ペアリングワイン

多様性の街、ニューヨークワインの魅力とは?

皆さんはニューヨークと聞くと、どんなイメージをお持ちですか?私がニューヨークに住み始めて感じた魅力は、何と言っても「多様性」の街であるということ。道を歩いていても英語以外の言語が飛び交い、様々なバックグラウンドを持つ人が世界中から集まる、ユニークな街です。

そんなニューヨーク、実はアメリカで生産量No.3を誇るワイン産地でもあるのです。そしてその「多様性」は作られるワインにも表れています。今回は、ニューヨークのワインの魅力を、産地別に生産者と共にご紹介します。

フランス人がフィンガー・レイクスで作る極辛リースリング

フィンガー・レイクスとはニューヨーク州最大のワイン産地。ニューヨークシティから車で約5時間とニューヨーク州でもカナダの国境近くの最北部に位置します。

指の形をした大小11の湖があることから「フィンガー・レイクス」と名付けられた地名で、湖による影響で年間を通して保たれる冷涼な気候が特徴です。特にリースリングは世界でも評価される高品質なものが作られています。

フォージ・セラーズの醸造家ルイ・バリュオール氏はなんとフランス人。南フランスでワインを作る傍ら、新しいワインを作るべく土地を探しフィンガー・レイクスに辿り着いたそう。

彼らのリースリングを初めて飲んだ時、華やかな香りとは裏腹に、シャープな酸味とクリアな味わいに驚きました。まるで石をかじっているかの様な鉱物っぽさもあり、瑞々しくてすっきりとしたワインです。

▶︎フォージ・セラーズ クラシック ドライ リースリング

* 原産国:アメリカ
* 生産地:ニューヨーク州、フィンガー・レイクス
* 生産者:フォージ・セラーズ
* 品種:リースリング

ロゼブームの火付け役!?ニューヨーカーのセレブ御用達ロゼ

ニューヨークの最東に位置する高級住宅地ハンプトンがある土地、ロングアイランド。ボルドーに似た気候からカベルネ・フランやメルロが多く栽培されていますが、実は昔からロゼワインも多く作られています。昼間からカジュアルにロゼを飲む、そんなハンプトンスタイルと言われる夏の過ごし方が、ロゼブームに火をつけました。

Wölffer Estateはそのハンプトンを代表するワイナリー。実はこのロゼ、数年前にニューヨーク出身の友人が日本に遊びに来た際のお土産にプレゼントされ、個人的に思い出があるワインです。創立者はドイツ生まれのビジネスマン、クリスチャン・ウォルファー氏。地元で完結していたロングアイランドのワイン業界を世界へと発展させた一人としても有名です。

▶︎サマー・イン・ア・ボトル・ロゼ

* 原産国:アメリカ
* 生産地:ニューヨーク州
* 生産者:Wölffer Estate(ウォルファー・エステート)
* 品種:メルロ、シャルドネ、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン等

アメリカ最古のワイナリーの一つ、家族経営のアットホームなワイナリー

アメリカ最古のワイン産地の一つとして知られるハドソンリバーヴァレーは、家族経営の小規模生産者が集まる地域です。古くからハイブリッド品種の栽培が盛んで、聞いたことも飲んだこともない品種が作られています。ニューヨークシティから車で2時間ほどで行けるので、休日は観光客も多く訪れ、ワイナリーの庭でテイスティングを楽しむ姿が見られます。

ベンマール・ワイナリーは、まるで知り合いの田舎の家に遊びに来たような、リラックスした雰囲気が漂うワイナリー。オーナーの息子、マシューさんがワインメイキングを務めています。正直華やかさはないですが、生活の一部としてワイン造りがある、そんな彼らの実直なワイン造りが、素直で素朴な味わいとしてワインに表れています。

▶︎セイベル・ブラン
* 原産国:アメリカ
* 生産地:ニューヨーク州、ハドソンリバーヴァレー
* 生産者:Benmarl Winery (ベンマールワイナリー)
* 品種:セイベル

IT業界からワイン業界へ流行の街ブルックリンから生まれるアーバンワイナリー

ブドウはニューヨークの各地から購入し、ブルックリンで醸造する、アーバンワイナリーのブルックリンワイナリー。イメージでいうと東京23区内で醸造しているというスタイルでしょう。

IT業界にいた2人が創立したワイナリーで、いつでも新しいことにチャレンジできるニューヨークらしさを感じます。パーティスペースもあり、休日はウエディングパーティも頻繁に行われています。

輸出は2020年秋現在、日本とデンマークのみ行われているそうです。ご紹介するロングアイランドのメルロで作られたワインは、モカやバニラっぽさがあり、冬に煮込み料理と合わせて飲みたくなるワインです。

▶︎リザーブ・メルロ
* 原産国:アメリカ
* 生産地:ニューヨーク州、ブルックリン(ブドウはロングアイランドのノース・フォークス産)
* 生産者:Brooklyn Winery(ブルックリンワイナリー)
* 品種:メルロ

まとめ

ご紹介した4ワイナリーとも、そのバックグラウンドも作っているワインも様々で個性的ですよね。ニューヨークワイン、と一口に言えど、どれも違っていて特徴という特徴を言うのが難しいです。でもそれこそが、ニューヨークワインらしさなのかもしれませんね。

世界中からやってくる人を受け入れ、新しいことにチャレンジする人を応援する街、そんなニューヨークだから生み出せるワイン。幅広い多様性こそがニューヨークワインの何よりの魅力だと思います。そして、これからももっと新しいワインが生まれていくのではないでしょうか。

今回ご紹介した中には日本に輸入されているものもあるので、機会があれば個性豊かなニューヨークのワインを楽しんでみてはいかがでしょうか。

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Mari Nomura

JSA Sommelier / WSET Level3
日本の大手ワイン輸入商社にて営業職として勤務後、2019年よりアメリカ、ニューヨーク在住。
ニューヨークのワインと食のトレンドやマーケットについて現地の情報を発信している。
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