シャンパンとチーズのペアリングでリッチな気分に!
シャンパンのコルクをポンッ!と抜くと、リッチなひとときが始まります。ペアリングは?
今回は、シャンパンとチーズのペアリングのお話です。
シャンパンになれるワインとは?
「発砲するだけでは、ワインはシャンパンになれない」という言葉があります。シャンパンは、厳格なフランスのワイン法によってのみ与えられる称号だからです。
シャンパンは、フランスの北部にあるシャンパーニュ地方で造られています。ブドウは、すべて手摘み。ブドウの品種は、黒ブドウのピノ・ノワールとムニエ、白ブドウのシャルドネの3品種です。
シャンパンは、これらの品種でワインを造り、瓶に詰め、酵母と糖を加え、栓をし、瓶内で二次発酵させる「トラディショナル方式」で仕立てられます。
澱引きし、補糖・補酒をし、打栓し、エチケットを貼ったら、出荷。エチケットには、補糖・補酒でコントロールされた残糖分の違いによる甘辛表記が記載されます。
甘辛表記は、ブリュット・ナチュールからドゥーまでの7段階ありますが、ブリュットの場合、残糖分は12g/L以下の辛口。
シャンパンは、白とロゼの2種類あります。ガス圧は20℃で5~5.5気圧。ほかのスパークリングワインに比べて、気圧が高いので、グラスの中で立ち上る泡は、繊細で美しく、貴婦人のよう…。
白ブドウだけで仕立てるブラン・ド・ブランのシャンパンは、輝きのあるゴールド色で、黒ブドウを使ったシャンパン(白)は、淡いピンクゴールド色をしています。
ブドウの圧搾が4トンの重さによるゆるやかな方法のため、黒ブドウを使っても、果皮がうっすらとワインに移る程度だからです。
また、シャンパン固有のイースト香や複雑な味わいは、瓶内二次発酵の間に澱と接触して生まれたもの。ノン・ヴィンテージでは15か月以上、ヴィンテージでは3年以上の熟成が義務づけられています。
「パイパー・エドシック・キュヴェ・ブリュット」のグラスを片手に女優モード?
パイパー・エドシックは、1785年に設立された名高いシャンパーニュ・メゾンのひとつ。モンターニュ・ド・ランスに広大なブドウ畑が広がっています。
醸造所の中をのぞいてみると、シャンパーニュでは一部のメゾンのみが採用しているマロラクティック発酵が行なわれています。
リンゴ酸が乳酸と炭酸ガスに変わるので、尖った酸味がまろやかになります。と、同時に、乳製品を思わせる風味が生まれます。ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、シャルドネのブレンドです。
「パイパー・エドシック・キュヴェ・ブリュット」 をポンッ!グラスに注ぐと細かな泡が勢いよく立ち上ります。
透明感と輝きのあるシャンパンゴールド色は、ゴージャスでムーディー。フラワー、ハチミツ、熟したパイナップルとマンゴー、リンゴ、木、グレープフルーツ、ヨーグルトの香りは、華やかで複雑です。
炭酸の刺激、まろやかな甘味と強い酸味、コク深い味わい、鼻腔に残るイースト香の余韻…。ふくよかなボディのシャンパンです。
お色気たっぷりのマリリン・モンローやフランスの有名なファッションデザイナーのジャン・ポールゴルチエが魅了された1本だとか…。カンヌ国際映画祭の公式シャンパンにもなっています。
シャンパン×チーズのペアリング!
シャンパーニュ地方の小さな町シャウルスでは、12世紀ころから「シャウルス」という白カビのチーズを作っています。
シャンパーニュ地方のシャンパンとのペアリングなら、「シャウルス」が一番でしょう。フランス人が「定番だ!」と叫び声を上げるかも…。
「シャウルス」の包みを開けます。ぽってりとした円柱形。白いカビはふかふかしています。ナイフでカットすると、皮のすぐ下はトロトロ。熟成香のほか、バターとマッシュルームの香りがします。
ひと口、食べると、テクスチャーは、シルキーでなめらか。ヨーグルトのような酸味と強い苦味が特徴です。外皮だけを口に入れると、アンモニア香と白カビのピリピリとした刺激に出合います。
「シャウルス」の外皮のアンモニア香と白カビの刺激は、シャンパンの樽香と炭酸の刺激にそっくりなので、ペアリングの成功率は高いはず!
早速、「パイパー・エドシック・キュヴェ・ブリュット」 と「シャウルス」を合わせてみましょう。
まず、ヨーグルトのような酸味とコクの深さが同調します。さらに、樽香がなく、フルーティーな「パイパー・エドシック・キュヴェ・ブリュット」の味わいが、木樽(シャウルスの外皮)に入れて、熟成したような感じになるので、マリアージュにおける第3のテイストが生まれたといえるでしょう。
「シャウルス」の個性が強すぎる場合は、パイナップルやマンゴーなどのフルーツを添えると◎。また、「バラカ」、「カマンベール・ド・ノルマンディー」、「ブリー・ド・モー」などの白カビのチーズもオススメです。
藤田嗣治とシャンパーニュ・メゾンG.H.マム
Wikipediaより
シャンパーニュ地方にゆかりのある日本人がいます。20世紀後半に名を馳せた画家・彫刻家の藤田嗣治です。
藤田嗣治は、東京美術学校を卒業後、渡仏し、エコール・ド・パリの一人として、活躍しました。乳白色の絵肌と描線画が人気を博し、ピカソやモディリアニらと親交がありました。
彼は、シャンパーニュ地方のモンターニュ・ド・ランスにあるシャンパーニュ・メゾンG.H.マムから、コルクにかぶせるキャップの絵柄の依頼を受け、一輪のバラを描きます。
描かれた美しいバラは、今でも、G.H.マムのロゼのキャップに咲いています。G.H.マムは、「王族たちのシャンパン」として、英国をはじめ、ヨーロッパ各国の王室の御用達になっています。
ボトルには、フランスの最高勲章レジオン・ドヌール勲章の赤いリボンが刻まれ、威厳と気品にあふれています。{/p
藤田嗣治は、晩年、フランスの国籍を取得し、レオナール・フジタになり、レジオン・ドヌール勲章を受章。G.H.マムのボトルのリボンがレオナール・フジタの胸に輝いたわけです。
シャンパーシュ地方には、ノートルダムドラペ礼拝堂があります。別名「フジタ礼拝堂」。この礼拝堂は、彼の手によるもの。
フランスのシャンパーニュが少し身近に感じられます。
フリーライターとして活動中。
日本ソムリエ連盟のソムリエ資格、チーズコーディネーター協会のチーズコーディネーター資格をもっています。
ワインショップでソムリエをした経験もあります。
大のワイン好き!夫と二人暮らし。
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