ペアリングワイン

ボージョレ・ヌーヴォーの醸造方法「マセラシオン・カルボニック」を施したチャーミング系ワイン

マセラシオン・カルボニックのワイン

ボジョレー・ヌーボーなど、主に新酒醸造に用いられてきたマセラシオン・カルボニックという醸造方法をご存知の方も多いと思います。

まるでキャンディのようなアロマティックな香り、色素を抽出して渋味は抽出せず、親しみやすいフルーティーなワインに仕上げることができるので新酒以外だけではなく、近年はナチュラルワインにもマセラシオン・カルボニックやセミ・マセラシオン・カルボニックを行ったワインが多く存在しています。

◆マセラシオン・カルボニックとは?

別名を炭酸ガス浸漬法といいます。収穫したブドウを破砕せずに房のままCO2で満たしたタンクに入れて密閉し発酵させる方法です。

効果として、酸素と接触しないことで酸化が抑制され、フレッシュで渋みが少なく、ブドウの皮から色素が抽出されて色が濃く、リンゴ酸を分解し、グリセリンが生成され、まろやかな味わいのワインが出来ます。

通常のワインより短期間で造ることができるので、解禁日の定められた新酒の醸造でよく用いられています。マセラシオン・カルボニックを人的介入として嫌がる生産者もいて、同じ原理をより自然な方法で行う生産者もいます。

◆セミ・マセラシオン・カルボニックとは?

セミ・マセラシオン・カルボニックと呼ばれる方法は、上の空いた発酵槽にブドウを入れていき、自重で潰れたブドウからアルコール発酵が始まり、自然に発生した二酸化炭素が作用する自然な方法です。主に自然派ボジョレー・ヌーボーの生産者が用いているのが、このセミ・マセラシオン・カルボニックです。

通常のマセラシオン・カルボニックと同じような効果とされていますが、野生酵母による発酵が多いためか、より旨みが溶け込んでいるように感じます。

どちらの方法で造られたワインでも、肩肘張らずに楽しめる親しみやすさがあり、少し甘みのある味付けの多い日本の食卓にぴったりなので、家飲みワインにオススメです。

それでは、チャーミングな魅力溢れるワインを紹介します。ステイホームを楽しく乗り越えましょう♪

フエンテ・ミラノ・ヴェルデホ ボデガス・ペドロ・エスクデーロ

スペインの白ワインの銘醸地ルエダにあるボデガス・ペドロ・エスクデーロ。とっても面白くて是非紹介したいワインがこちらのフエンテ・ミラノ・ヴェルデホです。

何が面白いのかと言いますと、このワインはスペインが誇る伝統品種ヴェルデホを4つの醸造法で造り、それらのワインをアッサンブラージュして造られているのです。

マセラシオン・カルボニックを施したワイン、プレスワイン、樽熟成のワイン、 残糖のあるワインをそれぞれ醸造し、混ぜて造るワインなんて他に聞いたことがありません。

ジューシーなオレンジ色の果肉のメロン、パイナップルキャンディ、ハーブなど甘やかさの中に爽やかさを感じる香り、ピュアな果実味、穏やかに酸が広がり、優しい甘みと余韻に感じるオレンジピールのような心地良い苦味のコントラストが奥行きを感じさせ、なんとも癖になる味わいです。

素晴らしいコストパフォーマンスも大きな魅力です。

▶︎フエンテ・ミラノ・ヴェルデホ ボデガス・ペドロ・エスクデーロ

* 原産国:スペイン
* 産地:ルエダ
* 品種:ヴェルデホ
* 生産者:ボデガス・ペドロ・エスクデーロ
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* 容量:750ml

シャトー・ルミエール プレステージ・クラス・オランジェ

宮内庁御用達の由緒正しきワイナリーであるシャトー・ルミエール。マセラシンカルボニックで醸造し、樽熟成を経た甲州種のオレンジワインは、コストパフォーマンスにも優れ、入荷しても直ぐに売り切れてしまう人気ワインです。

白桃、アプリコット、マンゴーなどの熟れた果物の香り、滑らかな舌触りに柔らかくジューシーな果実味、フレッシュな酸味がシームレスに広がり、オレンジの果皮のようなほろ苦味が残る心地良い余韻となります。

▶︎シャトー・ルミエール プレステージ・クラス・オランジェ

* 原産国:日本
* 産地:山梨
* 品種:甲州
* 生産者:シャトー・ルミエール
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* 容量:750ml

コート・ド・ルーション・ヴィラージュ・シャリヴァリ ドメーヌ・デュ・ポッシブル

ドメーヌ・デュ・ポッシブルの名の由来は「可能な限り突き進むんだ。そうすればできるんだ。」

元々はワイン生産者ではなく、自然派ワインに魅せられ、偶然に出会ったルーションのブドウ畑に一目惚れして生産者になったルイックの信念を表しています。

標高400mの北向きの斜面で育った樹齢50年以上のカリニャンにセミ・マセラシオン・カルボニックを施したワインを濾過せず瓶詰めしたシャリヴァリは、カリニャンのイメージを覆す程とってもエレガント。ピレネー山の谷間に吹くトラモンタンヌという名の強い風も手伝って、農薬は一切使わずに自然な農業を行っています。

柘榴、マーマレード、ローズヒップティー、シガーの香り、口に含んだ途端に華やかに広がるチャーミングな果実味に、フレッシュな酸味がしなやかに余韻へと繋がります。既成概念にとらわれず、是非お試しいただきたいワインです。

▶︎コート・ド・ルーション・ヴィラージュ・シャリヴァリ ドメーヌ・デュ・ポッシブル

* 原産国:フランス
* 産地:ルーション
* 品種:カリニャン
* 生産者:ドメーヌ・デュ・ポッシブル
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* 容量:750ml

マセラシオン・カルボニックを施したワインのチャーミングで親しみやすい魅力を感じてください♪

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Haruka Kageyama

JSA Sommelier
The Ritz Carlton Tokyo Azure45や、阿部誠氏が率いる「東京ぶどう酒店」、「サロン・ド・シャンパーニュ ヴィオニス」、フランスのシャンパーニュ地方ランス「Domaine les Crayéres」にて10年以上サーヴィス、ソムリエールとして働く。
現在様々な形でワインを広めるべく雑誌やウェブメディアにて執筆中。 Haruka Kageyamaの記事一覧 

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