ペアリングワイン

中秋の名月に飲みたいビオディナミのワイン

月とビオディナミの関係

2020年の中秋の名月は10月1日(木)です。中秋の名月を眺めながら飲みたいワインってどんなワインですか?月を愛でる際には、月の満ち欠けと関係の深いビオディナミのワインがおすすめです。

ビオディナミとは、化学肥料、除草剤、殺虫剤を使わず、月の満ち欠けや、天体の動きに合わせて栽培や醸造を行い、プレパラシオンと呼ばれる畑にエネルギーを与える自然由来の調合剤を散布する農法のことで、オーストリアの哲学者ルドルフ・シュタイナーの思想と古代から伝わる農法をまとめて体系化されたものです。

そして、満月の日にビオディナミのワインはより美味しく感じると言われています。科学的根拠があるかどうかはわかりませんが、ロマンチックですし、楽しむきっかけになればいいと思います。

私自身は同じワインを飲んでも、満月の日に美味しいコンディションのワインに出会う確率が高いように思いますが、皆さんはいかがですか?

フランソワーズ・ベデル アントル・シエル・エ・テール・ブリュットNV

『天と地の間で』という素敵な名前の付いたこのシャンパーニュは、RMの女性生産者フランソワーズ・ベデルによってビオディナミの手法を用いて造られています。

息子ヴァンサンの病気が現代的な薬では効かず、ホメオパシーによって完治したことからビオディナミに目覚めた彼女は、母の愛でブドウ栽培を行なっています。

良く熟したマルメロ、アプリコット、オレンジのコンポート、リコリス、アカシアの花の蜜の甘やかな香り、柔らかく豊かな果実味、旨味とともにジューシーで力強い酸が余韻まで続きます。前のエチケットはメルヘンな感じでしたが、スタイリッシュなデザインに変わりました。

相性料理は、カボチャやサツマイモの天ぷらなど甘さが増して美味しく楽しめますよ。

▶︎フランソワーズ・ベデル アントル・シエル・エ・テール・ブリュットNV

* 原産国:フランス
* 産地:シャンパーニュ
* 品種:ムニエ、ピノ・ノワール、シャルドネ
* 生産者:フランソワーズ・ベデル
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* 容量:750ml

サッサイア・ラ・ビアンカーラ

ソアーヴェの隣ガンベッラーラに位置するラ・ビアンカーラ。火山性土壌からの豊かなミネラルが感じられるガルガーネガのワインが人気です。

フリウリのグラヴナーから強く影響を受け、ビオディナミへ転換し、果皮との接触を長めにとるオレンジワインの手法でワイン造りを行なっています。こちらのワインは、ラ・ビアンカーラで最もコストパフォーマンスに優れた人気の高いキュヴェです。

瑞々しい洋梨、ミラベル、レモンピール、グレープフルーツ、ミネラル、トーストの香り、澄んだ豊かな果実味は旨味が溢れ、豊かな ミネラル感とフレッシュな酸がジワジワと込み上げ調和し長い余韻へと繋がります。

相性料理は、カニクリームコロッケなどです。

▶︎サッサイア・ラ・ビアンカーラ

* 原産国:イタリア
* 産地:ヴェネト
* 品種:ガルガーネガ
* 生産者:ラ・ビアンカーラ
* 味わい:甘口☆☆☆☆★辛口
* 容量:750ml

マインクラング・グラウパート・ピノグリージョ

マインクラングは、2003年にデメテール認証を取得。オーストリアを代表するビオディナミのワインの生産者です。ビオディナミの先駆者ニコラ・ジョリー率いるルネッサンス・デ・アペラシオンというビオディナミの生産者グループの一員で、後進の指導にも力を入れています。

エチケットのアンガス牛は、マインクラングの有機農法のシンボルとして描かれています。所有しているアンガス牛の糞を使用した栄養価の高い堆肥を使用し、ビオディナミを実践しています。このワインは、低温で10日間の果皮浸漬を行なったエレガントなオレンジワインです。

グレープフルーツや白桃のアロマティックな香り、豊かな果実味に、豊かなミネラルとフレッシュな酸、まるで果肉を食んでいるようなジューシーさを、ライムの果皮のような心地良い苦味が引き締めます。オレンジワインの中でもピュアでエレガントな印象が強いワインです。

相性料理は、海鮮餡掛け焼きそば、春巻きなどです。

▶︎マインクラング・グラウパート・ピノグリージョ

* 原産国:オーストリア
* 産地:ブルゲンラント
* 品種:ピノ・グリージョ
* 生産者:マインクラング
* 味わい:甘口☆☆☆☆★辛口
* 容量:750ml

シャトー・ルピュイ エミリアン

1610年創業。その間ずっと除草剤、化学肥料、農薬を使用せずブドウ栽培を続けてきたシャトー・ルピュイ。敷地は60haありますが、ブドウが植えられているのは38haのみ。残る敷地は、森や沼がそのまま残されていて、虫が生息し、牛や馬が草を食んでいます。

400年以上自然の生態系を守ってきたことによって、ブドウ樹が守られていて、除草剤、化学肥料、農薬を使わずとも生育することができる環境です。なんと、地中に伸ばされた根の深さは70mにも及びます。

ブラックベリーやペダルローズのポプリ、腐葉土、鞣し革の香り、豊かで落ち着いた果実味に、自然酵母を思わせる甘酸っぱい酸、穏やかな溶け込んだタンニンが余韻に長く続きます。ボルドーワインとは一線を画す自然な味わいのミディアムボディの赤ワインで、ブルゴーニュ好きにもオススメです。

相性料理は、仔羊のロティ、キノコ鍋などです。

▶︎シャトー・ルピュイ エミリアン

* 原産国:フランス
* 産地:コート・ド・フラン
* 品種:メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン、カルメネール
* 生産者:シャトー・ルピュイ
* 味わい:甘口☆☆☆☆★辛口
* 容量:750ml

ビオディナミのワインを選ぶ際には、認証機関のマークを探して買うのもいいですが、認証を受けていないところも多々あります。生産者のことを知ることが一番おすすめですが、こちらを見て参考にしていただけたら幸いです。

Haruka Kageyama

JSA Sommelier
The Ritz Carlton Tokyo Azure45や、阿部誠氏が率いる「東京ぶどう酒店」、「サロン・ド・シャンパーニュ ヴィオニス」、フランスのシャンパーニュ地方ランス「Domaine les Crayéres」にて10年以上サーヴィス、ソムリエールとして働く。
現在様々な形でワインを広めるべく雑誌やウェブメディアにて執筆中。 Haruka Kageyamaの記事一覧 

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