ペアリングワイン

ワインペアリングはイタリア人のDNA!

イタリア人にとって、ワインはなくてはならない存在です。家族との食事のとき、同僚との会食のとき、友だちの家でのホームパーティー、誕生日会、クリスマスなど、テーブルの上には必ずワインがあります。そして、ワインは単独ではなく、常に食事とともにあります。

イタリア人にとって、食事をしながらワインを飲むことは、体に染みついた行為であり、習慣であり、文化なのです。

文化としてのペアリング

ハリウッド映画では、仕事から帰ってきたビジネスマンが、ワインを抜栓して一人でガブガブ飲みだすシーンや、思いにふける主人公が、夜中一人でテレビを見ながらワインをゴクゴク飲むシーンをよく見かけます。

イタリア人は、このようにワインだけを飲むことはしません。アメリカ人を批判しているわけではなく、文化と習慣の違いです。

イタリアのワインの歴史は、はるか古代まで遡ります。中世になると、貴族は宴会で豪華な食事と高級ワインを楽しみ、庶民は大衆的な料理と一緒に安いワインをがぶ飲みしていました。

中世の料理とワインのペアリング

フィレンツェでは、中世の料理が現在でも受け継がれています。その代表が「豚肉とリンゴ」です。中世には、冷蔵庫がなかったため、肉はスパイスを使って保存するなどの工夫をしていました。

スパイス代わりに果物も、肉と組み合わせて調理されていました。果物の甘みが、かたくなった肉をやわらかくする働きをするからです。

もちろん、現代では、冷蔵庫があるので、肉が悪くなる心配はありませんが、リンゴの甘みは、豚肉の脂身と非常に合い、今でも人々に親しまれているメニューです。

その場合のワインとしては、「ポミーノ」がペアリングの王道です。フィレンツェから約40キロ東に位置するポミーノで作られるワインです。この地区は、1716年にトスカーナ大公によって偉大なワイン産地として認められました。

フィレンツェの貴族フレスコバルディは、1500年に建設されたポミーノ城を現在も所有し、当時からワイン造りをおこなっています。歴史あるワイナリー、フレスコバルディの「ポミーノ・ピノ・ネーロ」をぜひペアリングしてみてください。

【豚肉とリンゴのソテーのレシピ】

▼材料(2人分)
豚肉(ロース)…300g
リンゴ …1個
セロリ…1/4片
オリーブオイル…15g
生セージ…10g
ポロネギ…1/4本
塩、胡椒…適量

▼作り方
①ネギを細切りにし、セロリをみじん切りにする。
②フライパンにオリーブオイル入れ、①とセージを軽く炒める。炒めたものはフライパンから出し、取っておく。
③リンゴは、芯を取り除き、8等分に切る(できれば皮ごと)。それを、炒めた野菜を取り出したフライパンで色が付くまで中火で炒める。その半分はミキサーにかけ、残る半分は取っておく。
④豚肉を中火で両面焼く。そこに、②の野菜と③のリンゴをすべて入れる。
⑤塩、胡椒をして、全体を混ぜる。

イタリア人に愛されるナンバーワンのペアリング

「イタリアでは、水よりワインの方が値段が安い。イタリア人は水の代わりにワインを飲む」と外国人にいわれるくらい、イタリア人にとってワインは身近なものです。

中世のワインの消費量は膨大でした。それは、衛生という観念が普及しておらず、清潔な飲料水が乏しかったので、人々はワインを飲んでいたからです。

「イタリア人は水の代わりにワインを飲む」というのは、嘘ではなく、身近なワインと日常の食事を合わせるというのは、歴史的にとても自然なことだったのです。

日常の食事で、イタリア人がもっとも好きな料理といっていい「ラグーのタリアテッレ」をご紹介します。卵入りの黄色い平麺パスタのミートソースで、レストランでも家庭でも一番の人気メニューです。これに赤ワインを合わせれば、最強のペアリングになります。

ペアリングとして好評なワインは、「モンテプルチアーノ・ダブルッツォ」。特に、ヴィッラ・メドーロの「モンテプルチアーノ・ダブルッツォ」は、ブラックチェリーなどの果実味がたっぷりで、黒胡椒のスパイス香があり、しっかりとしたタンニンがありますが、まろやかな味わいです。コストパフォーマンスが非常によい、おすすめのワインです。

【ラグーのタリアテッレのレシピ】

▼材料(4人分)
タリアテッレ…320g
牛ひき肉…400g
玉ねぎ…1個
ニンジン…1本
セロリ…1片
ホールトマト缶…800g
赤ワイン…1/2カップ
オリーブオイル…大さじ3
塩、胡椒…適量
パルミジャーノチーズ…適量

▼作り方
①鍋にオリーブオイルを熱し、みじん切りにした玉ねぎ、ニンジン、セロリを中火で炒める。
②野菜の水分がなくなるくらいまで炒めたら、牛ひき肉を入れ、かき混ぜながら、鍋の底に肉がくっついてくるまで中火で炒める。
③ワインを入れ、水分を蒸発させる。
④ホールトマトを入れ、トマトをつぶしてよく混ぜる。煮立ったら蓋をして、極弱火で約1時間煮込む。塩、胡椒をし、味見をして、味をととのえる。
⑤塩を入れたお湯でタリアテッレを茹でた後、④のソースと混ぜる。皿に盛り付けパルミジャーノをかける。

太田 由歌

イタリア在住ワインコーディネーター
2003年にフィレンツェに料理&ワイン留学。
2004年よりフィレンツェ在住。イタリアソムリエ協会ソムリエ資格保持。
トスカーナのワイナリーツアーを企画・主宰し、通訳案内もしている。
1日の終わりに、手作り料理とワインをペアリングすることが何よりの楽しみ。
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