ペアリングワイン

品種も造り方も多種多様!イタリアの自然派ワイン〜イタリア中南部編〜

ワインに使用されるぶどうの品種が500種以上もあるイタリア。その土地ならではの土着品種も非常に多く、造り方も様々です。イタリア人の母国を愛し、生まれ育った地を大切にする心と、自由な発想の国民性が育んだワインともいえます。

今回は中部〜南部イタリアの個性あふれる自然派ワインと土着品種について紹介したいと思います。

美食の街の多様なワイン、エミリア・ロマーニャ州

エミリア・ロマーニャ州の州都「ボローニャ」は美食の街として世界的に有名です。ボローニャを境に、エミリア地方とロマーニャ地方に分かれていますが、ワインの特徴も違います。エミリア地方はお肉によく合う微発泡の赤ワインが主流で、ランブスコ種から造られています。

一方、ロマーニャ地方は、赤と白のスティルワインがメインで、赤ワイン品種としてサンジョヴェーゼ、白ワインはピニョレットが多く栽培されています。

ピニョレットはエミリア ロマーニャ州の土着品種で、一般的には微発泡ワインに使用されており、高級ワインというより気軽なテーブルワインとして多く出回っています。

エミリア ロマーニャ州の東部コッリ ボロネージにある「マリア・ボルトロッティ」のマモロ・ピニョレットは、自然栽培、天然酵母、最先端の機材はあえて一切使わないシンプルで超自然な方法で造られたワインです。

一般的なピニョレットのイメージとは全く違う、濃いアンバー色で、種のニュアンスが感じられそうなくらいガシッとしたタンニンがあります。ベッコウのようにトロっとしていますが、ピニョレットらしい酸や苦味もあり杏子のような味わいです。

古代ローマ時代からワインつくりが始まった、ウンブリア州

ウンブリア州は、イタリアの中心部にあり、中南部では珍しい唯一海に接していない位置にあります。

ワインの歴史は古く、古代ローマ時代にはすでに始まったとされています。赤白ワイン共にぶどうの栽培がされており、赤はサンジョヴェーゼ主体のものが多く、白はトレッビアーノや、グレケットという品種が多く使用されています。

グレケットは、ウンブリアの土着品種で、フレッシュな酸と柑橘系の果実味が特徴で白ワインに使われます。

ウンブリア州の州都ペルージャの近くの小さな町、カーザ・デル・ディアヴォロにある「マルコ・メルリ」のつくるブルチスコ・ビアンコは、トレッビアーノ、グレケット、マルヴァジーアのブレンドです。

ノンフィルターなので少し濁っていますが、非常にフレッシュで、フルーティなワインで、グレケットの特徴を感じられます。程良く苦味もあってクセになる味です。

肉でも白!の首都ローマがある、ラツィオ州

ラツィオ州は、イタリアの中央西側に位置する首都ローマがある州です。

ローマは白ワインの産地としても有名です。トレッビアーノやマルヴァジア主体のさっぱりした白ワインは、ローマでは肉料理にも合わせてごくごく飲むのが主流です。また、トレッビアーノの一種でラツィオ州の土着品種としてプロカニコという品種があります。

そんなプロカニコとマルヴァジアをメインにブレンドした、「レ・コステ」のリパッツォは、なんともユニークなワインです。2015年に作った白ワインが未発酵だったため、ヴィナッチャ(搾った後の果皮・種子)を加え、2016年に再度発酵をしたという、前代未聞のような造り方でできたワイン。

トロっとしたオレンジで、ちょっとスパイシーさもあり、杏子のようで、種子からのガシッとしたタンニンもあり、マーマレードみたいな感じのマニアにはたまらないオレンジワインです。

固有品種の宝庫、シチリア州

シチリア州は、地図でいうイタリアのブーツで蹴った小石の位置にある島で、イタリアの中でも郡を抜いて固有品種のぶどうが多く栽培されている地域です。

その理由は、古代ギリシャ時代に、ほとんどのぶどう品種がシチリアを経由してヨーロッパ各地に伝わったためといわれています。

シチリアは、料理も多種多様で、それにあわせてワインのタイプも様々です。赤白どちらのワインも造られていますが、シチリアの酒精強化ワイン「マルサラ」の原料として使われていた品種が多く、お花のような香りのインツォリア、非常に酸が強いカッリカンテ、潮のミネラルが感じられるグレカニコ、丸みのあるカタラットなどがあり、どれも土着品種です。

エトナの新星ともいわれる「エッセルチ」のエトナビアンコ は、カッリカンテを主体とした、グレカニコ、ミネッラ、カタラットのブレンドで、レモンやハーブの香りが心地よく、非常にフレッシュできれいな酸が続きますが、フルーティなコクも感じられる高級ワインです。

イタリアのワインは本当に品種が多く、ソムリエ試験でも受験生泣かせの国で有名なくらいです。冒険するには非常におもしろく、陽気なイタリア人ならではの気取らないカジュアルなワインも多いので、コップになみなみとついでゴクゴク飲むスタイルもおすすめです。

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時本 早緒里

日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
365日違うワインを呑むをモットーに、自然派ワインを毎日嗜んでいます。
造り手さんの思いや製造工程に興味があり、人と地球に優しいワインを大切にその良さを伝えるワインセミナーを不定期で開催しています。
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