伝えできる世界観をお伝えします。ワインのほか、日本酒やチーズも得意。
国内外問わず旅が大好きで、NYで2年の海外生活経験あり。 山口 真由美の記事一覧 

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