イタリアトスカーナの3大産地のおすすめワイン
温暖な気候と土壌に恵まれているイタリアのトスカーナは、偉大なワインの土地として知られています。
トスカーナといえば、サンジョヴェーゼ。果実味とタンニン、酸のバランスがよく、ストラクチャーに優れた黒ブドウ品種です。
今回は、トスカーナのサンジョヴェーゼの3大産地とおすすめのワインをご紹介します。
サンジョヴェーゼといえばキャンティ・クラシコ
サンジョヴェーゼの代表産地のキャンティ・クラシコ。1716年にトスカーナ大公コジモ3世が指定した歴史ある産地で、7万ヘクタールと広い地域に渡っています。その中でも、標高の高い場所では、昼と夜の気温差が大きいため、エレガントなワインができます。
クエルチャベッラは、ルッフォリと呼ばれる丘の上に位置し、幾重にも連なるキャンティ・クラシコの丘をはるか彼方まで見渡すことができます。
このワイナリーは、1980年代にすでにビオの栽培をしており、現在はヴィーガンでワイン造りをおこなっていることで知られています。
動物由来の肥料や、清澄剤として使用されることがある卵白などは使用しません。豆類やハーブなどの植物をブドウ畑に植え、それらを刈って肥料にしています。
農薬に頼らないこの方法のおかげで、土の中の微生物が増え、土はフカフカです。こだわりを持つ畑からできるワインは、しなやかさがあります。
キャンティ・クラシコは、サンジョヴェーゼ以外の黒ブドウをブレンドすることが認められていますが、クエルチャベッラのキャンティ・クラシコは、サンジョヴェーゼ100%。やわらかでなめらかな口当たりです。果実味たっぷりの香りの中に、スパイス香が感じられ、きれいな酸があります。
歴史あるトスカーナのワイン産地、モンテプルチアーノ
「高貴なワイン」と呼ばれ、ローマ教皇にも納められていたヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノも歴史のあるワインです。
中世の街並みが残る中心街の建物の地下には、数多くの蔵が今でもあります。街中に残る中世の数々の蔵を現在も使用しているところは、イタリア広しといえど、珍しいといえます。
アヴィニョネージは、モンテプルチアーノの中でも歴史のあるワイナリーで、14世紀まで遡ります。蔵の建物も、歴史を物語る古めかしい石造りです。
現在は、月や星の動きを記した天体カレンダーを重視して畑の作業をおこなうビオディナミ栽培をしています。また、雌牛の角や水晶の粉を用いたプレパラートと呼ばれる調合剤を肥料として使用しています。
ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノも、キャンティ・クラシコと同様、ブレンドすることが認められているワインですが、アヴィニョネージはサンジョヴェーゼ100%でヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノを作っています。
アヴィニョネージのヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノは、ザクロのような果実味があり、甘いスパイスやハーブのニュアンスが感じられます。しっかりしたタンニンと余韻があり、優美なワインです。
トスカーナの頂点モンタルチーノ
サンジョヴェーゼ・グロッソから作られるブルネッロ・ディ・モンタルチーノは、サンジョヴェーゼの頂点として君臨するワインです。とはいえ、その歴史は浅く、1967年にDOCに昇格してブルネッロ・ディ・モンタルチーノが作られ始めるようになりました。
そして、現在のようなサンジョヴェーゼ100%の規定になったのは、DOCGに昇格した1980年。大樽で熟成されるブルネッロ・ディ・モンタルチーノが「伝統」と呼ばれますが、その伝統は40年の歴史しかないのです。しかし、ワイン造り自体は古くからおこなわれていて、8世紀ごろから甘口ワインのモスカデッロが知られていました。
カスティリオン・デル・ボスコは、1100年に建てられた塔が残っているワイナリー。敷地内にある中世の村の名前がワイナリーの名前にもなっています。2003年に、ファッションブランドのフェラガモがここを村ごと買い取り、蔵をリニューアルし、ワイン造りをおこなっています。
森に囲まれた丘の上の畑は、たえまなく風が吹き、マイクロクライメット(微気候)が生み出されています。日当たり、土壌、斜面、標高、ワインの栽培に最適な条件がそろっていて、ビオ栽培をおこなっています。
さわかな風と空と360度緑の光景は、天国に来たかのような錯覚をおぼえます。現に、マッシモ・フェラガモは、ここの美しさに一目ぼれして購入を考えたといっています。
カスティリオン・デル・ボスコのブルネッロ・ディ・モンタルチーノは、とにかくエレガント。果実の凝縮度があり、しっかりしたタンニンのあるワインですが、ほどよい酸がしなやかです。長年熟成できるワインですが、若くてもおいしいのも特徴です。
まとめ
サンジョヴェーゼで作られるこの3つの産地のワインは、どれもその土地が感じられる味わいで、テロワールが表現されています。
これら3つのワイナリーは、フィレンツェ・イン・タスカのワイナリーツアーで行くことができます。
旅行ができるようになったら、トスカーナの太陽と風を感じにぜひお越しください。
イタリア在住ワインコーディネーター
2003年にフィレンツェに料理&ワイン留学。
2004年よりフィレンツェ在住。イタリアソムリエ協会ソムリエ資格保持。
トスカーナのワイナリーツアーを企画・主宰し、通訳案内もしている。
1日の終わりに、手作り料理とワインをペアリングすることが何よりの楽しみ。
▶︎フィレンツェ・イン・タスカ
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