レストランのワインペアリングはこう決まる!
『レストランのワインペアリングとは?』
本題に入る前に、簡単にレストランにおけるワインペアリングの立ち位置、裏側の心理をご説明していきたいと思います。
レストランでペアリングを用意する理由は主に2つです。
これはシンプルにこちらです。
●顧客満足度
●売上
レストランやホテルでは、VIPのようなお客様がいらっしゃいます。これは社会的地位があるという場合もありますが、来店頻度、単価などから売上に貢献していただけるのが分かっている方です(あくまで私の思うV I Pですが…)。
そういったお客様は食事、飲料に対する知識が豊富であり、また食を通して新しい体験をしたいという欲求が強い傾向にあります。よって、そのお客様の満足度を高める為にペアリング等でさらに食事の時間を価値あるものにして再来店していただくようにするといったものです。
そして、それを売上の観点からみると、2名様の御来店で1人1杯ずつしかお飲み物を召し上がらない場合、どうしても客単価が下がってしまいます。よって、魅力的なワインペアリングで満足度と売上を上げたいという思いがレストラン側にはあるわけです。
お店の事情を加えたペアリング
まず、ペアリングはお店によって様々な提供方法がありますが、今回は一般的に多い6品のコースに6杯のワインを合わせるようなものをペアリングとして話を進めていきたいと思います。
まず前提としてお伝えしますが、お店の事情はそれぞれなので店舗の客単価等によって全く異なると思います、あくまでこれは私が勤めてきたレストランにおいての例です。
『ソムリエをしていてペアリングで困ることは何種類もワインを開けられないこと。』
6種類のワインを同時に空ける時、できれば2,3日でワインは売り切りたいんです。さもなければ酸化、劣化していきますのでロスになってしまうので…
そして、仕入れ値の問題です。ワインの飲む順番は一般的に「安価なもの→高価なもの」とされていますので、メインのお肉にどうしても合わせたい赤ワイン(ちょっとお高い)があったりすると前菜の辺りでコスパのよいワインを探してくる必要が出てきます。この辺りはやりがいでもあるのですが、ソムリエとして大変な部分でもあるわけです。
その他、お付き合いの多い業者さんのワインを数本入れたりなど、案外味だけではなくその他の事情も関わっていたりするわけです。
レストランだからできるペアリング
さて、レストラン側の事情を説明するとなんとも微妙な感じがしますが、もちろんお店側が選んだからこそ出来ることもたくさんあるわけです。
まずは簡単に、一般的に王道なワインペアリングの例をみてみましょう。
当然料理に合わせてワインは選ばれますが、わかりやすくニューワールドのワインで例えると、多少前後してもこのパターンが多いように思います。
シャンパーニュ、スパークリング
↓
ソーヴィニヨンブラン、ドライリースリング
↓
ロゼ、軽めピノノワール
↓
重めシャルドネ
↓
重い赤
↓
デザートワイン
かなりシンプルなペアリングの考え方は、
●料理と同じ色、重さのワイン
●料理の味を補うワイン
だと思います。他にもありますが、今回は詳しいペアリング自体の話は割愛します。素直に合わせるとこれに近いワインのラインナップになりますし、これを基準として選定していきます。
では、細かい選定はどうしているのか?まず、レストランのペアリングのメリットは以下のようなことかと思います。
●複数のワインを楽しめる(少ないポーションで6杯飲める)
●コース全体の流れを楽しめる
●グラスがワインによって変わる
そして、
●料理自体をワインに合わせることができる
やはり中でも“料理自体をワインに近づけることができる“これが一番の強みです。実際にお出しした料理を例にワインが決まった流れをご覧いただきたいと思います。
例)
●クラブケーキ ハラペーニョタルタル
コースで言うと3品目、カニのほぐした身をコロッケ状にしてあげた料理です。ソースもコクのあるものなので、当初は樽の効いたシャルドネなどが候補に上がっていましたが、次の料理にシャルドネを使いたかった我々はクラブケーキに爽やかでハーブの香りのあるソーヴィニヨンブランを選びました。クラブケーキにはハーブを添えて香りを合わせ、ワインが負けないようソースの濃度を少しだけ軽くしてもらいました。
●鴨胸のロースト橙(だいだい)のソース
こちらはメインに使われていた料理ですが、鴨料理にはオレンジ系のソースが鉄板とされています。 しかし、どうしても合わせたいピノノワールがあったため、ソースをベリー系のソースに。そして、少し熟したニュアンスのピノノワールでしたので付け合わせをキノコ類に代えて提供しました。
こんな感じで料理を足したり、引いたりして全体としてバランスの良いものにする。そんなことがレストランでペアリングを楽しめる一番の理由になります!
せっかくなので、スタッフにも選定理由を聞いてみると、メニューが決定するまでの苦労話しを聞かせてもらえ、より感情移入できるかも知れませんね。
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