ペアリングワイン

日本ワインを飲もう!ご当地名物とワインのペアリング長野編

長野ワインの抑えるべきポイント3つ

長野生まれ、長野在住、人生の半分は東京でソムリエ、飲食店に従事してきた私がとても簡単に長野ワインのポイントを各2行にまとめて紹介していきたいと思います!

長野県は国内ワイン生産量で山梨県に続き第2位で、日本有数のワイン生産県となっております。

国税庁国内製造ワインの概況(平成29年3月31日現在)

そして、ポイントは以下の3つです。

● 日本初の原産地呼称管理制度
● 長野県名産の日本品種&国際品種
● ワインに適した気候

①日本初の原産地呼称管理制度
ヨーロッパなどワイン生産が盛んな地域には昔からワインの品質査定基準があります。それを日本でいち早く導入し、高い品質を維持している長野県。ワインへの気合を感じます。

②長野県名産の日本品種&国際品種
長野県には世界的に有名な葡萄品種(シャルドネなど)も作られておりますが、同時に独自の交配による固有の品種(マスカットベーリーAなど)もあり、多様な味わいを楽しめます。

③ワインに適した気候
昼夜の温暖差、降水量が比較的少ない、水捌けの良い土壌、日照時間が長い。これらはいずれもワイン栽培に適した環境と言われており、まさにワイン作りに適した県となっております。

他にもワインの歴史のある長野県ですが、今回は実際の長野県ご当地名物とのペアリングを紹介していきたいと思います!

その1 五平餅 & コンコード

五平餅は長野県南部の郷土料理で(岐阜県、愛知県などでも食べられています)ご飯をすり潰し、おはぎのくらいに固さにしたものに、クルミ、ゴマ、味噌などを使い甘口のタレをつけて焼いたものです。

そして、こちらに合わせるのにおすすめなのがコンコードという赤ワインです。

個人的には、
● 甘めのタレをたっぷりかける
● コンコードは味に幅があるので果実味の強いものを選ぶ
● できれば炭焼きで表面を香ばしくする
● ワインの温度はやや高めでよし(16℃から18℃)
● カジュアルラインのワインでOK!

ご飯感が強く出ないようたっぷりのタレをかけてとコンコードを合わせると甘めのタレとコンコードの甘さがいい感じにマッチします!変に気合が入っていないコンコードワインの方が相性は良さそうです!

ちなみに私の地元の方言ではご飯をおはぎのようにお米の形が残るくらいにすり潰すことを「半殺し」と言います。外国人の観光客に「Half killed」と説明しているお姉さんがいましたが、外人さん怯えていましたね。

その2 馬刺し & ブラッククイーン

馬刺しというと熊本や会津が有名ですが、長野県でも小さい頃から馬刺しは良く食べていました。他にも「おたぐり」という馬の腸を煮込んだ料理は昔から大人のおつまみとして食されていた思い出もあり、馬肉文化が深く根付いてます。

そして、馬刺しにおすすめなのがブラッククイーンという赤ワインです。

● 馬刺しはあえて赤身を選ぶ
● ブラッククイーンは酸味の強すぎないものが◯
● 薬味を忘れずに!

ちなみにブラッククイーンは完全に日本生まれの品種です!ちょっと濃いめの赤ワインで国産が飲みたい時はぜひ候補の1本にしたいワインです!さらにいうと、鹿肉も馬肉と味わいが近く、両者共に、鉄分が豊富なのでブラックベリーのタンニンとも相性よしです。

その3 マルメロの砂糖漬け & ナイアガラ

長野県は言わずもがなのフルーツ県、りんご、桃、柿、梨などがとれ、中でもマルメロ(地元ではカリンの名称が一般的)は長野県では小さい頃からよく食べる果物です。生食には適さないので砂糖でつけたり、蜂蜜でつけたりするのが一般的な食べ方です。

こちらと合わせるのは、甘味のあるナイアガラのワインがおすすめです。

● マルメロは砂糖漬けにしたものを選ぶ
● ナイアガラの中にはドライなものもあるので甘口〜極甘口を選ぶ
● マルメロの甘さとワインの甘さがかけ離れないようにする
● ワインもマルメロも冷やして甘さを引き締める

もちろん他のフルーツなんかも相性良し!季節に合わせて旬のフルーツとペアリングするのはOKです。長野県では学生が下校途中に畑へ寄って、桃をもいで食べながら帰るなんて子もいましたね(違法です笑)。そのくらいフルーツ生産が盛んな地域です。

ストーリーが楽しめるペアリング

その土地名産品とその土地のワインを合わせることは必ずしもベストマッチングと言えないところもあるのでは無いかと思っています。なぜなら味を合わせるのなら高級レストランのペアリングの方がいくらでも融通が利くからです。

それでもなぜか旅行先で食べるご当地グルメは美味しいし、ワイナリーで試飲するワインには感動を覚えます。それは五感を全て使った体験や人とのつながり、その土地の歴史を感じながら食事を楽しむというその土地の、自分だけのストーリーを感じることができるからではないでしょうか?

自宅で楽しむ際もそんなことを思いながらペアリングを楽しんでもらえたらより深く食事とワインを楽しむことができるように思います。

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大蔵 厚

東京都中心に17年間レストランやバーで食事とお酒に関わりながらソムリエ、バーテンダとして店舗の運営に携わる。
現在、古民家再建の為に生まれ故郷の長野県にて移住し、執筆や民泊事業を営みながら自由を目指して奮闘中。 大蔵 厚の記事一覧 

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