ペアリングワイン

ソムリエ&チーズコーディネーター直伝!ワインとチーズの合わせ方~ハードタイプ編~

ワインとチーズのペアリングは、有名ですが、相性のよい合わせ方があるのを知っていますか?

今回は、ハードタイプのチーズとワインの合わせ方をご紹介します。

ハードタイプのチーズって?

ハードタイプのチーズは、ナチュラルチーズの中で一番、硬いチーズ。原料乳を凝固させ、高温で攪拌し、強力なプレスによって水分を抜き、4か月以上熟成させます。

熟成したチーズは、熟成香と深いコクがあるので、グルメ通に人気があります。保存性が高く、昔は冬の保存食でした。

世界で有名なハードタイプのチーズは、フランスのコンテ、ボーフォール、アボンダス、ミモレット、イタリアのペコリーノ・ロマーノ、パルミジャーノ・レッジャーノ、スイスのエメンタール、グリュイエールなどです。

イタリアのペコリーノ・ロマーノは、ローマのロムルス王によってつくられたイタリア最古の羊乳のチーズ。パルミジャーノ・レッジャーノは、「イタリアのチーズの王様」といわれているもの。

また、スイスのエメンタールは、チーズ・アイとよばれる大きな穴のあいたチーズ。アメリカのアニメ「トムとジェリー」で見たことがあるのではないでしょうか?

大きな穴は、プロピオン酸菌がチーズの中でプーッと炭酸ガスを発生させてつくる空洞です。スイスのグリュイエールと合わせれば、チーズフォンデュができます。

ハードタイプのチーズとワインの合わせ方!

ハードタイプのチーズには、フルボディの白ワインと赤ワインを合わせると良いです。

★フルボディの白ワイン
フルボディの白ワインとは、甘味と酸味と苦味が強く、樽香と深いコクのある白ワインのこと。全体的には、ふくよかな印象です。

シャルドネやヴィオニエなどのブドウをアルコール発酵させ、木樽で熟成して造ります。この代表格は、ブルゴーニュ地方の長期熟成タイプの白ワインやコート・デュ・ローヌ地方のコンドリューなどです。

合わせるチーズは、濃厚なコクがあり、樽に似た香ばしさを醸すもの。コンテ、ボーフォール、アボンダス、エメンタール、グリュイエール、ペコリーノ・ロマーノ…。チーズにナッツを添えると、相性度がグ~ンとアップします。

赤ワインの場合、ライトボディとフルボディとでは、相性のよいチーズが違います。ミディアムボディなら、テイストの近い方を参考にしてください。

★ライトボディの赤ワイン
ライトボディの赤ワインとは、ラズベリー、チェリーなどの果実の香味が主体の軽快な赤ワインのこと。タンニンの渋みが少なく、フレッシュなのが魅力です。スリムなボディは、シャープな印象。

主なブドウの品種は、ピノ・ノワール、ガメイ、サンジョヴェーゼ、マスカットベーリーAなどです。選ぶときの目安にします。フランスのボージョレ・ヌーボー、イタリアのキャンティなどが代表格。

ワインは軽やかですが、黒ブドウの香味があるので、フルボディの白ワインと同格に考えましょう。

合わせるチーズは、フルボディの白ワインと同じでO.K。チーズにベリー系のフルーツを添えて、ワインの果実味と同調させるとよいでしょう。白ワインとの違いは、赤ワインのタンニンが口の中をリセットすることです。

★フルボディの赤ワイン
フルボディの赤ワインとは、複雑で濃厚な香味と力強いタンニンの渋みをもった赤ワインのこと。豊満なボディは、高貴な熟女といえるでしょう。

カベルネソーヴィニヨンやシラーなどのブドウをアルコール発酵させ、長期間、熟成したものをいいます。ボルドー地方の赤ワインやコート・デュ・ローヌ地方のコート・ロティ、エルミタージュなどが代表格。

合わせるチーズは、ハードタイプのチーズの中で、最も濃厚なコクがあり、複雑な香味をもつもの。コンテ、ペコリーノ・ロマーノ、ミモレット、パルミジャーノ・レッジャーノなどがよいでしょう。

今回はコレ!フルボディの赤ワイン「ル・オー・メドック・ド・ジスクール」

「ル・オー・メドック・ド・ジスクール」は、フランスボルドー地方メドック地区の格付け第3級のシャトー・ジスクールが手がけた赤ワインでサードラベル!といわれています。

シャトー・ジスクールでは、「ル・オー・メドック・ド・ジスクール」をファーストラベルと同じ製法で醸造。ファーストラベルとの違いは、ブドウだけ。

ファーストラベルは、マルゴー村のブドウ畑、「ル・オー・メドック・ド・ジスクール」は、オー・メドック村のブドウ畑のブドウから造られ、カベルネソーヴィニヨンとメルローのブレンドです。

キュッキュッキュッ…ポン。プラム、キャンディー、黒コショウ、カシス、チェリー、スギ、枯れ葉…。紫色の果実の香りが漂います。

甘味が強く、コクがあり、タンニンの渋みは穏やか。余韻には、ほんのりと焦げた苦味が残ります。ちょっぴり太った気位の高い女性の印象。格付けのあるシャトーのワインだ!と実感します。

「ル・オー・メドック・ド・ジスクール」×コンテのペアリング

コンテは、フランスで生産量No.1のチーズ。フランス東部のフランシュ・コンテ地方が原産で、赤茶と白の斑点がキュートなモンベリアード牛の乳からつくられます。

モンベリアード牛は、干し草だけで育てられる乳牛。チーズの直径は35~75センチ、高さは11~16センチ、平均の重さは40キロ。大型のチーズなので、小さくカットして売られます。

紙の包みを開くと、こげ茶色の外皮の付いたベージュ色のチーズが現われます。香りは、ミルク、マッシュルーム、ナッツ、牧草、キャラメル…。熟成感はほどほど(12か月熟成)です。

栗のようなホクホクとしたテクスチャーと共に、強い甘味と濃い旨味が口いっぱいに広がります。ほのかなハーブの風味がアクセントになって、クセになる味わい。

「ル・オー・メドック・ド・ジスクール」とコンテは、似た者同士のペアリング。強い甘味と深いコクが100%同調します。ちょっとだけ感じられるワインの渋みとチーズの中のハーブの風味は、味わいの個性として、マリアージュのレベルを高めています。

「チーズはワインの最良の友」。フランスの格言です。ハードタイプのチーズに最良の友のワインを合わせて、乾杯!

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高階 明子

フリーライターとして活動中。
日本ソムリエ連盟のソムリエ資格、チーズコーディネーター協会のチーズコーディネーター資格をもっています。
ワインショップでソムリエをした経験もあります。
大のワイン好き!夫と二人暮らし。
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