タパスって何?ワインにぴったりのオープンサンドイッチ10種
スペインのバルは、日本の居酒屋さんにあたり、ワインを気軽に楽しみます。その時にワインと一緒にいただくのがタパスです。
タパスは基本的にどれも簡単なお料理ばかり。ハモンセラーノと呼ばれるスペインの生ハムなどの加工肉やチーズ、オリーブの実なども人気ですが、今回は日本の食材でも簡単にできるタパスを10種類紹介します。
タパスって何?
タパスは飲み物を頼んだ際に付いてくる日本でいうお通しのようなものです。
アンダルシアやマドリード周辺、ガリシア地方、エストレマドゥーラ地方などは、飲み物を注文すると必ず無料で一品ついてくるバルがほとんどです。
タパ(tapa)とはフタという意味ですが、なぜタパスと呼ばれるようになったかは色々な説があります。
カディスを旅行中のアラゴン王(アラゴンはサラゴサ周辺)フェルナンド2世がワインを飲もうとしたところ、カディス特有のビエント・デ・レバンテという強風が起こりました。
その際に風で飛ばされるホコリがワインに入らないようにフタにするものを求め、生ハムの薄切りをフタにしたことから始まったという説があります。
その他、シェリー酒の甘い香りにハエがたくさん来ていたので、生ハムなどでフタをしたという説などがあります。
シェリー酒もカディス県のヘレス・デ・ラ・フロンテーラで作られていますから、アンダルシア西部のカディス周辺が発祥の地なのでしょう。
人気タパス〜サラダ・冷菜編〜
冷たくしていただけるものは前もって作り、冷蔵庫に保管できるので便利です。
●エンサラディージャ・ルサ
フランス語でも英語でもロシアのサラダと呼ばれているポテトサラダです。
ロシアの高級ホテルに務めるベルギー人シェフが考案したサラダでポテトをマヨネーズで会えています。
ロシアで作られたときは、ロブスターなど高級食材を使った贅沢サラダでしたが、スペインでは庶民派のサラダになりました。
ゆで卵、ツナ、オリーブの実に赤い野菜を必ず入れます。
バルのエンサラディージャ・ルサは茹でた人参を使うことがほとんどですが、自宅ではトマトを使います。
トマトの方が水分が出てしまうため保存が難しいためです。
バルのサラダは茹でたグリーンピースが入っている場合も多いですが、家庭によってはグリーンピースが入れない場合もあります。
●サルピコン
野菜と魚介類をオリーブオイル、塩と混ぜただけです。
野菜は玉ねぎ、トマト、レタス、きゅうり、ピーマンなどを小さく切ります。
えび、白身魚、貝類など魚介類は軽く茹でて火を通しておきます。カニカマなどを加えても。
●ピクルスのバンデリージャス
短めの串にピクルスをいろいろと挿しただけのタパスです。
バンデリージャとはもともと闘牛で牛の肩に刺す飾り付きの刀剣のことです。
きゅうりのピクルス、オリーブの実、小さな玉ねぎのピクルス、人参のピクルスなどを色合いを見ながら揃えます。
ラッキョウを使っても美味しいですよ。
人気タパス〜揚げ物編〜
やはり揚げ物は人気です。揚げ物はできれば揚げたてが一番。揚げる手前まで用意しておきましょう。
●クロケッタ
クロケッタはクリームコロッケです。
バルで人気のメニューですが、スペインの家庭でよく作られます。
ベシャメルソースを使うクロケッタは起源はフランスですが、余った食材を利用する方法としてとても人気です。
チキンの丸焼きをした次の日やスープで生ハムの骨を使った日、お魚が余ってしまったときなどに作ります。
まん丸く作るだけでとてもユーモラスで素敵なタパスになります。
●イカのリング揚げ
リング型に切ったイカの揚げ物は食事のメニューとしてだけではなく、タパスでもよく登場します。
マヨネーズ、またはレモンの絞り汁をたっぷりかけていただきます。
とんかつを作るようにパン粉をつけて揚げる場合と軽く小麦粉をまぶしただけで揚げる場合があり、好みで作ってください。
●パタタ・ブラバ
パタタ・ブラバの「ブラバ」はブラボーと基本的に同じ言葉で、変化の仕方が違うだけです。
コンサートなどでは「とっても良い」ことですが、オリジナルの意味は「勇気がある」という意味です。
「勇気のあるじゃがいも」なんておかしな感じがします。
実はスペイン人は辛いものが苦手です。
塩辛いという意味ではなく、チリソースのようなホットな辛さのことです。
このパタタ・ブラバはサイコロ型に切ったフライドポテトに辛いチリソースのような赤いソースがかかっています。
その辛いソースを食べられるほどの勇気という意味だとスペイン人に説明してもらいました。
ブラバソースとして販売していますが、ブラバソースは簡単に自宅でも作れます。
トマトのすりおろしに、唐辛子、塩、砂糖、オリーブオイル、玉ねぎみじん切りを混ぜるだけです。
トマトのすりおろしの代わりにケチャップを使ってもOK。その場合は、塩・砂糖を控えてくださいね。
●ナスの揚げ物黒蜜添え
ナスを棒状に切って揚げ、スペインでは「nuestra señora del carmen」という名前で売られている黒蜜をかけていただきます。
塩味のナスの揚げ物と甘い黒蜜が味のハーモニーを作ります。
人気タパス〜焼き物・煮物編〜
揚げるより焼く方が楽という主婦の方は多いです。
オリーブオイルをたっぷり使えば、ボリュームも満足できるものになります。
●マッシュルームのアヒージョ
スペインではマッシュルームをよくいただきます。
マッシュルームはフランスのパリで生まれた食材で、チャンピニオン・デ・パリスと呼ばれます。
パリ郊外のうまやで冬にできたきのこを食べ始めたのが起源です。
アヒージョというのはたっぷりのオリーブオイルをにんにくで香りづけし、そこに食材を入れた料理です。
オーブンで作るととても簡単ですが、フライパンや小さなお鍋でもできます。
オーブンで作る場合は、耐熱食器にマッシュルームを並べます。
みじん切りのニンニクをオリーブオイルで炒めて香りづけし、マッシュルームにふりかけ、オーブンの中火で約15分です。
小さなお鍋で作る場合は、オリーブオイルで煮るように火を通します。
薄切りのフランスパンの上に乗せて爪楊枝で動かないように抑えてお皿に盛りつけます。
●コホヌード
薄切りにしたパンの上にフライパンで温めたチョリソとうずら卵で作った小さな目玉焼きを乗せただけの見た目もなかなか素敵なタパスです。
コホヌードは「素晴らしい」という意味ですが、あまり上品な言葉ではありません。
●ピンチョ・モルーノ
ムーア人の串刺しという意味で、香辛料に漬け込んだ肉類を焼いて串刺しにしたものです。
本来はラム肉で作りますが、豚肉や鶏肉でもOKです。
香辛料は、カレー粉にクミンパウダー、にんにくのすりおろしを混ぜた程度でもかなり美味しく作れます。
ワインにぴったりのタパスで気軽なパーティーを
スペインで人気のタパスを10種類を厳選して紹介しました。
・エンサラディージャ・ルサ
・サルピコン
・ピクルスのバンデリージャス
・クロケッタ
・イカのリング揚げ
・パタタ・ブラバ
・ナスの揚げ物黒蜜かけ
・マッシュルームのアヒージョ
・コホヌード
・ピンチョ・モルーノ
どれもとても簡単で作り置きができるので気軽にタパスでワインパーティーを行えます。
スペイン在住20年で現在アンダルシア在住。
アンダルシアにて調理師免許を取得し、スペイン中を歩き回っています。
クラシック音楽とワインを楽しむ毎日。
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