ペアリングワイン

トリビアン!ヴィオニエとハードタイプのチーズのマリアージュ

ヴィオニエというブドウ品種を知っていますか?

ヴィオニエは、ワイン用のブドウ品種、ヴィティス属ヨーロッパ系ヴィニフェラ種のひとつ。白ワインを語るうえで、外せない白ブドウ品種です。

今回は、ヴィオニエの白ワインを味わいながら、ハードタイプのチーズをマリアージュしてみましょう。

ヴィオニエとは?

ヴィオニエは、フランスの南東部にあるコート・デュ・ローヌ地方・コンドリュー原産の白ブドウ。ヴィオニエ100%、または、コート・デュ・ローヌ地方のルーサンヌやマルサンヌなどをブレンドし、白ワインを仕立てます。

強いアルコール感と華やかなアロマが記憶に残るフルボディ。若いうちに飲むのがベストです。フランスのラングドック地方やアメリカのカリフォルニア州、オーストラリアなどでも栽培されています。

ヴィオニエで仕立てたフルボディの白ワインは、華やかなアロマとコクのある味わいが特徴なので、熟成度の高い白カビのチーズ、クセの弱いウオッシュのチーズ、濃厚すぎないセミハード・ハードタイプのチーズなど、香りが豊かで、白ワインのコクと同調するチーズがよく合います。

また、樽熟成させたタイプのワインは、トーストなどの樽の香りや樽の苦味が感じられます。苦味のあるハーブを使った、または、ヴィオニエを使ったチーズ料理と合わせるのもよいでしょう。

チーズはアボンダンスに決定!

ヴィオニエの香りといえば、アプリコット、白桃…。あっ、樽香もありますよね。そこで、白桃とヘーゼルナッツ香のあるアボンダンスをチョイスします。ヘーゼルナッツ香は、樽香と同調。ヴィオニエとアボンダンスは、コクの度合いも良好です。

アボンダンスは、フランスの東部にあるサヴォワ地方のアボンダンス渓谷でつくられるハードタイプのチーズです。原料乳は、アボンダンス牛の無殺菌乳。直径38~43センチ、高さ7~8センチ、重さ7~12キログラムの大型チーズで、側面が反り返っているのが特徴です昔、側面の凹んだ部分に縄を巻きつけ、運んだとか…。

サヴォワ地方では、そのまま食べるほか、サラダやサンドイッチ、フォンデュなどの料理に使います。

ワインをテイスティング!

今回選んだワイン「レ・ドゥー・アルビオン・ブラン」は、コート・デュ・ローヌの南部にあるジゴンダスに約500年の歴史を刻むシャトー・ド・サン・コムが仕立てる白ワインです。

約3万年前の石灰岩質土壌の有機栽培で育った6種類のブドウをブレンド。ヴィオニエ40%、ピクプール30%、マルサンヌ20%、クラレット4%、ユニ・ブラン3%、ブールブラン3%です。ピクプールは、舌を刺すという意味をもつ酸味の強い白ブドウ。マルサンヌは、アーモンド香が豊かな白ブドウです。格付けはヴァン・ド・ペイ。

栓をポン!透明で輝きのある黄金色。グレープフルーツとアプリコット、白桃、黄色い花、ハチミツ…。やや強い香りが鼻を包みます。酸味と甘味のバランスがよく、ハチミツの甘味とやや強い樽の苦味が余韻に残ります。愛らしい、けれども、ちょっぴりわがままな女性の印象。チーズとのマリアージュが楽しみです。

「レ・ドゥー・アルビオン・ブラン」とアボンダンスのマリアージュに舌鼓!

アボンダンスの包みを開きます。外皮は、茶褐色でカサつき、側面は、反り返っています。白桃、ヘーゼルナッツ、ミルク、牧草…。芳香は、やや強いかな。味わいは、甘味とやや強い旨味が主体で後味に塩味が残ります。外皮は、取り除いて食べるとよいでしょう。

ヴィオニエとマリアージュすると、白桃の香りが同調するほか、甘味と旨味によるコクの度合いが調和します。ヴィオニエの樽香とアボンダンスのヘーゼルナッツ香は似ているので、good。第3のテイストは、ワインの酸味とチーズの塩味で、マリアージュのアクセントになっています。

う~ん、ヴィオニエの苦味が頭をもたげますね。そこで、アボンダンスをチーズ料理に変身させ、ヴィオニエとの相性度をアップします。レッツ・チャレンジ!

チーズ料理に挑戦してみて!

アボンダンスをチーズ料理に変身させます。まずは、アリゴ。フランスの中部にあるオーブラック地方の料理です。アリゴは、マッシュポテトにチーズやニンニクなどを加えたもの。

今回、チーズは、もちろん、アボンダンス。フレッシュパセリを刻んで混ぜると、パセリの苦味がヴィオニエの樽の苦味と同調します。マリアージュは、成功ですね。食べるときに、マッシュポテトがビヨ~ンとむやみやたらに伸びるので、苦笑する一皿です。

次に、サヴォワ地方のチーズフォンデュ。チーズにニンニク、バター、白ワイン、キルシュ、スパイスなどを加え、加熱し、フォンデュにします。

今回は、チェリーブランデーのキルシュをやめて、ヴィオニエの白ワインだけにします。う~ん、完璧!料理とワインの香味の同調レベルはMAXです。

さあ、クッキング・スタート。

【アリゴ】
▼材料(2人分)
・ジャガイモ 2個
・アボンダンス 100g
・フレッシュパセリ 1本
・塩、黒コショウ 少々
・オリーブオイル 少々

▼作り方
①ジャガイモは茹で、マッシュする。
②アボンダンスは小さく切る。フレッシュパセリは細かく刻む。
③鍋に、オリーブオイル、2のアボンダンスを入れ、アボンダンスを溶かす。
④3の鍋に、1のジャガイモ、2のパセリ、塩、黒コショウを加え、混ぜ合わせる。
⑤器に盛る。

【チーズフォンデュ】
▼材料(2人分)
・アボンダンス 400g
・ニンニク 1片
・ヴィオニエの白ワイン 220cc
・ナツメグ 少々
・塩、黒コショウ 少々
・オリーブオイル 少々
・フランスパン 適量

▼作り方
①アボンダンスは小さく切る。ニンニクは潰す。
②フォンデュ用の鍋に、オリーブオイルと1のニンニクを入れ、香味が出たら、ニンニクを取り出す。
③2に、1のアボンダンス、ヴィオニエの白ワインを加え、アボンダンスを溶かす。
④3にナツメグ、塩、黒コショウを加え、味を調える。
⑤フランスパンをひと口大に切って、お皿に盛る。

アボンダンスを食べ、ヴィオニエを飲む…。トレビアン!

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高階 明子

フリーライターとして活動中。
日本ソムリエ連盟のソムリエ資格、チーズコーディネーター協会のチーズコーディネーター資格をもっています。
ワインショップでソムリエをした経験もあります。
大のワイン好き!夫と二人暮らし。
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