ペアリングワイン

この夏におすすめ!コルシカ島のワイン

コルシカ島ってどんなところ?

日本人からしてみると、ナポレオンの出生地のフランス領の島とは、なんとなく楽園のようなイメージがある方が多いのではないでしょうか?実際に地中海で最も美しい島として、2015年ナショナルジオグラフィック誌において旅行すべき場所のランキング1位を獲得しています。

ワイン好きからは『夏にぴったりの美味しいワインの産地!』と回答がありそうですね。そして、フランス人に聞いてみると、『ヴァカンスでいつか行きたいところ』や『テロが多い危険な島』など様々な回答がありました。

コルシカ島は地理的に重要な位置にあるため古代から周辺国家による争いが絶えず、住民の自立意識が非常に強く民族主義運動が盛んな所です。1768年以来フランス領ですが、今も過激な独立運動が行われていて、南の楽園とは相反する危険な面を持ち合わせています。

とはいえ、コルシカ島の大自然や、その環境で育まれたワインや食材、フレンチとイタリアンの融合されたお料理などが魅力的であることには変わりありません。コルシカ島の名産といえば、大自然の中放牧されて飼育される豚、羊乳チーズのブロチュ、オリーブオイル、栗、セドラという柑橘の一種、そして忘れてはならないのがワインです。

特筆すべきは、島の西部の栄えた街アジャクシオ周辺でスキアカレロを主要品種とした果実味豊かでスパイシーな味わいが特徴の赤ワインAOCアジャクシオや、島の北東部にある石灰質土壌から生み出される『コルシカで最高のワイン』と称されるニエルキオを主要品種とした野趣を感じる力強い赤ワインAOCパトリモニオ、ヴェルメンティーノを使った魚介にピッタリの白ワイン、ニエルキオを主体としたロゼワインもあります。

そして、パトリモニオでミュスカを使って甘口白ワインが造られるAOCミュスカ・デュ・カップ・コルスが名物の栗菓子ととても相性が良いです。燦々とした太陽に自然の恵みをたっぷり受けて育ったコルシカワインは、夏のカジュアルなひとときにピッタリです。

お次におすすめの生産者のワインを紹介します。

Domaine U Stiliccionu

コルシカ島には幾つか有名なドメーヌがありますが、まだあまり知られていない生産者の中で、近年注目が集まってきているのがドメーヌ・ウ・スティリチオヌです。

カオールやニュージーランドのマールボロでワイン造りを学んだセバスチャン・ポリが当主を務め、ドメーヌはコルシカ島の南西に位置するセラ・ディ・フェロ村に所在しています。

畑はビオディナミ栽培で、花崗岩とシストの土壌に土着品種のブドウが植えられています。近くを流れる川からの冷気の影響で昼夜の寒暖差が大きく、凝縮感がありながらも綺麗な酸をもつピュアな印象のワインが出来ます。

▶︎エミ・リディア

セバスチャン・ポリのおばぁちゃんの名を冠したキュヴェ。ステンレスタンクで低温発酵させそのまま熟成し、無濾過・無清澄で瓶詰めされています。夏みかん、オレンジフラワー、白檀のエキゾチックな香り。凝縮した果実味に塩味を感じるミネラルと綺麗な酸味が旨味とともに広がります。

魚介のフリットや、焼魚、海老フライにもぴったりの辛口白ワインです。

* 品種:ヴェルメンティーノ
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* 容量:750ml

▶︎カリステ

このワインは、コルシカ島の古代からの呼び名である古代ギリシア語で最も美しい地を意味する『カリステ』をキュヴェ名に冠しています。ステンレスタンクで発酵し、18ヶ月木樽熟成の後、無濾過・無清澄で瓶詰めされます。

フランボワーズのコンポートやマッシュルームの香り。スキアカレロとニエルキオを混植で栽培し、そのまま混醸しているのでとても美しく纏まり、甘やかな果実味に、しなやかな酸、溶け込んだタンニンとともにしっとりと長い余韻へと繋がります。

豚の角煮、熟成させたサラミなど相性良く楽しめます。

* 品種:スキアカレロ、ニエルキオ
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* 容量:750ml

合わせて楽しみたいコルシカ産フード

▶︎ブラン・デュ・マキ

コルシカ島のチーズといえばブロッチュが有名ですが、そのブロッチュが評判のラ・フィレッタ社のブラン・デュ・マキもおすすめです。製造は10月から翌年の6月までの8ヶ月間に行われ、ローズマリー、バジル、マジョラム、タイム、セイボリーといったハーブを纏った羊乳のチーズです。中のチーズまでハーブの風味が染み込んでいてとっても美味です。次に紹介するセドラのコンフィチュールに合わせていかがでしょうか?

▶︎セドラのコンフィチュール

こちらはビオディナミ栽培されたセドラを使ったコンフィチュール。着色料や保存料なども使用せず、伝統的な作り方でコルシカの家庭の味を再現しています。

コルシカ島名産の柑橘の一種であるセドラは日本ではあまり馴染みがありませんが、とても風味が良くて香水の原料に使われたりもしています。レモンを大きくして皮が分厚くゴツゴツしたような見た目をしていて『コルシカ島のレモン』と呼ばれています。

夏のひとときに、ブロッチュやブラン・デュ・マキとともに、ヴェルメンティーノの白ワインを片手に味わってみてくださいね。

Haruka Kageyama

JSA Sommelier
The Ritz Carlton Tokyo Azure45や、阿部誠氏が率いる「東京ぶどう酒店」、「サロン・ド・シャンパーニュ ヴィオニス」、フランスのシャンパーニュ地方ランス「Domaine les Crayéres」にて10年以上サーヴィス、ソムリエールとして働く。
現在様々な形でワインを広めるべく雑誌やウェブメディアにて執筆中。 Haruka Kageyamaの記事一覧 

新着口コミ

もっと見る

ワインペアリングを楽しめるお店、レストランを探す

都道府県から探す