ナチュラルワイン入門におすすめのワイン〜Part2〜
ナチュラルワイン入門
ナチュラルワインは、肩の力を抜いてリラックスして楽しめる独特の『ゆるさ』が魅力の一つでもあります。今の時期の家飲みにゆるゆるとナチュラルワインを楽しんでみるのはいかがでしょうか?
そして、ナチュラルワインは飲み始めたばかりの方が戸惑ってしまうほど個性が豊かです。これを読んで是非少しでも安心してお楽しみいただければと思います。
◆濁りや澱などの沈殿物・浮遊物
ナチュラルワインは無濾過・無清澄のものが多く、濁りや澱などの沈殿物・浮遊物が見られるものが多くあります。異物混入かと不安になってしまう方もいますが、安心してください。旨みがそのまま閉じ込められている証拠です。澱や沈殿物は飲んでも身体に害はありませんが、澱の質感や大きさによって楽しみ方を変えることをおすすめします。
溶け込むくらい細かな澱はあえて混ぜて濁らせた状態で飲んだり、結晶化した澱が含まれている場合には、飲むと舌触りが気になってしまうかと思いますので、数日間瓶を立てて保存して、澱などの沈殿物を落としてからゆっくりとグラスへ注いで飲んだり、デキャンタージュなどして澱を取り除いてからいただきましょう。
◆オフ・フレーヴァー
オフ・フレーヴァーがあり、品質的に問題のある欠陥ワインはナチュラルワインに限らずありますが、出くわす回数は圧倒的に多いです。ですが、オフ・フレーヴァーのするワイン全てを否定してしまうのは、あまりにも勿体無いです。
特にしばしば悪者にされてしまいがちな揮発酸とブレットの香り。近年の温暖化の影響や、品種、アルコール度数、SO2添加量などの様々な影響で発生します。
これらの香りが支配的な場合には難しいですが、全体とのバランスによって美味しく感じられたり、複雑さを齎すこともあるので、一概にオフ・フレーヴァーだからと否定せずに、試しに是非飲んでみてください。
ワインは嗜好品なので、苦手なものは仕方がありません。ですが、揮発酸やブレットの香りがありつつも本当に素晴らしいワインが沢山あるのです。
◆SO2添加
SO2(二酸化硫黄)は主にワインの酸化防止を目的に用いられています。醸造時や瓶詰め時に添加されますが、近年一切添加せずに醸造するサンスフルのワインの人気が高まっていますが、食品添加物と同等に考えて、サンスフルのワインしか飲まないといった偏った考えをもった方が多くいます。
中にはアレルギーの方もいらっしゃるので一概には言えませんが、長距離の輸送によるダメージや、そのワインが飲み頃を迎えるまでの期間に健全に熟成できるようになど、生産者は自分たちの造ったワインを美味しく楽しんでもらえるように最善を尽くしています。その為に使用された極小量のSO2が含まれたワインを毛嫌いせず、ぜひ楽しんでみてください。
実はSO2は、古代ローマ時代よりワイン生産の過程で硫黄を燃やして使用されてきた歴史があり、添加せずとも醸造の過程で自然に発生するので、5~30ppmのSO2が自然と含まれています。なので、サンスフルでも裏の成分表示を確認すると記載されていることがあるのです。
冒頭でもお伝えしましたが、肩の力を抜いてナチュラルワインのゆる〜い魅力をまるっと味わってみてくださいね♪
それでは、ナチュラルワイン入門におすすめの生産者とワインを紹介させていただきます。
ピエール・オリヴィエ・ボノーム
2009年、自然派ワインを代表すると言っても過言ではない生産者ティエリ・ピュズラと共同で立ち上げたピュズラ=ボノーム。テロワールを表現するためにいち早く有機栽培、自然酵母での醗酵、無濾過での醸造に取り組み、酸化防止剤の添加を抑制したワイン造りを行っています。
ロワールで有機栽培を行う農家から、通常よりも高値でブドウを買い取って、ワインの収益を栽培家に還元する生産サイクルを確立し、そのお陰でロワールではフランスの他地域に先駆けて有機栽培が広がった功績が高く評価されています。
2014年末、ティエリは自身のドメーヌでのワイン造りに専念するためネゴシアン事業から離れ、ピエール=オリヴィエ・ボノームが100%経営を引き継ぎました。自然派ワイン入門に欠かすことの出来ない造り手です。
ヴァン・クゥール・ヴァン・キュ・ブラン ピエール・オリヴィエ・ボノーム
ティエリ・ピュズラが、日本を代表する自然派ワインのインポーターであるヴァンクールとの友好の証として生産してきたワインで、現在は後継者ボノー厶によって素晴らしいコストパフォーマンスのワインが生産されています。ムニュ・ピノとシュナン・ブランを合わせた新生ヴァン・キュ!毎年チェックせずにはいられません。
再発酵防止のため軽くフィルターをかけていて、薄〜く濁ったペールイエローの色調、黄桃、洋梨、瓜、白い花やその蜜の香り。ブリオッシュや磯のニュアンスも感じられます。
豊かで透明感のある果実味に滋味深いエキスがミネラルとともに広がり、余韻にはほんのりと心地良い苦味が残ります。家飲みワインとして気軽にグビっと楽しみましょう!
▶︎ヴァン・クゥール・ヴァン・キュ・ブラン ピエール・オリヴィエ・ボノーム* 原産国:フランス
* 産地:ロワール
* 品種:シュナン・ブラン、ムニュ・ピノ
* 生産者:ピエール・オリヴィエ・ボノーム
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* 容量:750ml
トゥーレーヌ・ソーヴィニヨン・ブラン ピエール・オリヴィエ・ボノーム
安定の美味しさ!を誇るボノームのソーヴィニヨン・ブラン。スルスル飲めてしまうので、いつの間にかグラスが空になってしまうワインです(笑)
グレープフルーツ、ジューシーな白桃、白い花やその蜜などフルーティな香り。活き活きとして優しい甘みを感じる果実味に、酸が旨味を伴ってじんわり広がり、余韻にはグレープフルーツの果皮のような苦味がアクセントになっています。
若いうちから楽しめて、自然派ワインでは珍しく安定感抜群です!しなやかな酸もあり、飲み飽きしない味わいなので食中酒におすすめです。
出汁を使った繊細な和食の味付けにも良く合うので、是非試してみてくださいね!
▶︎トゥーレーヌ・ソーヴィニヨン・ブラン ピエール・オリヴィエ・ボノーム* 原産国:フランス
* 産地:ロワール
* 品種:ソーヴィニヨン・ブラン
* 生産者:ピエール・オリヴィエ・ボノーム
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* 容量:750ml
ステイホームのお供に、ナチュラルワインをお楽しみください。
《関連記事》
・ナチュラルワイン入門におすすめのワイン〜Part1〜
JSA Sommelier
The Ritz Carlton Tokyo Azure45や、阿部誠氏が率いる「東京ぶどう酒店」、「サロン・ド・シャンパーニュ ヴィオニス」、フランスのシャンパーニュ地方ランス「Domaine les Crayéres」にて10年以上サーヴィス、ソムリエールとして働く。
現在様々な形でワインを広めるべく雑誌やウェブメディアにて執筆中。
Haruka Kageyamaの記事一覧
新着口コミ
ワインペアリングを楽しめるお店、レストランを探す
都道府県から探す