ペアリングワイン

初心者にもおすすめのウォッシュチーズ3選とワインのペアリング

『ワインの最高の相方といえば?』の質問に、真っ先に頭に浮かぶほどチーズとワインは最高の組み合わせですよね!

でも、ウォッシュチーズにはどんなイメージを持っていますか?

なんか臭そう。
食べたことない。
どれが美味しいのか分からない。

ですよね。分かります、その気持ち。

そもそも、ウォッシュチーズとは、『チーズ表面のについた菌の働きをコントロールするために、塩水や地域の酒で洗いながら熟成させる製法』で造られるチーズのことです。

表面の香りが強く個性的なため、ツウ向きのチーズとも言えますが、その中身はとてもクリーミーで食べやすいものが多い、といった特徴も持っています。

というわけで今回は、初心者にもおすすめのウォッシュチーズ3選と、相性ぴったりのワインをご紹介していきます!

チーズの王とも称えられる最も有名なウォッシュチーズ、エポワス!

エポワスは、フランスのブルゴーニュ地方・エポワス村の名産であり、ウォッシュチーズの代表格とも呼べるとても有名なチーズです。

牛乳によって造られ、塩水と地酒のマール(ぶどうの蒸留酒)で丹念に表面を洗いながら熟成を重ねることで、独特の香りと旨みが凝縮されます。

表皮はしっとりとしたオレンジ色のシワが寄っており、個性的で強い芳香を放ちますが、中身は穏やかでトロリとした口当たり、濃厚でクリーミーな風味を持っています。

フランスではスプーンやナイフですくい、バケットと共に食べることが一般的のようです。かのナポレオンも大好物だったと言われており、時代を問わず愛され続けるウォッシュチーズでもあります。

【エポワスにぴったりの赤ワイン】

▶︎ドメーヌ・カミュ ジュヴレ・シャンベルタン

* 原産国:フランス
* 生産地:ブルゴーニュ・ジュヴレ・シャンベルタン村
* 生産者:ドメーヌ・カミュ
* 品種:ピノ・ノワール100%
* タイプ:赤、辛口
* 容量:750ml

ドメーヌ・カミュの3代目現当主のユベール・カミュ氏は、その人柄とジュヴレ・シャンベルタン村への造詣の深さから、地元では強い人望を集める人物として知られています。

『ワインは農産物』という信念から、人為的な介入を最小限まで抑えたユベールのワイン造りは、基本的には約50年間何も変わっておらず至ってシンプル。

40年を超える葡萄樹から産まれる健全な葡萄を育てることに注力して、テロワールが持つ本来の姿を忠実に表現することを心掛けています。

1つ1つの作業を丁寧に行うことでシャンベルタンとしての威厳が生まれるのだと彼は言います。

今回のワインは、ドメーヌ・カミュの売上1、2を争う人気銘柄の一つと言える村名ジュヴレ・シャンベルタン。畑のランクからすると驚くほどの安価であるともいえます。

力強さよりピノ・ノワール特有の優しく長い余韻が特徴。濃縮感よりもエレガントさを感じさせるワインに仕上がっています。

◎ペアリングのポイント
気品のあるピノ・ノワールの繊細な香りは、一見するとエポワス独特の強い香りと味わいに負けてしまいそうに思えます。ですが、実は口の中で渾然一体となった時に見事なマリアージュを成立させる最高の組み合わせなのです!

特に、ジュヴレ・シャンベルタンとエポワスの相性は抜群で、フランス文化や歴史好きの方にもぜひ一度お試しいただきたいペアリングです!

イタリアの大自然が生んだ万人受けNo.1ウォッシュ、タレッジョ!

タレッジョは、北イタリア・ロンバルティア地方で 牛乳をもとに造られ、塩水で表面を洗いながら熟成を重ねるタイプのウォッシュチーズです。

名前は豊かな大自然に恵まれたタレッジョ渓谷で生まれたことに由来しています。

個性的な風味や刺激が強いタイプの多いウォッシュチーズの中で、タレッジョは最も穏やかで万人受けする味わいを持っています。

軽い酸味ともちもちとした弾力。牛乳の旨みを感じさせるクリーミーでマイルドな味わいが持ち味。熟成年数を経るほど、その旨味やコクは深くなります。

イタリアではそのまま食べることもありますが、溶けやすいので加熱してグラタンやピザなどの料理に使われることもあるようです。

【タレッジョにぴったりの白ワイン】

▶︎エスト!エスト!!エスト!!! ディ モンテフィアスコーネ

* 原産国:イタリア
* 生産地:ラツィオ州
* 生産者:カンティーナ ディ モンテフィアスコーネ(生産者共同組合)
* 品種:トレッビアーノ、マルヴァジーアビアンカ、ロッセット
* タイプ:白、辛口
* 容量:750ml

少し変わったこのワインの名前はある昔話に由来しています。その昔、ドイツのある司教が旅に出ました。この司教は従者を先行させ、先々で美味しいワインのある村を見つけたら、「EST!」(ラテン語で「ある!」の意味)と書いておくように命じました。

ある時、モンテフィアスコーネ村を訪れた従者が、この村で造られたワインを飲んだところ、あまりにも美味しかったため、EST!の文字を3回も書き残したといわれています。

ラツィオ州の生産者共同組合である『カンティーナ ディ モンテフィアスコーネ』が最も大切にしていることは、消費者の健康を第一に考えたブドウ本来の風味を感じられるワイン造りです。

ブドウの選別には厳格な基準を持っており、殺虫剤、除草剤、科学的肥料を使わない有機農法で育てられたブドウのみを買い取ります。収穫されたブドウはまず丁寧なソフトプレスを行い風味を最大限に引き出します。

タンクの温度管理を徹底して行い、添加物を少なくする取り組みを行っており、すっきりとした味わいの気軽に楽しめる爽やかな白ワインに仕上がっています。

◎ペアリングのポイント
タレッジョの酸味をともなったクリーミーさと、エスト!エスト!!エスト!!!の軽快な酸味のペアリングは、一旦食べ始めるとやめられない止まらない絶妙な組み合わせ。

初めてウォッシュチーズを食べる方にもおススメできるペアリングです。イタリアではテーブルワインとして用いられることの多いエスト!エスト!!エスト!!!は、コストパフォーマンスも抜群なので、つい飲み過ぎてもお財布に優しい所もありがたいですよね!

アレンジ次第で味わい方は無限大!トロトロのモン・ドール!

モン・ドールは、フランスとスイスの国境で牛乳をもとに造られる伝統的なチーズです。

フランスとスイスの国境付近にあるモン・ドール(金の山)という山がその名の由来です。

表皮を塩水で洗いながら熟成させた外皮は厚めでオレンジ色をしており、表皮を除いて、中身の黄色がかったトロリとした部分を味わいます。

チーズの熟成が進むと形を保てないほどにトロトロに柔らかくなるので、エピセアという木で造られる木箱に入れられます。濃厚なミルクに、エピセア木の香りが入り混じった幻想的な味わいがモン・ドールの最大の魅力。

フランス産とスイス産があり、フランス産は表面が白っぽく、味わいは優しめ。スイス産は表皮がオレンジっぽく味わいは個性的なものが多いです。

モン・ドールならではの食べ方として、焼いてフォンデュのように味わう方法があります。手順は以下の通りです。

①上部の表皮を切り取り、少量の白ワインを加えて混ぜる。

②にんにくのみじん切り、パン粉、コショウなど、好みの具材を上にふる。

③木箱が焦げないように、側面をアルミホイルでぐるりと包む。表面に焼き色が付くまでオーブンで焼き、グツグツしてきたら完成。

トロトロになったチーズをバケットや野菜につけて食べます。地元では『フォン・ドール』と呼ばれている食べ方です。

【モン・ドールにぴったりの白ワイン】

▶︎ヴァン・スイス シャスラ

* 原産国:スイス
* 生産地:ヴォー州ラ・コートモルジュ
* 生産者:ウヴァヴァン カーヴ・ド・ラ・コート協同組合
* 品種:シャスラ100%
* タイプ:白、ミディアムボディ
* 容量:750ml

スイスワインを象徴するような固有品種『シャスラ』100%で造られた香り高い辛口白ワインです。

シャスラは、フレッシュな青りんごやライムのような爽やかな香りが特徴の希少な品種。ヴォ―州では生産量の65%をシャスラが占めており、まさに地域の名産と呼ぶにふさわしいワインです。

今回ご紹介するヴァン・スイス シャスラでも清々しい果実味と透明なミネラル感が見事に発揮されており、シャスラ種の特徴が上品に表現されています。

日本への輸入量の少ない貴重なスイスワインをぜひお試しください。

◎ペアリングのポイント
持っただけで崩れてしまいそうな程にトロトロ&クリーミーなモン・ドールと、鮮烈な果実感をもつシャスラの見事な組み合わせは一口食べたらきっと驚くはずです。

また、ニンニクが香ばしい『フォン・ドール』として食べる場合も、シャスラ特有のフレッシュ感とのマリアージュに思わず笑顔になってしまうでしょう!

ぜひ最高のマリアージュを楽しみながらスイスのアルプスに思いを馳せてみてくださいね!

まとめ

いかがだったでしょうか?クリスマスや年末年始などの、仲間が集まるイベントの多いこれからの季節。

ちょっと個性的なウォッシュチーズにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。

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Yuhei Shioya

JSA認定ソムリエ / フリーライター

横浜で30年以上の歴史を持つオーセンティックバーのマネジャーを経験。
ウイスキー、ワインをはじめとした酒類全般、ペアリングの分野で幅広い見識を持つ。現在はこれまでの経歴を活かしフリーライターとして、酒類やペアリング、翻訳業など、執筆を生業として活動している。
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