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ソムリエ&チーズコーディネーター直伝!ワインとチーズの合わせ方~白カビ編~

白カビのチーズは、ナチュラルチーズの中で比較的食べやすいチーズです。特にビギナーの方にはおすすめ!

今回は、白カビのチーズとワインの合わせ方をご紹介します。

白カビのチーズなら、食べられる?

白カビのチーズは、白カビが表面を覆ったソフトなチーズ。白カビは、製造工程の途中、グリーンチーズ全体にスプレーで噴霧します。

そして、3週間以上、熟成。白カビがタンパク質と脂質を外側から内側へと分解し、白カビ固有の香味を産生すれば、完成です。

ミルクとマッシュルームの芳香は、山のある牧場を思わせ、甘味のある味わいは、クセがないため、食べやすいといわれます。

熟成が進むと、ソフトなチーズがとろけるほどになります。また、白カビが死んでいくので、アンモニア臭が出ます。熟成すると、ちょっと食べ辛いかな。

白カビのチーズといえば、フランスに有名なものがずらり。シャウルス、カマンベール・ド・ノルマンディー、ヌーシャテル、バラカ、ブリー・ド・モー…。

シャルル・ド・ゴール大統領は「フランスには246種類もチーズがある。こんな国を統治できると思うかね?」と嘆いたとか…。フランスとチーズは、切っても切れない関係のようです。

ヌーシャテルは、1050年頃から、ノルマンディー地方でつくられているチーズ。ハート型のほか、四角形、長方形、樽栓型などがあります。ハート型はキュートなので、プレゼントに良いですよ。

バラカは、イル・ド・フランス地方の馬蹄形のチーズです。バラカとは、馬蹄形という意味。馬蹄形は、フランスでは、幸運の象徴として、愛されています。

ブリー・ド・モーは、イル・ド・フランス地方でつくられるチーズの王様です。直径およそ36センチ。白カビのチーズの中では、一番の大判です。香味は上品。フランク王国を築いたカール大帝が賞賛したという逸話があります。

ブリー・ド・モーは、ブリー・ド・ムラン、ブリー・ド・クロミエと共に、ブリー3兄弟のひとつ。ブリー・ド・モーは、長男です。

白カビのチーズとマリアージュするワインは

白カビのチーズは、スパークリングワイン、ライトボディの白ワイン、フルボディの白ワイン、フルボディの赤ワインなどがおすすめです。

白カビのチーズのクセのなさは、スパークリングワイン、ライトボディの白ワインの軽快さと同調。また、白カビのチーズは、熟成が進むと、旨味とコクが強まるうえ、アンモニア臭、塩味、苦味が明確になるので、その場合は、コクと苦味のあるフルボディの白ワイン、濃厚で複雑なフルボディの赤ワインを合わせるとよいでしょう。

「ブルゴーニュ・シャルドネ」をセレクト!

「ブルゴーニュ・シャルドネ」は、ブルゴーニュ地方の名門ドメーヌであるアンリが仕立てるシャルドネ100%の白ワイン。故ブルゴーニュワインの偉人アンリ・ムージェの意志を継いで造られたものです。

コルクを抜き、グラスにワインを注ぎます。蜜入りのリンゴ、マンゴー、パイナップル、ハチミツ、黒コショウ…樫の香りがします。

甘味と酸味のバランスがよく、余韻に、なめらかなハチミツの甘味と樽の苦味が残ります。サッパリ感のある典型的なブルゴーニュ地方のシャルドネ。ボーイッシュな女性の印象です。

さっそく、カマンベール・ド・ノルマンディーとマリアージュしてみましょう。

カマンベール・ド・ノルマンディーと「ブルゴーニュ・シャルドネ」のカップル成立!

カマンベール・ド・ノルマンディーは、1791年、農家のアレル夫人がフランス・ノルマンディー地方・カマンベール村でつくった平らで丸い白カビのチーズです。

ノルマンディー牛の無殺菌乳からつくられます。専用のおたま(ルーシェ)を使って、凝固乳(カード)をすくい、型(モールド)に詰めます。

白カビを噴霧し、完成したチーズは、型崩れを防ぎ、湿度の調節を行うため、木のパッケージに入れます。このように、製法を順守したものだけが、カマンベール・ド・ノルマンディーと名乗れます。

命名したのは、チーズ好きの皇帝ナポレオン。街のカマンベールは、カマンベール・ド・ノルマンディーとは違います。

ノルマンディー地方は、リンゴの栽培と酪農が盛んなので、地元の人々は、リンゴの蒸留酒カルヴァドスとチーズをマリアージュして、楽しみます。

今回は、「ブルゴーニュ・シャルドネ」をセレクト。シャルドネは、リンゴの香味があるので、カルヴァドスと同じように、カマンベール・ド・ノルマンディーによく合います。

カマンベール・ド・ノルマンディーを木のパッケージから出します。木、ミルク、マッシュルーム、塩、ナッツ…の香りが漂います。

ツルツルとしたテクスチャーは、ユーモラス。塩味、旨味、甘味が主体で、クセがなく、サッパリしています。余韻は、苦味。熟成度は、「まだ若い!」といった感じです。

カマンベール・ド・ノルマンディーを食べ「ブルゴーニュ・シャルドネ」を飲む…。

ワインとチーズにある木の香り、サッパリ感、余韻の苦味が同調します。相性のよさを実感!

また、ワインは、チーズの甘味とミルクの臭みを帯び、コクと複雑さが増すので、グレードがグ~ンと高まります。

格付けA.C.ブルゴーニュが、格付けA.C.コート・ド・ボーヌになったみたい…。ワインが美味でやめられない?

時計の針が進むと「ブルゴーニュ・シャルドネ」は、甘味が出る、カマンベール・ド・ノルマンディーは、アンモニア臭、苦味が出るので、先と違ったマリアージュが楽しめます。こちらは、ビギナー+αの香味。

フランス人になったつもりで、ぜひ、一度、お試しあれ!

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高階 明子

フリーライターとして活動中。
日本ソムリエ連盟のソムリエ資格、チーズコーディネーター協会のチーズコーディネーター資格をもっています。
ワインショップでソムリエをした経験もあります。
大のワイン好き!夫と二人暮らし。
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