ペアリングワイン

イタリア現地レポート「ベンヴェヌート・ブルネッロ」

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの最新ヴィンテージ2015年が披露された「ベンヴェヌート・ブルネッロ2020」に行ってきました。

2月21日~24日にイタリアトスカーナ州のモンタルチーノで開催されたこの試飲会は、開催前からかなり注目されていました。それは、2015年のヴィンテージが、非常によい出来だったからです。

140社のワイナリーが出品した「ベンヴェヌート・ブルネッロ2020」。イタリア現地からのレポートをお届けします。

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの最新ヴィンテージ2015年

ブルネッロワイン協会による2015年の評価は、最高の5つ星。春は適度に雨が降り、平均的な気温でした。夏は酷暑でしたが過度な暑さではなく、7月末に降った雨がブドウの木のストレスをやわらげ、8月9月も寒暖差がありました。そして、9月は雨が降らず、よい収穫となりました。

熟した果実の香り、スパイス香が強調されていて、森のバルサミックなニュアンスがあります。広がりのある味わいで、酸味、アルコール、タンニンのバランスが絶妙です。

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの試飲

2015年のジェネラルな特徴は、上記の通りですが、畑の位置、生産者によっても、当然味わいは異なります。その中でも、特に評価の高かったものをご紹介します。

ポッジョ・ディ・ソット
言わずと知れた大御所。熟した赤い果実、フローラルな香りと、洗練されたスパイス香があります。荘厳で、華麗です。でも、誇張することなく、美しいフィネスがあります。

サルヴィオーニ・ラ・チェルバイオーラ
こちらも偉大なブルネッロとして有名です。深みがある複雑な香りには、熟したサクランボや、アーシーな香り、タバコのニュアンスがあります。タンニンと塩気が余韻に残るすばらしいブルネッロ・ディ・モンタルチーノです。

イル・マッロネート
ビオディナミでワイン造りをおこなっている生産者。厚みがあり、複雑味のあるブルネッロ・ディ・モンタルチーノ。ふくよかで、余韻が長く、長熟の大きなポテンシャルがあります。

ポタッツィーネ
標高500メートルと、モンタルチーノの中でも、高いところに位置するワイナリーです。ファミリー経営の小さな作り手ですが、ここ数年、かなり注目されています。フローラル、ベリー系の赤い果実、そしてバルサミックなニュアンスがあり、とても洗練されています。

フリーニ
歴史あるワイナリーのひとつ。ふくよかで、深みがあり、酸味としっかりしたタンニンのバランスがとれています。

サン・ポーロ
フローラル、果実、スパイス香のバランスのとれているブルネッロ・ディ・モンタルチーノで、余韻も長くエレガントです。

前評判通り、期待を裏切らない試飲会となりました。非常に優れた年だけあって、生産者たちも話に熱が入っていました。すぐ飲んでもおいしいヴィンテージですが、長年寝かせておくと本領を発揮します。今から数年後、どのように熟成を経ているかを味わってみるのも楽しみです。

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノとのペアリング

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは、値段が張るワインですので、イタリアでも、特別な日に抜栓し、夫婦またはカップルで、料理と一緒にゆっくり楽しみます。グラスの中でも、どんどん香りと味わいが変化し、深みが増して、飲む人を魅了させます。

どれをとっても重層的で優雅ですので、風味豊かなしっかりとした味わいの料理とペアリングするのが最適です。ブルネッロ・ディ・モンタルチーノとのペアリングの代表格「スペッツァティーノ」をご紹介しましょう。

これは、ぶつ切りにした牛肉の煮込みのことで、イタリアの伝統料理です。コトコト煮込んだ牛肉と、コクのあるブルネッロ・ディ・モンタルチーノは、まさに至福のペアリングです。ぜひ、ゆっくりと堪能してみてください。

【スペッツァティーノ(牛肉の煮込み)のレシピ】

▼材料(4人分)
牛肉(肩ロース)…600g
玉ねぎ…小1個
ニンジン…小1個
セロリ…1/2片
ローズマリー…1本
オリーブオイル…大さじ2
バター…大さじ1
小麦粉…大さじ1
ワイン…半カップ
ブイヨン…適量
じゃがいも…400g
塩 適量

▼作り方
①玉ねぎ、ニンジン、セロリをみじん切りにする。
②鍋に、オリーブオイルとバターを入れて熱し、①を入れて、1分ほど中火で炒める。
③牛肉は、3センチ四方くらいに切り、小麦粉をつけ、②に入れる。2分ほど混ぜながら炒める。
④ワインを③に入れて、強火で水分を飛ばす。
⑤ブイヨンを④にひたひたになるくらいに入れ、ローズマリーを入れる。
⑥煮立ったら、弱火にして、蓋をして、たまにかき混ぜながら、1時間~1時間半煮込む。塩を加える。
⑦じゃがいもを4分の1の大きさに切り、⑥に入れ、さらに煮込む。味見をし、塩加減を調整する。
⑧じゃがいもがやわらかくなったら出来上がり。

少量だと、深みのある味わいにならないので、最低でも4人分調理するのがおすすめです。翌日もおいしく食べることができます。

太田 由歌

イタリア在住ワインコーディネーター
2003年にフィレンツェに料理&ワイン留学。
2004年よりフィレンツェ在住。イタリアソムリエ協会ソムリエ資格保持。
トスカーナのワイナリーツアーを企画・主宰し、通訳案内もしている。
1日の終わりに、手作り料理とワインをペアリングすることが何よりの楽しみ。
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