ペアリングワイン

格付けなんか気にしない!自由を愉しむビオワイン

ワインには「格付け」があることをご存知でしょうか?

お正月のテレビ番組の「芸能人格付けチェック」のような感じで、ワインをある基準でランキング付けしているといえば分かりやすいでしょうか?

また、ワインの格付けの階級が高いほど高品質で、価格も高いというイメージがありませんか?

「このワインは、ボルドーの一級シャトーだから高級」とか、「ブルゴーニュのグランクリュのワインは最高!」など、聞き覚えのある方も多いと思います。

格付けはどのように決められている?

では、その格付けとはどのように決められているのでしょうか?世界には、国によって決められたワイン法というものがあります。格付けは、その中のワインの「品質」を示す基準とされています。

例えばEU諸国では、「A.O.P. 原産地名称保護ワイン」「I.G.P. 地理的表示保護ワイン(地酒)」「S.I.G. 地理的表示のないワイン(テーブルワイン)」となり、A.O.Pが一番グレードの高いワインという指標になっています。

また、一部の地域では、独自の格付けを定めている地域があります。フランスのボルドーやブルゴーニュ地方が有名です。ボルドーは、生産者(シャトー)に対して格付けされており、ブルゴーニュはぶどうの栽培された畑によって格付けされています。

プルミエクリュ(一級)などと呼ばれるものは、ボルドーやブルゴーニュの格付けに使用される階級の呼称となり、階級に認定されるには、決められた基準をクリアしなければなりません。その基準は、使用できるぶどうの品種や製造方法など、様々です。

ワインの格付けはなぜ必要?

では、なぜこのような格付けが必要なのでしょうか?大きく2つの理由があるといわれています。

1つ目は、産地偽造を防ぐためです。例えば、悪質なワイン業者が、ブルゴーニュ地方で生産されたワインではないが、「ブルゴーニュ」とボトルに明記することで、消費者にブルゴーニュのワインなら高品質でおいしいだろうと推測させることができ、高値で取引できる可能性があります。

実際1930年代、フランスで、悪天候と経済不況が重なり、有名産地を偽るワインが大量に出回るという事態が発生しました。その対策として、消費者が安心してワインを購入できるようワイン法が設立され、法律で品質をチェックし認定されたものだけがその格付け(階級)を名乗れるようにしました。

2つ目は、産地の伝統や品質を守るためです。例えば、ブルゴーニュの一級畑のワインが美味しく造られている理由として、元来の土壌の特徴や、代々受け継がれた製造方法が大きく影響しているということが考えられます。

つまり、この土壌、この伝統的な製造方法でなければこの品質ができなかったかもしれない。そうであれば、それらを維持するために法的に守っていこうということです。

こうして法的に管理されることによって、我々消費者は、格付けで品質を判断でき安心してワインを購入できるようになりました。

格付けが低いまたは、認定外のワインは品質が悪いのか?

では、格付けが低い、または認定外のワインは品質が悪いということでしょうか?実はそうではありません。

格付けに認定されるには、階級毎にぶどうの品種や製造方法などクリアしなければならない基準がいくつかあるとお話ししました。

では、規定外のぶどうや製造方法でつくられたワインはどうなるのでしょうか?

その場合、認定はされません。例えば、ピノ・ノワールで造ったものしか認定されない格付けの場合、他のぶどう品種でワインを造ると、その格付けから外れてしまうことになります。

生産者としては、格付けから外されるとワインの取引価格が下がってしまい、ビジネスに影響が出るリスクがある為、あまり例外なことは行いません。

しかしながら、規定外の方法で造られたワインが、上級の格付けのものと同等の品質であることは少なくありません。そういったワインは、高品質ながら、格付けの基準をクリアしていない為、上級の格付けには認定されず、最下級のテーブルワイン、あるいは格付け対象外として売られることになります。

このことが一概に「格付けが低いから、あるいは認定外のワインは品質が悪い」ということは言えない理由です。

格付けにこだわらず、自由な発想のビオワイン

特に、ユニークで独自のこだわりを持つ生産者が多いとされるビオワインは、上級の格付けがされていないことや、むしろ認定外であることがよくあります。

こういった生産者は、格付けよりも、自分がどういうワインを造りたいかにこだわりを持ち、ビジネス目的だけではなく、土壌を大事にし、ぶどう栽培から手間をかけ丁寧に高品質なワインを造っています。

そういったワインは格別で、今までの常識を覆されるような上質で個性的なものが多く非常におもしろいです。また、エチケット(ワインのラベル)やネーミングも自由で個性的です。ワインをジャケ買いするのも楽しみになりますね。

ビオワインの生産者の哲学的な考え方に触れてみるのも面白いでしょう。

格付け基準にこだわらず自由な発想のビオワイン、ぜひ皆様も体験してみてください。

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時本 早緒里

日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
365日違うワインを呑むをモットーに、自然派ワインを毎日嗜んでいます。
造り手さんの思いや製造工程に興味があり、人と地球に優しいワインを大切にその良さを伝えるワインセミナーを不定期で開催しています。
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