お好み焼きからステーキまで!鉄板焼きあれこれワインペアリング
鉄板焼きといえば、様々な『食材』を焼いて楽しむとてもワクワクする料理のひとつです。
『海鮮』や『肉』はもちろん、『季節の野菜』や『お好み焼き』などバラエティに富んでいます。
また、家庭ではホットプレートやキャンプなどでも手軽に楽しめるのも魅力的です。
今回は、そんな『鉄板焼き』と相性の良いワインペアリングのご紹介です。
鉄板焼きとは?
まず、鉄板焼きというと高級感のある『ステーキ』などがイメージされますが、リーズナブルに楽しめる『お好み焼き』や『もんじゃ焼き』、キャンプの際の『焼きそば』なども鉄板焼きの代表料理といえます。
海外では『Teppanyaki 』としても人気です。スペインでは『プランチャ』と呼ばれる鉄板料理もあり、『キノコ』や『海老』など好きなものを焼いて楽しまれています。
このように鉄板焼きは『無限の可能性を感じる料理』ともいえるでしょう。
代表的な鉄板焼きとワインペアリング
①肉系
肉系の鉄板焼きの代表ともいえるのが『ステーキ』でしょう。『牛肉』だけでなく、『豚肉』や『鶏肉』などもとても美味しいです。
また、ラムチョップ(仔羊)のほか、ジビエなどの鉄板焼きもあります。白身、赤身、脂など肉質や『塩』、『ソース(たれ)』など食べ方によっても味わいが異なります。
ペアリングの基本として『料理の色にワインを合わせる』とマッチングしやすいので、肉の色合いやソース(たれ)の色に合わせて『ワインの濃淡』をセレクトすると良いでしょう。
◎お肉に合うおすすめワイン
アルゼンチンの一大産地『メンドーサ』に拠点を置くアルジェント ワイン カンパニーの造る赤ワインです。
南米ですが、メンドーサは標高が高く冷涼で、アンデス山脈からの雪解け水のミネラルもワインの味わいに影響を与えています。
アルゼンチンを代表する品種『マルベック』を100%使用しています。豊富な日照量から、プラムやブルーベリーのような凝縮感のある果実味が感じられます。
フレンチオーク(フランス産の樽)とアメリカンオーク(アメリカ産の樽)による滑らかで力強いフルボディタイプです。
年間の牛肉消費量が日本の10倍といわれるアルゼンチンは、まさに『牛肉大国』です。
濃厚で深みのあるマルベックのワインと『牛肉のステーキ』の鉄板焼きはベストなペアリングでしょう。グレイビーソースや醤油にもよくマッチします。
* 原産国:アルゼンチン
* 産地:メンドーサ
* 生産者:アルジェント ワイン カンパニー
* 品種:マルベック100%
* タイプ:(赤)ライトボディ☆☆☆☆★フルボディ
* 度数:14%
* 飲み頃温度:13〜15℃
2013年にカリフォルニアに設立された、比較的新しいワイナリーです。
こちらは、ソノマ、モントレーという銘醸エリアのシャルドネをブレンドして造られる、コクのある白ワインです。
話題で人気と評価も高く、かつての大統領オバマ氏が主催したランチミーティングにもリストアップされた事で知られています。
自然酵母で発酵させたシャルドネをアメリカンオークとフレンチオークの併用で熟成させることにより、バターやトーストのような香ばしい風味と濃厚な余韻を醸しだしています。ワイナリー名もそれに由来しているのでしょう。
牛、豚、鶏、肉全般によく合い、濃厚なバターやソースで食べる鉄板焼きにマッチするペアリングです。
* 原産国:アメリカ
* 産地:カリフォルニア
* 生産者:ブレッド・アンド・バター・ワイナリー
* 品種:シャルドネ100%
* タイプ:(白)辛口☆★☆☆☆甘口
* 度数:12.5%
* 飲み頃温度:10〜12℃
②海鮮系
海鮮系では本格的な高級店の『魚料理』から、カジュアルなお好み焼き店の『イカ焼き』のように様々な魚介類が楽しめます。
シンプルに『塩焼き』にしたものや、ホタテのように『バター焼き』すると美味しいものなど、味付けにより濃淡が変わってきます。
シンプルな塩焼きには、『酸味』と『キレ』のある柑橘系のニュアンスのある辛口白ワインが良いでしょう。
一方、海老やホタテのようにバター焼きや濃厚なソースで食べる場合には、『樽の香り』や『厚み』のある余韻の長い濃厚な辛口白ワインがよく合います。
◎海鮮に合うおすすめワイン
▶︎ザ ロッジヒル リースリング ジムバリー
南オーストラリアのクレアヴァレー 地区の生産者『ジムバリー』の造る白ワインです。海抜480mの冷涼な気候で栽培したリースリングを使用しています。
レモンピールやライムのような柑橘系の風味が特徴で、味わいもドライでスッキリとしています。
爽やかな果実味が、イカや海老の塩焼きなどシンプルな味わいの鉄板焼きによくマッチします。
* 原産国:オーストラリア
* 産地:クレアヴァレー
* 生産者:ジムバリー
* 品種:リースリング100%
* タイプ:(白)辛口★☆☆☆☆甘口
* 度数:12.5%
* 飲み頃温度:8〜10℃
2000年に日本人醸造家『仲田晃司氏』が設立したワイナリーです。
ブルゴーニュの神様といわれた『故アンリ・ジャイエ氏』にも認められ、日本人としてのアイデンティティを表現した『天・地・人』という名のシリーズも生まれました。
ムルソーやジュヴレ・シャンベルタンといった、ブルゴーニュを代表する銘醸ワインの造り手としても注目されています。
そんな仲田氏がセレクトした蔵出しの古酒を集めたのが『レア セレクション』です。
アロマティックな香りにローストしたナッツのような香ばしさがあり、熟成による『濃厚なコク』と余韻の滑らかさが特徴のふくよかな辛口タイプです。
ホタテやロブスターのバター焼きやアメリケーヌソース(甲殻類のソース)のようなコクのあるクリーム系の味付けにペアリングするとよくマッチします。
* 原産国:フランス
* 産地:ブルゴーニュ
* 生産者:ルーデュモン
* 品種:シャルドネ100%
* タイプ:(白)辛口☆★☆☆☆甘口
* 度数:12.5%
* 飲み頃温度:8〜10℃
③野菜系
メインの脇役的に思われがちな野菜系ですが、その季節にしか食べられない『旬の素材』には味わいに主張もあり、とても食べごたえがあります。
野菜といってもカボチャや人参のように『甘みの強い』ものや、レンコンや山芋のように一見シンプルだが『独特な風味』のあるものなど味わいも様々です。
野菜にはミネラル豊富な白ワインが比較的合わせやすいですが、『ワサビ醤油』など調味料によっては酸味とタンニンの穏やかな赤ワインのほうが合う場合もあります。
また『箸休め的な一役』もあるので、万能にペアリングするならスパークリングワインのような泡物でも良いでしょう。
◎野菜に合うおすすめワイン
水の都ヴェニスのある『ヴェネト州』に1984年に設立された生産者です。最新式の『太陽エネルギーシステム』を導入して、自然の力でワイナリーの電力を賄っています。
グレーラ種という古くからある品種を使用しています。グレーラは『別名プロセッコ』と呼ばれていますが、今では出来上がったワイン名として認知されるようになっています。
エクストラドライは通常のブリュットよりも残糖度が高いため、『ほのかな甘み』とフレッシュなパインのような風味が感じられます。
全体的にスッキリとした味わいなので、野菜全般によくマッチします。
* 原産国:イタリア
* 産地:ヴェネト州
* 生産者:トッレゼッラ
* 品種:グレーラ(プロセッコ)100%
* タイプ:(白・泡)辛口★☆☆☆☆甘口
* 度数:12.5%
* 飲み頃温度:8〜10℃
フランスのロワール地方の生産者『シャルル・ジョゲ』の造る赤ワインです。
除草剤などを使用せず、現在では『ビオロジック(有機農法)』を取り入れてブドウ栽培を行なっています。
カベルネフランを100%使用していて、ハーブ香やチェリーのような甘酸っぱい風味が特徴的です。
パプリカやズッキーニなど少し青みのある野菜や、スパイス系とよくマッチします。
* 原産国:フランス
* 産地:ロワール地方
* 生産者:シャルル・ジョゲ
* 品種:カベルネ・フラン100%
* タイプ:(赤)ライト☆☆★☆☆フルボディ
* 度数:13.5%
* 飲み頃温度:13℃
④粉物系
日本の『庶民的な鉄板焼き』として昔から人気なのが、『お好み焼き』や『もんじゃ焼き』などの粉物系です。
リーズナブルなことはもちろん、肉や海鮮、そしてキャベツなど野菜も使用することから、味のバリエーションも豊富です。また、ソースの甘辛さや青海苔などの風味も加わる事で、ワインとのペアリング幅も広がります。
基本は『ソース』の味がメインとなるので、赤ワインとのペアリングがよくマッチします。
ただし、濃い味わいをスッキリさせたい場合には、フルーティな辛口白ワインやコクのあるスパークリングワインなどでペアリングするのも良いでしょう。
◎粉物に合うおすすめワイン
イタリアから移住した『アルド・オリビエ・グラモラ 氏』が1998年にチリに設立したワイナリーです。
エルキ・ヴァレーという渓谷にブドウ畑があり、赤白数種類の品種を栽培しています。
特にカルメネール種の評価は高く、陰干しして乾燥させた『アパッシメント』という製法により糖度を高めたワインが出来上がります。
アメリカンオーク(アメリカ産の樽)で熟成されているため、濃厚な『プラムのジャム』のような凝縮感や甘く香ばしい風味があります。
お好み焼きの『ソース』のフルーティさや濃厚で凝縮された甘みによくマッチします。
* 原産国:チリ
* 産地:エルキ・ヴァレー
* 生産者:ビーニャ ファレルニア
* 品種:カルメネール100%
* タイプ:(赤)ライト☆☆☆☆★フルボディ
* 度数:14.5%
* 飲み頃温度:13℃
1882年スペインに創業した老舗『ロジャーグラート』の造る『カヴァ』です。
カヴァはシャンパーニュと同じ『瓶内二次発酵(シャンパーニュ製法)』で造られます。最低18 ヶ月以上の熟成期間を経て出荷されます。
ロゼには『ガルナッチャ』、『モナストレル』、『ピノ・ノワール』というスペインの赤ワイン用のブドウが使用されています。
熟したイチゴなどベリー系のエレガントな香りに、きめ細やかな泡立ちがあります。シャンパーニュ製法により、滑らかなコクと長い余韻が感じられます。
様々な食材を使用し、味のバリエーションも豊富な『粉物系』全般によくマッチします。
まとめ
鉄板焼きとワインのペアリングはいかがでしたでしょうか?
鉄板焼きといってもカジュアルに楽しめるものから、少しリッチなものまで様々あります。
また、食材やシュチュエーションなどによって、『組み合わせは無限大』といっても過言ではないと個人的に感じます。
何よりホットプレートやキャンプのコンロなど、『鉄板1枚』あれば家庭でも楽しめるところは『鉄板焼きの醍醐味』のひとつです。
そこにワインをペアリングさせれば、さらに無限の可能性が広がることでしょう。
是非、気軽に鉄板焼きとワインを楽しんでみてください!
JSA認定シニアソムリエ、ワインコーディネーター、ワインライター
アカデミー・デュ・ヴァンにてワインを学び、株式会社セブンシーズ・インターナショナル(旧レストラン・ロアラ・ブッシュ)でワイン業務に従事。
後に九州へ帰郷、2005年にJSA認定シニアソムリエ資格を取得。
現在は酒販会社のワインアドバイザー兼、飲食店様へのワインコーディネイト、ワイン関連サイト各種への執筆やワイナリーを訪問してのトラベルライターとしても活動中。
クボイツヨシの記事一覧
新着口コミ
ワインペアリングを楽しめるお店、レストランを探す
都道府県から探す