イタリアのあまーいワインペアリング
イタリア人は、スイーツが大好き。お酒好きな人はあまり甘いものを食べない、なんていうことはありません。デザートを食べる時も、しっかりペアリングを楽しみます。
デザートとワインのペアリング
イタリアでは、前菜、パスタ、メイン料理と、コースで食べるため、食後のデザートはコースの一部となり、食事に欠かせないものということができます。
レストランでは、デザートのメニューと一緒に食後酒のメニューがあるところも多いのです。デザートと一緒に楽しむのは、甘いデザートワインです。
「甘い食べ物と甘い飲み物を一緒になんて、口が甘くなりそう!」という方がいらっしゃるかもしれません。でも、スイーツと甘いワインをペアリングすることは、じつは料理とワインのペアリングの基本なのです。
同じ「甘い」という「味覚」をペアリングすることで、相乗効果があり、デザートもワインもよりおいしくなります。
ティラミスとワインのペアリング
イタリアのデザートで最も有名な「ティラミス」には、モスカート・ローザがぴったりです。モスカート・ローザの「ローザ」は「バラ」の意味で、文字通りバラの香りがするロマンチックな甘口ワインです。
{pフランツ・モスカート・ローザは、バラの香りの他、シナモン、クローブ、ブルーベリー、ブラックベリーのニュアンスがあり、酸味もあるので、甘ったるさもなくおすすめです。モスカート・ローザは、女性に人気のあるデザートワイン。ちょっとおしゃれをしてレストランに行ったとき、フィナーレを飾ってくれる華麗なワインです。遅摘みのブドウから造られ、アロマティックなブドウの糖分が凝縮され、ブドウ本来の甘みを楽しむことができます。
デリケートな甘さですので、カスタードクリームを使ったデザートや、生のフルーツを使ったデザートもペアリングすることができます。
王道のペアリング
イタリアでもっともポピュラーな甘いペアリングは、甘口スプマンテとパネットーネ。クリスマスのお菓子であるパネットーネとパンドーロ、復活祭のお菓子であるコロンバには、アスティのスプマンテはお決まりです。
フォンタナ フレッダ アスティ スプマンテは、誰もが知る王道のエチケットです。あまりに有名すぎるので、最近はブラケット・ダクイが注目されています。ブラケット・ダクイも同じくスプマンテですが、ルビー色をしているので、テーブルも華やかになります。
ブライダ ブラケット・ダクイは、いちごやベリー系の香りに加え、クルミやヘーゼルナッツ、アーモンド、ドライイチジクのニュアンスがあり、まろやかな甘さでデリケートです。パネットーネ以外にも、クッキーとペアリングすることができます。
イタリアでは、アーモンドプードルがベースのクッキーが人気です。ブラケット・ダクイもアーモンドのニュアンスがありますので、アーモンド味のクッキーと合うのは言うまでもありません。
家族でわいわい話をしながら、ときにはテーブルを立ってのおしゃべりなど、気ままに楽しむペアリングです。冷たい泡が心地よく、お菓子との相性もバツグンなので、ついつい何度もおかわりしてしまいます。
名高いワインと一番人気のお菓子のペアリング
名高いデザートワインはパッシート・ディ・パンテレリア。シチリアのパンテレリア島で作られるモスカートを、収穫後に陰干しして作られるこの甘口ワインは、まさに地中海の恵みを凝縮させたよう。
パンテレリア島のブドウ栽培が無形文化遺産としてユネスコの世界遺産に登録されていますので、特別感もあります。このワインの歴史は紀元前まで遡り、昔も今も「黄金」と呼ばれるだけあって、輝く黄金色にはうっとりさせられます。
ドンナ・フガータ パッシート・ディ・パンテレリアは、オレンジピールやハチミツのニュアンスがあり、甘いだけではなくミネラル感もあり、味わいのバランスがとれています。余韻がとても長いので、リッチな味わいをデザートとともにゆっくり楽しむことができます。
パッシート・ディ・パンテレリアとのペアリングは、なんといってもクロスタータ。厚めのタルト生地にジャムをのせたイタリアの定番スイーツです。老若男女に愛されるクロスタータは、家庭でも非常によく作られます。イタリア人気ナンバーワンのお菓子ですので、ぜひ一度作ってみてください。
【クロスタータのレシピ】
▼材料
小麦粉…300g
バター…100g
砂糖…100g
卵…1個+卵黄1個分
卵白…少々
レモンの皮…1個分
お好みのフルーツジャム…300g
▼作り方
① 小麦粉と細かく切ったバターを、指を使ってポロポロになるように手早く混ぜる。
② 砂糖を混ぜた卵黄とすりおろしたレモンの皮を①に混ぜて手早くこねる。
③ ②をまとめて、ラップで包んで冷蔵庫で30分以上休ませる。
④ 生地の3/4をめん棒でのばし、タルト型(22センチ)に入れ、全体をフォークで穴をあける。
⑤ ④にジャムを塗る。
⑥ 生地の1/4をのばし、帯状に切り、ジャムの上に網目状に置く。
⑦ 卵白をほぐし、生地に塗る。
⑧ 180度のオーブンで30分焼く。
食事でワインを楽しんだ後、デザートとデザートワインであまーいペアリングを楽しんでみてください。
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イタリア在住ワインコーディネーター
2003年にフィレンツェに料理&ワイン留学。
2004年よりフィレンツェ在住。イタリアソムリエ協会ソムリエ資格保持。
トスカーナのワイナリーツアーを企画・主宰し、通訳案内もしている。
1日の終わりに、手作り料理とワインをペアリングすることが何よりの楽しみ。
▶︎フィレンツェ・イン・タスカ
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