ペアリングワイン

意外に珍しいドイツのおすすめ自然派ワイン

ドイツは、オーガニック先進国とも呼ばれナチュラル志向が高い国というイメージがあります。「自然派ワインもたくさんありそう!」と思ってしまうのですが、実はドイツは自然派ワインが非常に少ない現状です。

オーガニックのぶどうを使ったワインは多く見られるのですが、自然な製法のワインつくりがあまり盛んではありません。実際、フランスやイタリアに比べ、酸化防止剤である亜硫酸塩の使用量が多いといわれています。

また、ドイツワインのイメージは、透明でキラキラした綺麗なワインで、清涼剤が使用されていることが多いともいえます。なぜそうなのかということは、はっきりとはわかりませんが、長い歴史からビジネスや生産効率、また嗜好などの背景があったと考えられます。

しかしながら、そんなドイツにも、素晴らしい自然派ワインの生産者がいらっしゃいます。今回は、貴重なドイツの自然派ワインの造り手さんとおすすめのワインをご紹介したいと思います。

世界で1番厳しいといわれるデメテール認証

ドイツのオーガニック認証機関に、デメテール協会というものがあります。「デメテール」認証は、シュタイナーの提唱するビオディナミ(バイオダイナミック)農法を推奨しており、世界で最も厳しい基準のオーガニック認証といわれています。

デメテール認証は農産物や食品の原料の栽培方法における認証ですので、ワインにおいてはぶどうの栽培方法にかかわる基準とされます。

ドイツでは、デメテール認証のあるワインは約40程度あるといわれています。しかしながら自然派ワインと呼べるものは非常に少ない現状です。

デメテール認証が記載されていても、亜硫酸塩や清涼剤を使用した人工的な製法であればそれは自然派ワインとは呼べなくなるからです。

ドイツを代表する生産者フランク・ヨーン

ドイツを代表する自然派ワインの生産者といえば、フランク・ヨーンがまず挙げられるでしょう。ファルツにあるワイナリーでデメテール認証を取得しています。

ヨーン氏の造るワインは、リースリングのスパークリングワインと、リースリングの白ワイン、そしてピノ・ノワールの赤ワインの3種類のみです。

リースリングを樽を使って熟成させるなど、珍しい醸造を行っていることで有名な生産者です。

フランク・ヨーン リースリング・ゼクト・ブリュットは、珍しいリースリング100%のキリッとしたスパークリングワインです。シャンパーニュの製法と同じ、瓶内二次発酵で、上質でエレガントな仕上がりです。酸化防止剤の亜硫酸塩は極少量に抑えてあるため、ぶどうのジューシーな旨味がしっかり味わえます。

リースリングらしい酸がありながら深みもあるということで非常に人気の高く入手困難なことが多いです。ドイツの辛口の上質なスパークリングは珍しいので、ワイン会などの手持ちワインとして持参すると盛り上がる1本でもあります。

ラインヘッセンの若い夫婦の自然派ワイナリー、シュミット

ドイツの最大のワイン生産地と呼ばれるラインヘッセンで、自然派ワインつくりに取り組む、若い夫婦のワイナリー、エコロギッシェス ヴァイングート シュミット(Okologisches Weingut Schmitt)は素晴らしいワインを造っています。

ワイナリー名を直訳すると、「シュミット家のエコロジーなワイナリー」となります。ラインヘッセンは、235年以上の歴史あるワイン生産地で、夫のダニエルは、昔からラインヘッセン州のラインガウ地区にあるワイン醸造家シュミット家の息子です。

妻、ビアンカはハンガリーで醸造を学び、ナチュラルなワインつくりに興味がありました。ビアンカが、シュミット家に一通の手紙を送ったことがきっかけとなり、2人でナチュラルなワインつくりを始めるために、2010年に新しくワイナリーを立ち上げました。

2012年に取得が難しいといわれるデメテールの1ワイナリーとなりました。近年、2人の造るワインは、自然派ワイン通をうならせる素晴らしいワインとなり、世界中で話題となっています。

ドイツらしいキリッとした酸のリースリング

ラインガウ地区のリースリングは上質なことで知られていますが、シュミット家の造るリースリング} も、ラインガウらしい酸と、トロッとした蜂蜜のようなニュアンスがあります。

さらにシュミット家ならではの、らしいまろやかなナチュラル感やぶどう本来の味わいがしっかり感じられます。ドイツのリースリングはやっぱりこのはっきりした酸が魅力で、和食にも合わせやすく大好きな1本です。

その他、出汁の旨味がジュワーっと感じられるロゼもおすすめです。

ドイツの自然派ワインを見つけるのはなかなか難しいかもしれません。

本数も限られているため、タイミングを逃すと売り切れていることもよくあります。自然派ワイン専門店にドイツの自然派ワインが入ったら教えてもらうようにするのもいいかもしれませんね。

ぜひ一度お試しください。

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時本 早緒里

日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
365日違うワインを呑むをモットーに、自然派ワインを毎日嗜んでいます。
造り手さんの思いや製造工程に興味があり、人と地球に優しいワインを大切にその良さを伝えるワインセミナーを不定期で開催しています。
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