ペアリングワイン

イタリアチーズに合うワインは?

イタリア人にとって、チーズは欠かせない食品です。そして、ワインがあるところには必ずチーズがあります。

今回は、イタリアのチーズとそれに合うワインをご紹介します。

イタリア人にとってのチーズ

イタリア人が1年に消費するチーズの量は、1人当たり約23キロ。日本人は1人当たり約2.5キロなので、およそ10倍の量を食べています。

イタリアには、原産地呼称統制法で認定された52種類のDOPチーズがあります。州ごとの郷土料理があり、地元愛が強いイタリアですが、チーズは州を越えて食されます。それだけ日常的な食品だといえるでしょう。

イタリア人は、ほぼ毎日チーズを食べ、それは重要なタンパク質源、カルシウム源です。昼食やおやつにも食べますが、チーズはアペリティーボや夕食のワインの最高のお供になります。

「チーズの盛り合わせ」がメニューにないレストランはないといってよいでしょう。

チーズとワインのアペリチェーナ

イタリアには「アペリチェーナ」という「アペリティーボ」と「チェーナ(夕食)」を組み合わせた食事形態があります。アペリチェーナの開始時間帯はアペリティーボと同じで18時ごろ(夕食は20時ごろに開始が一般的)。

メニューもアペリティーボと同様、チーズやハム類で、パスタや魚・肉料理は食べません。でも、ワインはアペリティーボではなく、夕食のようにしっかり飲みます。夕食の代わりになる食事形態なので、チーズとハム類は量が必要です。何種類ものチーズとハムをお皿いっぱいに食べます。

チーズの要素には、脂質、酸味、甘味、苦味、アロマ、ジューシーさがあり、味のインパクト、余韻があります。これらの組み合わせによって、合わせるワインが異なってきます。スプマンテ、白ワイン、赤ワイン、甘口ワインと、これほど幅広いワインとペアリングできる食品は他にはないといえます。

チーズの盛り合わせには、くるみやアーモンド、干しブドウが添えられます。また、ジャムやハチミツもチーズの味を引き立ててくれます。洋梨やイチジクを添えると、さらにリッチなプレートになります。季節によっては、フレッシュなソラマメや、小さな赤いラディッシュを添えたりもします。

イタリアチーズとワイン

イタリア全土で食べられるチーズの王様は、バルミジャーノ・レッジャーノ。このチーズには、塩気に隠された甘みがあり、旨味があります。とろーっとしている熟成したバルサミコ酢をパルミジャーノにたらすと風味が豊かになります。

繊細な泡のメトド・クラシコのスプマンテは、パルミジャーノと幸せなハーモニーを生み出してくれます。

ベッラヴィスタの「フランチャコルタ・アルマ・グラン・キュヴェ・ブリュット」は、きれいな酸と上品な味わいで、とてもバランスがとれています。

日本でも人気のモッツァレラチーズには、ミルク自体のデリケートな味わいと少しの酸味があります。

ワインは、フレッシュでデリケートなやわらかさのある白ワイン、イスキア・ビアンコが最適です。カーサ・ダンブラの「イスキア・ビアンコ」は、さわやかで繊細なアロマがあり、おすすめです。

ワインのお供には、やわらかいシェーブルチーズも人気です。フレッシュタイプで、やわらかいシェーブルチーズは、ハーブやスパイスを加えたものもおなじみです。

ワインは、香り高い白ワイン、ソーヴィニョン・ブランがおすすめです。ピタルスのソーヴィニョン・ブランは、ハーブのニュアンスが華麗です。

ウォッシュタイプのチーズの代表格は、タレッジョ。チーズらしい香りとアロマが感じられ、塩気が強く、味わいもしっかりしているので、まろやかで、塩味(えんみ)と酸味のあるワインが相性がよく、ピエモンテ州のドルチェット・ディ・ドリヤーニがおすすめです。

サン・フェレオーロの「ドルチェット・ディ・ドリヤーニ」は、やわらかで上質なタンニンがあります。

羊のミルクのペコリーノチーズも欠かせません。できたて1週間のフレッシュタイプから熟成期間1年のものまで、味わいに幅がありますが、ワインと合わせるには熟成タイプ、特にトスカーナ州とサルデーニャ島のペコリーノチーズが人気です。

まろやかでボディのしっかりした赤ワインと合わせましょう。ブルネッロ・ディ・モンタルチーノが熟成したペコリーノチーズと最高にマッチします。

フリーニの「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」は、力強さの中にエレガントさのある味わいです。

世界三大青カビチーズのひとつ、ゴルゴンゾーラは、強い香りと、塩気、風味があり、ほろ苦さを感じ、非常に余韻が長い。口の中で味わいが持続するため、しっかりとした赤ワインを合わせてもいいですが、このチーズには甘口ワインが最高です。

チンクエ・テッレ・シャケトラのビロードのようなまろやかさが、ゴルゴンゾーラの激しい味わいに寄り添ってくれます。サッサリーニのシャケトラは、アンズや柑橘ピール、ドライハーブのニュアンスがあり、クリーミーともいえる甘さがあります。

まとめ

チーズを語るうえで欠かせないワイン。ワインを語るうえで欠かせないチーズ。ぜひイタリアのいろいろなチーズとワインを試して、楽しんでみてください。

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太田 由歌

イタリア在住ワインコーディネーター
2003年にフィレンツェに料理&ワイン留学。
2004年よりフィレンツェ在住。イタリアソムリエ協会ソムリエ資格保持。
トスカーナのワイナリーツアーを企画・主宰し、通訳案内もしている。
1日の終わりに、手作り料理とワインをペアリングすることが何よりの楽しみ。
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