ペアリングワイン

ワイン発祥の地ジョージアで造られる究極の自然派ワイン

皆様はジョージアという国をご存知でしょうか?2015年までは、日本では「グルジア」と呼ばれていた、トルコとロシアの間にある国です。

ジョージアは「8000年の歴史を持つ、世界最古のワイン発祥の地」として近年注目を浴びています。ジョージアの古代からの伝統的なワイン造りは、「究極の自然派ワイン」と呼ばれる理由を今回はお話ししていきたいと思います。

クヴェヴリを使った伝統的なワイン文化

ジョージアのワイン造りは「クヴェヴリ」と呼ばれるワイン用の素焼きの土器を用います。土器といっても男性が2―3人で転がさないといけないような非常に大きな甕(かめ)です。クヴェヴリの原料となる粘土は山から手作業で掘り出してきます。手の感覚で選びながら掘らなければいけないため、機械ではできないのです。

このクヴェヴリは土の中に埋められます。そして葡萄を潰して中に入れると自然に発酵が始まり、発酵が終わると果皮が下に自然に沈んでいくという工程で一切人為的な介入をせずワインが出来上がるのです。

ジョージアでは、ワインを造ると言わず、ワインを「育てる」というようです。この母胎にも似たような卵型のクヴェヴリに葡萄を入れて大切に見守る、それがジョージアのワイン造りということです。

このように、機械なども使わず、自然素材で造られたクヴェヴリで、一切手を加えずただ自然にワインが育つのを待つということが究極の自然派ワインと呼ばれる所以です。

ジョージアワインの特徴

では、ジョージアワインとはどんな特徴があるのでしょうか。ジョージアでは、赤ワインも白ワインも造られていますが、特に濃いアンバー色をした白が特徴があり人気です。いわゆるオレンジワインと呼ばれるものです。タンニンがしっかりと感じられ強い味わいのものが多いです。

ジョージアはトルコと似ていて、西洋と東洋の両方の特徴をあらわす料理文化で、薬草やスパイスを使った料理が多く、これらの料理と合わせても負けない味わいのワインのため、中華やアジア料理にもよく合います。

ジョージアでは、小籠包にそっくりのヒンカリという食べ物があり、特に小籠包と合わせるのがおすすめです。もちろん西洋料理にもよく合います。ジョージアでは、ハチャプリというチーズをはさんだパンがよく食べられています。チーズ料理にも相性がいいのでぜひ試してみてください。

おすすめジョージアワイン

▶︎ツィツカ ゴッツァ ファミリーワイン

ジョージア古代の村、アシュレティ渓谷にある家族経営のワイナリーで、ツィツカという品種100%で造られています。ツィツカは、ジョージアの中心部イメレティ地方で最も盛んに栽培されている品種で、メロンや洋梨、蜂蜜のような香りと味わいがあります。

「ツィツカーツォリコウリ ゴッツァ」は、アンバー色で、タンニンが強く、出汁のような旨味を感じます。肉じゃがやすき焼きなどの甘辛い料理や、出汁が効いた和食によくあいます。スパイシーな料理にもおすすめです。

▶︎ゴギ クレイドル・オブ・ワイン

カヘティの生産者で、土着品種ルカツィテリ75%、ムツヴァネ20%、チヌリ5%のブレンドです。濃いアンバー色のワインは、クヴェヴリを使用した、ジョージアの伝統的な製法で、タンニンの強いオレンジワインです。

カモミールの香りがする印象的なワインです。ガシッと紅茶のようなタンニンがありますが、フレッシュでフルーティです。スパイスの効いた料理にとてもよく合います。

▶︎クラフナ ヴィノ・マルトヴィレ

ジョージアの白に一般的に使用されるクラフナという葡萄100%で造られています。クラフナは、口で弾けるような味を意味しています。

ステンレスや木樽で発酵させると、バナナやアプリコット、蜂蜜のような香りや味わいとなり、クヴェヴリで発酵させると、深いオレンジ色になり、しっかりしたタンニンとハーブのニュアンスが出ます。クラフナ ヴィノ・マルトヴィレは、クヴェヴリで 5ヶ月発酵した後、ステンレスタンクで3ヶ月熟成しているため、上記の特徴が両方楽しめます。

外観はクリームイエローで、ハーブの香りがします。レモンのような酸がはっきりと感じられ、あとからタンニンが来るイメージです。ハーブをたっぷり使った野菜料理や、塩味の効いたハーブチキンなどによく合います。

▶︎ラパティ テトリス ムツヴァネ

ジョージアで初めてクヴェヴリを使ってペティアン(微発泡ワイン)を造ったことで有名な生産者です。2015年設立の若い生産者で、エチケットも一般的なジョージアとはイメージが違います。ムツヴァネという品種100%のワインです。ムツヴァネは、ジョージアの最東部カヘティ地方で栽培される非常に古い品種で香りが控えめな特徴です。

「ラパティ テトリス ムツヴァネ 」は、濃いイエローで、香りはムツヴァネらしく控えめです。味は非常に特徴があり、タクアンのような甘さがあり、かつ出汁がきいているニュアンスです。ゆるーいアタックで、酸も弱めの独特な味わいで、クセになるか、あまり合わないか好みが分かれそうな個性的なワインです。だし巻き卵や、茶碗むし、いぶりがっこなど、出汁のきいた甘めの和食によく合います。

古代から伝わる自然な方法で育てられるジョージアワイン。

究極の自然派ワインと呼ばれる理由ご納得頂けましたか?

古代の製法の価値に多くの人が魅了される古くて新しいワイン。ぜひ一度お試しください。

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時本 早緒里

日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
365日違うワインを呑むをモットーに、自然派ワインを毎日嗜んでいます。
造り手さんの思いや製造工程に興味があり、人と地球に優しいワインを大切にその良さを伝えるワインセミナーを不定期で開催しています。
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