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イタリアワイン人気のピノ・ノワール

フランスのブルゴーニュ地方が原産地の赤ワイン用ブドウ品種のピノ・ノワール。イタリアでは、ピノ・ネロといいます。華やかな香りでエレガントな味わいのワインを産む、世界でも名高いブドウです。

ピノ・ノワールは繊細なブドウ品種のため、栽培が難しいとされて、イタリアでは、北イタリアで栽培されています。イタリアの土着品種ではありませんが、その芳香と優美さでイタリアでもファンが多いワインです。

今回は、イタリアで人気のピノ・ノワール(ピノ・ネロ)のワインをご紹介します。

イタリアの人気ピノ・ノワール

イタリアのピノ・ノワール(ピノ・ネロ)の名産地は、オーストリアと国境を接するイタリア最北端のトレンティーノ・アルトアディジェ州で、ここは山岳地が多く、冷涼な気候です。

▶︎カステルフェデール グレネール・ピノ・ネロ

カステルフェデールは、1969年にアルフォンス・ジョヴァネットにより設立されたファミリー経営のワイナリーです。彼はすでに90歳を超えていますが、なお現役でワイン造りに情熱を注いでいます。その情熱は息子のグンターにも引き継がれています。

このワイナリーは、トレンティーノ・アルトアディジェ州のボルツァーノ県に位置し、冷たい風はアルプス山脈にさえぎられ、日照時間、温度ともブドウ栽培に適しています。この微気候(マイクロクライメット)が高品質なワインを生み出します。

シャルドネ、ピノ・ビアンコ、ピノ・グリージョ、ソーヴィニョン、メルローなどフランス品種が栽培され、特にピノ・ネロは上品で繊細なワインとなります。

450~790メートルという高い標高でできるということもあって、ピノ・ネロは、格別な味わいを持つワインです。ブラックチェリーの香りが広がり、樽熟成からくるバニラのニュアンスも感じられます。しっかりとしたボディで、まろやかで華麗なピノ・ネロです。

▶︎ギルラン パトリシア・ピノ・ネロ

ギルランは、1923年に23の生産者で設立された組合組織で、現在は200以上の生産者から成っています。トレンティーノ・アルトアディジェ州のボルツァーノ県にあり、畑の面積は220ヘクタールにおよびます。ミネラルを多く含む土壌で、ワインにも豊かなミネラル感があります。

昼夜の寒暖差が大きく、長期熟成に耐えるエレガントなワインとなります。パトリシア・ピノ・ネロは、ギルランの単一畑シリーズで、ピノ・ネロに最適な、標高450~500メートルの丘の畑から造られます。ベリー系の果実のニュアンスの中に、バニラの香りが感じられます。ビロードのようななめらかな口当たりで、優美なワインです。

▶︎サン・ミケーレ・アッピアーノ ピノ・ネロ・リセルヴァ

トレンティーノ・アルトアディジェ州は、協同組合が発達していることでも知られています。協同組合はブドウ栽培農家からブドウを買い取り大量にワインを生産するというイメージがあるかもしれませんが、トレンティーノ・アルトアディジェ州の協同組合は、多くの農家を抱えていても行き届いた管理がなされ、高品質なワインを生み出しています。

サン・ミケーレ・アッピアーノは、世界的にも評価の高い協同組合です。それぞれの畑の特徴を生かすように、ブドウの個性ごとに醸造、熟成をおこなっています。醸造家を務めるハンス・テルツァー氏は、1997年に世界の醸造家トップ10に入った実力の持ち主です。

2000年、イタリアワイン専門誌ガンベロロッソで「ワイナリー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれました。さらにドイツ最大の、ライフスタイルの専門誌「Der Feinschmecker」誌でワインの賞を受けるという栄誉に浴しました(2017年)。

重力によってブドウとワインを移動させるグラヴィティ・フローの3万平方メートルもの蔵が2020年に完成しました。さらなる未来を期待させるこれからも注目の協同組合です。

多数の種類のワインを造っていて、その中でもセレクションシリーズのピノ・ネロ・リセルヴァは、畑を厳選して造られます。ラズベリーなどの赤い果実の香りはやさしく、なめらかな口当たりでしなやかな味わいです。小樽で12か月熟成させることから、バニラのニュアンスも感じられます。世界にも認められる流麗なピノ・ネロです。

▶︎エレナ・ワルク ピノ・ネロ・ルドヴィグ

現当主の女性エレナ・ワルクの名前がついているこのワイナリーは、エレナとその娘ジュリアとカロリーヌが中心となっているファミリー経営の造り手です。トレンティーノ・アルトアディジェ州のボルツァーノ南のテルメーノ村に位置します。ドロミテ山塊の冷涼な気候と石灰質の土壌がエレガントなワインを生み出します。

エレナ・ワルクの信条は、このテロワールを最大限にいかしたワインを造ること。ピノ・ネロ・ルドヴィグは、コレクションラインのピノ・ノワールで、16か月間フレンチオークで熟成されます。

濃く輝いたルビー色で、サクランボやフサスグリの香りが広がり、胡椒のニュアンスもあります。余韻が長く、濃密なタンニンがありながら、デリケートかつフレッシュでバランスがとれています。

優美なピノ・ノワールといえばフランスというイメージですが、イタリアにもそれに負けないピノ・ネロがあります。

ぜひイタリアのピノ・ネロを味わってみてください。

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太田 由歌

イタリア在住ワインコーディネーター
2003年にフィレンツェに料理&ワイン留学。
2004年よりフィレンツェ在住。イタリアソムリエ協会ソムリエ資格保持。
トスカーナのワイナリーツアーを企画・主宰し、通訳案内もしている。
1日の終わりに、手作り料理とワインをペアリングすることが何よりの楽しみ。
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