ワイングラス次第で劇的変化!ワインの魅力を最大限に引き出すグラス選び

人それぞれに個性があり、似合う洋服をコーディネートするのと同じように、 ワインにも個性とその魅力を引き出すグラスがあります。

目で楽しみ、香りを感じ、舌で味わい、喉で感じる。五感を使って楽しむのがワインを味わう醍醐味です。

グラスの形によって空気への触れ方が変わり、酸味や香り、濃厚さ、余韻などワインの味わいに大きな影響をもたらします。

冷やすと美味しい冷涼な地域の生まれのワインは、写真左のスマートでコンパクトなグラスで、温暖な地域の生まれのフルボディや色の濃いワイン、熟成したワインには大ぶりの写真右の2つのグラスで飲むとワインの魅力を最大限味わうことができます。

「ワインが重くなるほど大きなグラスが合う」とイメージすると分かりやすいでしょう。

どんなワイングラスがあるの?どうやって飲むの? 

ワイングラスの種類は膨大で、それぞれに特徴があります。ワインに合ったグラスの選び方をご説明します。

シャンパンなどの発泡性ワインには、 細長い形をしたフルートグラス(写真右)が最適です。

立ち上る泡が綺麗にみえますし、細長いフォルムは喉越しをキュッとさわやかに感じさせてくれます。

マリーアントワネットのパーティを彷彿とさせるような、シャンパンタワーに使われる平たい形をしたクープグラス(写真左)もあります。

飲んだ後にゲップを出にくくするための工夫だそうです。

白ワインは主に2種類のグラスが使われます。

すっきり飲みたい冷涼な地域のリースリングや爽やかなソーヴィニョン・ブラン、甲州のワインは小さめのグラスがいいでしょう。

シャルドネでも樽香が効いたふくよかなワインには、ボールのような丸みを帯びたシャルドネグラスに注ぐと香りの複雑さを感じられます。

赤ワインもここでは2種類のグラスを紹介します。

 口がすぼんだチューリップの形をしたブルゴーニュグラスと卵型の大ぶりのボルドーグラスが代表的です。

「ボトルの形に合わせて選ぶ」と覚えてください。

 写真左のなで肩のボトルにはブルゴーニュグラスが合います。

 繊細な香りと、酸味がブルゴーニュワインの特徴です。

 大きく広がったフォルムは香りをより引き出し、すぼんだ口部分はその香りをグラスに留める役割を果たします。

 舌先の甘みを感じる部分からワインが流れていくため、酸を心地よいものに変えてくれます。

いかり肩のボトルやフルボディのワインには写真右のボルドーグラスが合います。

華やかで力強い複雑な香りと、渋みとアルコールのボリューム感が特徴のボルドーワイン。

まっすぐなグラスの側面は香りのバランスを整え、舌先の酸味を感じる部分からワインが流れていくので、渋みを和らげる機能があります。

まずは汎用性の高いテイスティンググラス!

ワインに合ったグラスを買い揃えるのも保管しておくのも大変です。そこで家庭でも手軽に楽しめるグラスをご紹介します。

国際規格準拠(INAO)のテイスティンググラスは、ソムリエがテイスティングに必ず使用する汎用性の高いグラスです。

小ぶりで場所を取りませんし、 一脚当たりの価格も600円〜700円ぐらいでリーズナブルです。

もう少しこだわりたい方には「シェフ&ソムリエ」のオープンアップ・プロ・テイスティング32がおすすめです。

こちらはソムリエの大会で最もよく使用されるテイスティンググラスで、 筆者も自宅で愛用しておりホームパーティーでも大活躍しています。

もうひとつのオススメは、脚のない「リーデル」のオー・シリーズのシラーです。 脚がないので洗い物も楽ですし、場所も取りません。

おきあがりこぼしのように倒れても起き上がってくる驚きのグラスで、BBQやキャンプなどアウトドアのシーンでも活躍しそうです。

アウトドアメーカーの「コールマン」や「スノーピーク」でも脚のないグラスが販売されてますね。ハーブティやビールなどを注いでもおしゃれです。

味だけでなく色や香りを楽しむのもワインの味わいなので、無色透明で、ボウル部分に無駄な装飾のないものが良いでしょう。

ワイングラスのケアが味を左右する! 

ワイングラスはデリケートです。ソムリエ達が日頃どのように手入れをしているのかをご紹介します。

まず、酔っているときにグラスを洗わないようにしましょう! お気に入りのグラスを割ってしまう危険があります。

ガラスはとても匂いを吸収しやすい性質がありますので、グラスは清潔に保っておくことが重要です。

食器を洗ったスポンジを使用すると、グラスの中に匂いが残ってしまうのでワイングラスは別のスポンジを使いましょう。

特に魚の匂いはつきやすく、グラスの中が生臭くなりやすいので注意が必要です。

せっかく丁寧に洗ても、そのまま乾かすとカルキ臭がグラスに残ってしまいます。

60度ぐらいのお湯をグラスにかけて、あたたかいうちにグラス用クロスや手ぬぐいなどの綺麗な布で水気を拭き取りましょう。

水で冷えたグラスに熱湯を注ぐと割れることがあるので注意して下さい。

ワインの渋や曇りは塩とお酢を使ってきれいにしましょう。

①お酢:塩=9:1の割合で混ぜて塩を溶かす。
②キッチンペーパーに①をふくませてグラスを拭く
③お湯でゆすいでから、水気を拭き取る

服にワインをこぼしてしまった時は、ワインがかかった箇所に塩をまぶし、 熱いお湯をかけてから布巾で叩いてください。 

時には型にとらわれないことも。より楽しむための応用編 

ワインに合ったグラスは、そのワインの味を最大限に引き出してくれます。

王道の楽しみ方だけにとどまらないのがワインの深いところであり、面白いところです。

例えば、熟成期間が長いタイプのスパークリングワインやシャンパンをシャルドネグラスや赤ワイン用のグラスで飲んでみてください。

シャンパングラスで飲むのとはまた違った複雑でふくよかな香りを感じられます。

時間が経って、気の抜けたスパークリングワインを楽しむ時にもオススメです。

イタリアのフランチャコルタも、冷やしすぎずにこのようなグラスで飲むのも面白いと思います。

きれいなグラスにワインが注がれていく瞬間はワイン好きにはたまらない至福のとき。

すぐに口にしたいところですが、グラスの「リンス」をすることでワインをもっと楽しむことができます。

・少量のワインをグラスに垂らす。
・グラスの内側を拭うように回しながら香りをつける。
・残ったワインは他のグラスに捨てるか、飲んでしまいましょう。

グラスに付着していた余分な匂いが落とされ、ワイン本来の味わいや香りをグラスの中いっぱいに感じることができます。

ワインを楽しむためには、ワイングラスは欠かせない存在です。

ワインにこだわるのと同じようにグラスにもこだわることで、ワインの魅力をこれまで以上に味わえるようになりますよ。

辻本 実由季
岐阜県にあるオーベルジュの支配人。
アルコールは弱いけれど、JSA認定ソムリエ。
特技はジビエの解体。