ペアリングワイン

お寿司には甘めのワインを!酒精強化ワインとお寿司のペアリング

最近は様々なスタイルのワインペアリングが楽しまれており、ワインと合わせるお料理のバラエティーがますます広がっています。

その中でもわたしの個人的に好きなペアリングが、お寿司とワインの組み合わせ。

私の父は日本酒が好きで、お寿司のネタ一貫一貫それぞれに日本酒を合わせてみる、なんて事をしておりましたが、その娘はお寿司にワインを合わせております。

今回はそんなお寿司とワインのペアリング、中でも、特にお気に入りの「酒精強化ワインとお寿司のペアリング」について、ご紹介していきます♪

そもそも酒精強化ワインって?

酒精強化ワインとは、その名の通り「酒精」を「強化」するワイン。ワインの醸造過程でアルコールを添加してアルコール度数を高めたワインで、英語ではフォーティーファイドワインと呼ばれます。

有名な酒精強化ワインとして、皆さんおなじみのスペインのへレス・デ・ラ・フロンテラでつくられる、シェリー。ポルトガルの北部、ドウロ川流域でつくられるポート。ポルトガルのマデイラ島でつくられるマデイラ。そしてイタリアのシチリア島でつくられるマルサラなどがあります。

つくられ方はそれぞれ異なりますが、基本的にすべてアルコール度数は高め。甘口だけではなく辛口タイプもあります。

実際に、マルサラとポルトを訪れた際に熟成した酒精強化ワインを飲んでみたところ、色は美しい琥珀色でとろみがあり、その香りとコクの深さに感動した事を強く覚えています。まさに、その一杯でどんな人も幸せにできる、魅力たっぷりのワインだと言えるでしょう。

また、シェリーは辛口タイプから極甘タイプまで幅広くあり、いろんなお料理と合わせられるのでとても面白い酒精強化ワインです。辛口タイプのシェリーは特に旨味を感じるタイプが多いため、ダシ文化の和食にぴったり。

辛口タイプでもドライなフィノタイプ、塩気を感じるマンサリーニャからナッツのニュアンスが香るアモンティリャード、濃い琥珀色のオロロソなどとタイプは様々です。もちろん作り手によって味わいも変わるため、非常に幅広く楽しめます。

そして(私の大好きな)マデイラ。

加熱による酸化熟成の香りが漂うコクのある酒精強化ワインです。マデイラは調理酒としても良く使われ、お菓子類をつくる際に使われる方もいらっしゃるかもしれません。

私のお勧めは、マデイラをみりん代わりにして使うこと。お魚のみりん干しに合わせてそのままグラスで飲むのもアリですが、例えばカツオのたたきのタレに入れてみたり、ホウレンソウのおひたしにお酢とマデイラを合わせてかけてみたり。

和食の調味料として使ってみると、甘みと酸化熟成香がお醤油との愛用も良く、お料理の味わいが一段と深まります。

お寿司とのペアリングのポイントは?

さてさて、お寿司の話に行く前に語りすぎてしまいましたが、本題です。

わたしが個人的に考える、お寿司と合うワインの特徴は3つあります。

◆特徴その①:甘みのあるワイン

皆さん、お寿司にはいつも何のお酒を合わせていますか?おそらく多くの方はこう答えると思います。「日本酒!」と。私はお寿司と日本酒の組み合わせは神様がつくり出したマリアージュだと思っています。

日本酒には「日本酒度」という数値があり、例えば+10ともなると「辛口」な日本酒になります。しかし、どんなに辛口な日本酒でもお米由来の甘みが生魚にとても合います。

これはワインでも参考になります。実は、酸とミネラル感のみの「辛口」のワインは生魚の臭みを感じられやすくする傾向があり、ある程度の甘みを含むワインは、お寿司との相性が良い傾向があります。

◆特徴その②:酸味のあるワイン

注目すべきはお寿司のシャリの部分。お寿司屋さんによって赤酢や白酢などを使ったいろんな種類のシャリがありますが、それらに酸味のあるワインを合わせると同調効果により相性が合いやすくなる傾向があります。

余談ですが、そもそものお寿司のシャリが酢飯の理由は、その昔に魚の劣化防止のために殺菌効果のあるお酢を使い始めたところから来ているそうです。

今ではお寿司には酢飯しかあり得ない文化になっていますが、この文化と似ていると個人的に感じるのは、フランスの生牡蠣とシャブリの組み合わせ。

生牡蠣に合わせるワインはシャブリ!というのが世界の常識になっていますが、その組み合わせの始まりは、酸度の高い白ワインは殺菌効果があるという理由で生牡蠣と合わせて楽しまれるようになったという背景があります。(めちゃくちゃ余談でした)

現代に私たちが楽しんでいる食の組み合わせには意外にも論理的な理由があったとは、面白いですよね。

◆特徴その③:酸化熟成香のあるワイン

酸化熟成香とはワインが熟成する過程で出てくる香りで、個人的にお醤油のような旨味を伴う香りだと思っています。そのため、和食との相性は言わずもがな、お寿司の場合はお醤油につけて食べるため、調味料のようなニュアンスで楽しめる要素がある傾向があります。

上記に述べたお寿司に合うワインの三つの要素、
①甘み ②酸味 ③酸化熟成香
以上のすべてを兼ね備えているお寿司に合う酒精強化ワインはずばり、マデイラの「中甘口〜中辛口」のものです。

この組み合わせは私が実際にポルトガルに行った際に、現地の方に教えていただいたペアリングで、ポルトガルでも中甘口〜中辛口のマデイラとお寿司を合わせるそうです。

ペアリングのご紹介♪(一例)

マデイラ × サバのお寿司

お酢で締めたサバにマデイラの程よい酸味、サバの脂にマデイラの甘みがほどよく合います。

そしてお寿司全体の旨味にマデイラの酸化熟成香がマッチしてそれぞれの程よい風味がお口に広がります♪

もちろんこの他にも組み合わせは無限大。

お寿司と酒精強化ワインのペアリングのポイントをまとめると、
①甘み ②酸味 ③酸化熟成香
以上の3つでした。

最近はBYOができるお寿司屋さんも増えているため、ぜひ中甘口〜中辛口のマデイラとお寿司のペアリングを試してみてください♪

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Nanako Kondo

7wines.(セブンワインズ)代表
JSA認定 ワインエキスパート
「ワインを通してこころもからだも健康に」をテーマに、ワイン会等のイベントやワインをもっと楽しむためのセミナーの開催、からだに優しいナチュラルワインのご紹介等の活動をしている「7wines.」代表。
学生時代にアメリカへ留学した際、ナパバレーを訪れ、そこからワインの世界に心酔。イタリアワインを中心とした世界のワインを広める活動を通し、「グラスワインを片手に学びあう」コミュニティを立ち上げるなど幅広く活動中。 Nanako Kondoの記事一覧 

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