キレイになる!発酵食とワインのペアリング
料理とワインをより美味しくいただきたい時、料理とワインそれぞれの成り立ちの“共通点”を合わせてみる。または、ふたつの“相反する”“補い合う”ものを合わせてみる。それを「ペアリング」と呼んでいます。
この言葉も「マリアージュ」と同じような意味合いで使われているようですが、実はマリアージュの良し悪しを決めるのがペアリング。ペアリングの“縁の下の力持ち”的な功績があるからこそ、マリアージュは大輪の花を咲かせてくれるのです。
私がお客様に「お家で見つけるマリアージュ」のヒントを聞かれた時は、どちらかと言えば、共通点を探すペアリングをおすすめします。その方が素直に美味しさにたどり着けることが多いかなと思うので。
今日は私のとっておきの似た者同士ペアリング!「発酵食とワイン」をご紹介します。
発酵食とワインの長い長い“蜜月関係”
チーズに生ハム。バケットも。昔からワインの定番おつまみの中には発酵食がたくさん!ワインも発酵して出来上がる醸造酒ですから「似た者同士ペアリング」の美味しさは、昔から自然と心が、身体が、素直に美味しさを感じる組み合わせだったのかもしれません。
しかも発酵食と言えば、旨味成分や栄養素、美容成分がたっぷり!発酵食×発酵食のペアリングは美味しさも美容効果も健康も2倍の相乗効果を上げること間違いなし!なのです。
キレイになる発酵食品「酒粕」
この画像は、近頃、知名度を上げてきた発酵食「酒粕」。ワンランク上の大吟醸酒の酒粕です。この大吟醸酒の酒粕は、厳選された材料に長い時間をかけて惜しみない手間暇を注いだ酒粕の中の酒粕ですから、濃縮されたさまざまな有効成分がそれはそれは贅沢に残されています。
生活習慣病の予防、腸内環境の改善、アンチエイジングをはじめとする美肌効果などなど、数え上げたらキリがないくらいの栄養成分ですが、特筆すべきは、画像のこの美しい乳白色!美肌効果でしょうか。
昔から有名なアノ化粧品にも酒粕由来の美容成分が使われているというのは有名な話ですが、お知り合いの酒蔵は代々男性なのですが、みなさんうらやましいほどに肌がもっちり!ふっくら!色白!それが私の中では絶対的な真実です(笑)
それから、酒粕の美容成分の一つ「食物繊維」が一役買う健やかな腸では、幸せを感じる神経伝達物質、通称“ハッピーホルモン”「セロトニン」が大量に作られるというニュースも。酒粕はまさしく心も身体もキレイになる発酵食なのです。
ダブル発酵のスグレモノ「酒粕グラタンスープ」
こちらの料理は「酒粕グラタンスープ」。我が家の定番メニューです。
まずはレシピをご紹介。
【酒粕グラタンスープ】
▼材料(約2人分)
むきえび…200g
八頭(さといも)…150g
しいたけ…大1個
長ネギ…50g
セリ…約2株
酒粕(練粕)…50g
お湯…300ml
バター…10g
小麦粉…大3
塩麹、こしょう、サラダ油、モッツアレラチーズ等ピザ用チーズ…適量
▼作り方
① むきえびは背ワタを軽く取り、片栗粉をまぶし、日本酒をふりかけ揉みこみ、少し時間を置いてから水洗いすると臭みが取れます。
② 八頭はゆでておく。しいたけ、長ネギは薄切りに、セリは3~4㎝程に切っておく。
③ 固形の酒粕は細かくちぎってボウルに入れ、お湯を少々加えしばらく置き混ぜ合わせると、お料理に使いやすいソフトな練り粕になります。
④ 鍋にバターを溶かし、長ネギをしんなりするまで炒め、小麦粉を振り入れ、粉っぽさがなくなるまで炒める。そこにお湯を加え、とろりとなるまで煮てから練り粕を加え、弱火で少し煮詰めてアルコール分を飛ばし、塩麹で味付けする。
⑤ フライパンにサラダ油を熱し、しいたけを炒め、むきえび、八頭、セリをさっと炒めて塩麹、こしょうで味付けする。
⑥ ④と⑤を混ぜ、耐熱容器に入れ、チーズをふりかけ、250℃に温めたオーブンで15分程焼いて出来上がり。
酒粕と麹ダブル使いの発酵食ですので、お腹にやさしく、栄養満点。もちろん日本酒にも合う、ほっこり、さっぱりとした美味しいスープですが、今回は白ワインをペアリング。ここでもやはり「発酵」をテーマにワインをチョイスします。
発酵食とロワール地方の「シュール・リー」という似た者同士
フランスのロワール地方は、シャンパーニュ地方に次ぐ冷涼な土地の上に、海と川をベースに葡萄畑が広がっているため、涼しい海風と川風を受けて育った葡萄からワインを醸すには少々コツがいるようで。
発酵が終わった後の澱を澱引きせずに澱が入ったままの状態で春を迎えたワインは、澱自体のアミノ酸などがワインに溶け込み、ワインに旨味を与えます。これが「シュール・リー」です。
長い間漬け込んでおくため、普通は雑菌なども繁殖しやすいのですが、そこは涼やかなロワール地方など寒い地方ならではの醸造テクニックなのですね。
ということで、今回ペアリングにおすすめするのは、フランスロワール地方のワイン、
ドメーヌ ミショー トゥーレーヌ シュノンソー エクラ ド シレックスです。
ロワール地方でシュール・リーが認可されている葡萄品種はミュスカデとグロブランのみですが、シュール・リーしたソーヴィニオン・ブランは、よりソーヴィニオン・ブランらしさが醸し出されるので、このワインのたっぷりとした果実味はまさにそれではないかとひそかに(笑)
はちみつやマーマレードのようなほんのりとした甘さをまといつつ、完熟した葡萄のふくよかさ、しっかりとした骨格も併せ持つ。そしてなにより、このワインを包み込んでいる、どんなお料理にも合わせてしまいそうな、おだやかな滋味深さ。これぞ発酵の持つ懐の深さです。
発酵食と発酵の力を最大限に生かしたワインのペアリング。キレイになる明日を夢見ながら、一日をやさしく終わりたい夜にぜひどうぞ。
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ボーダレスなお酒の楽しみ方を見つけると心躍るソムリエ兼唎酒師、お客様の欲しいものを探し出すことに至福の喜びを感じるワインアドバイザー、その道のプロフェッショナルな方々とコラボしながらお酒を楽しむ会の企画運営など、いつも冒険の旅の行き先を探しています。
一日も早い健やかな日々の訪れを心から願いながら。
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