イタリアのクリスマスのワインペアリング

by 太田由歌

イタリアでは、クリスマスは年間行事のなかで最も重要なイベントです。クリスマスの飾りつけをし、プレゼントを交換し、家族でゆっくりと過ごします。そのとき、どんな食事を楽しみ、ワインを飲んでいるのでしょうか。

今回は、イタリアのクリスマスのワインペアリングをご紹介します。

クリスマスのパスタ

クリスマスは1年で最大のお祝いごとですから、食事にも気合が入ります。イタリアのクリスマスの食事は、12月25日の昼食です。たいていは家族や親せきが集まって、大人数の食事になります。前菜、パスタ、メイン料理、デザートとコースで食べ、ゆっくりと家族の時間を楽しみます。

ここで注目したいのがパスタ料理です。普段は乾燥パスタが使用されることが多いのですが、特別な日は生パスタを作ります。ホームメイドパスタは、作るのに時間がかかりますが、特別なときにこそ食べたい大人気のメニューです。特に、中に詰め物が入っている生パスタは、スペシャルなごちそうです。

詰め物パスタの代表といえば、ラビオリ。中の具材は、リコッタチーズとほうれん草がポピュラーです。パスタと詰め物の味を楽しむために、シンプルなバターのソースで味わいます。

イタリアの伝統的なラビオリのレシピをご紹介します。

【ラビオリのレシピ】

▼材料（4人分）
生パスタの材料：
小麦粉…250g
卵…2個
塩…ひとつまみ
詰め物の材料：
ほうれん草…250g
リコッタチーズ…125g
ナツメグ…適量
塩胡椒…適量
ソースの材料：
バター…60g
セージ…約4枚
パルミジャーノチーズ…大さじ4
胡椒…適量

▼作り方
① パスタを作る。台の上に小麦粉を山にして置き、真ん中にくぼみを作り、その中に卵を割り入れ、塩を入れ、フォークでかき混ぜる。
② まとまってきたら手で約10分こねる。
③ ラップをして30分ほど休ませてから、めん棒で薄くのばす。
④ パスタを休ませている間に詰め物を作る。鍋に少量の水をわかし、塩を入れ、ほうれん草をゆでる。
⑤ ゆであがったほうれん草は、よくしぼり、みじん切りにする。
⑥ ボールにリコッタチーズとほうれん草、ナツメグ、塩胡椒を入れ、よく混ぜる。
⑦ ⑥をスプーンですくって、パスタの上に等間隔に置き、もう1枚のパスタを重ねて、四角い形に切る。詰め物が出てこないよう、周りをしっかり指でおさえてくっつける。
⑧ 大きな鍋にお湯をわかし、塩を入れ、ラビオリをゆでる。うきあがってきたらゆであがり。
⑨ フライパンにバターとセージを入れ、弱火でバターをとかし⑧を入れ、あえる。パルミジャーノと胡椒をかける。

ラビオリとのペアリングワイン

ラビオリは、中にリコッタチーズ、ソースにバターとパルミジャーノという脂肪分の多い料理です。それをまろやかにしてくれる白ワインをペアリングをすると、ハーモニーの生まれるマリアージュになります。セージの風味と生パスタ自体のデリケートな甘味が生きる、フリウラーノ種のコッリオDOCがベストマッチです。

コッリオDOCは、北イタリアのフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州で造られており、マルヴァジアやピノ・ビアンコ、ソーヴィニョンなど、複数のブドウ品種ごとに格付けが認められています。

ラビオリとのペアリングは、フリウラーノ種のコッリオDOCがぴったりです。繊細なアロマが口の中に広がる上品な味わいです。イタリア料理の巨匠といわれるシェフ、故グアルティエーロ・マルケージも、ラビオリとフリウラーノ種のコッリオDOCのペアリングを推奨しました。

おすすめのペアリングワイン

ここで、フリウラーノ種のコッリオDOCのおすすめワイン3本をご紹介します。

▶︎ロンコ・デイ・タッシフリウラーノ

ロンコ・デイ・タッシは、1989年に誕生した家族ワイナリーです。小規模ですが、国内外で高い評価を受け、高品質なワインを生み出しています。ロンコ・デイ・タッシのフリウラーノは、白い花、青リンゴや洋梨の香りが感じられます。心が澄み渡るようなミネラル感、みずみずしい果実味、フレッシュな酸味があり、しなやかな味わいです。

▶︎フリウラーノリヴォン

リヴォンは、1964年にドリーノ・リヴォンにより設立されたワイナリーです。現在は、彼の息子たちがワイン造りをおこなっています。リヴォンのフリウラーノは、フローラルでフルーティーな香りとアーモンドのニュアンスがあります。豊かなアロマが口の中に広がり、ボディのあるほがらかな味わいです。

▶︎コッリオフリウラーノスキオペット

スペシャルな日のためのワンランク上のワインをチョイスしたい方は、スキオペットの「フリウラーノ」がおすすめです。世界的に権威のあるイタリアのワインガイド本ガンベロロッソの最高賞のトレ・ビッキエーリ（3グラス）を、2014年、2015年、2016年、2017年ビンテージで獲得しました。

スキオペットは、1965年にマリオ・スキオペットにより設立されたワイナリーです。現在は、亡きマリオのワインに対する情熱を受け継いでワイン造りをおこなっています。

スキオペットのフリウラーノは、熟した洋梨やアンズの香り、ナッツ香があり、野原いっぱいに咲き誇る花を感じることができます。アロマが重なり合う複雑な味わいでありながら、フレッシュです。酸味、塩味（えんみ）、果実味のバランスがよく、余韻のある白ワインです。

まとめ

いかがでしたか？みなさんもクリスマスのシーズンに、イタリアの伝統のワインペアリングをぜひ試してみてください。

太田由歌

イタリア在住ワインコーディネーター
2003年にフィレンツェに料理＆ワイン留学。
2004年よりフィレンツェ在住。イタリアソムリエ協会ソムリエ資格保持。
トスカーナのワイナリーツアーを企画・主宰し、通訳案内もしている。
1日の終わりに、手作り料理とワインをペアリングすることが何よりの楽しみ。
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