ペアリングワイン

高知にもワイナリーがあるって知っちゅう?

みなさんは、日本におけるワインの生産地というと、どこを思い浮かべるでしょうか?

おそらく、山梨県や長野県、北海道などを思い浮かべる方が多くいらっしゃるかと思います。

確かにこれらの地域は、ぶどう栽培に適した気候条件が揃っていたり、その知名度や生産量からいっても、ワインの一大生産地と言えるでしょう。

その逆に、高温多湿で、雨や台風も多く、決してぶどう栽培に向いているとは言えない気候の高知県で、新たにワイン造りをはじめたワイナリーがあるのです。

それは、石灰を取り扱う会社が手掛ける「井上ワイナリー」です。

ここでは、その井上ワイナリーのワインや、高知県でのワイン造りへの挑戦について紹介します。

井上ワイナリーってどんなワイナリー?

高知県南国市にある井上ワイナリーは、明治17年創業の井上石灰工業株式会社という石灰を取り扱う老舗の企業から生まれました。

その本社のある南国市の稲生(いなぶ)地区というのは、良質な石灰が産出される場所として知られています。

その良質な石灰地質の土壌を活用し、少しでも耕作放棄地を減らしたいという井上ワイナリーの井上孝志社長の想いから、2013年よりワイン造りをはじめた井上ワイナリー。

長年培われてきた石灰に関する様々なノウハウを駆使し、高知の食材と相性の良い「TOSA(土佐は高知県の旧国名)ワイン」造りに取り組んでいます。

TOSAワイン①稲生

先述の通り、良質な石灰地質に恵まれた高知県南国市稲生地区において、メルロー種と日本在来種であるヤマブドウをかけあわせた品種、「富士の夢」から造られたワインです。

石灰地質のワインの産地といえば、フランスはブルゴーニュ地方のシャブリ地区が有名ですが、石灰地質の土壌からは、爽やかでミネラルたっぷりのワインが生み出されることが知られています。

この「稲生」も石灰地質の土壌の恩恵を受け、ブルーベリーやカシスなどの果実感の豊かな、丸みをおびた味わいに仕上げられています。

TOSAワイン②山北

高知県香南市の山北といえば、温暖な気候でみかんの産地としても非常に有名な地域です。

そんな山北で、ピノノワール種と日本在来種であるヤマブドウをかけあわせた品種「エイトゴールド」から造られたのが、このワインです。

「エイトゴールド」、あまり聞き慣れない名前だと思いますが、これを直訳すると「8・金」→「はちきん」。

この「はちきん」とは、高知県の強い女性を意味する言葉です。

「山北」は、そんな「はちきん」の名にふさわしい、パンチの効いた、しっかりとした口当たりに仕上げられています。

ボルドーのワインはグラマラスな女性、ブルゴーニュのワインは華奢な女性など、ワインは女性に例えられることがあります。

「山北」は、高知の強くたくましい女性に例えられるのでしょうか。それは、ぜひ飲んで確かめてみたいところですね!

高知の郷土料理と相性抜群!

海、山、川。大自然に囲まれた高知県には、それだけ多くの美味しい食材があります。

その中でも高知県の代表的な郷土料理といえば、まず「カツオのたたき」が挙げられるでしょう。

同じく高知県生まれのTOSAワイン「山北」は「カツオのたたき」と相性抜群です!

また、ブランド牛として知られる土佐赤牛は、「稲生」と相性が良いのだとか。

2016年に行われたTOSAワインお披露目会では、世界的にも有名なソムリエさんも、その相性に太鼓判を押したそうですよ!

ここで紹介した井上ワイナリーのTOSAワインは、目下のところ生産量が少ないため、百貨店や酒販店などには流通していません。手に入れるには、井上ワイナリーの「TOSAワイン同盟」の会員になることが条件となります。

また、高知県内のレストランやホテルでも取り扱いがあるところがいくつかあるようです。

希少なTOSAワイン、ワイン愛好家ならぜひとも一度味わってみたいですね!

まだ生まれたばかりで成長段階ということですが、今後もTOSAワインの躍進に期待ができそうです。

石関 華子

埼玉県出身、高知県在住。一児の母。
㈱三越(現:㈱三越伊勢丹)日本橋本店の洋酒担当を経て、2016年、日本ソムリエ協会認定ワインエキスパートの資格を取得。 現在は高知県内のワイナリーのアドバイザーやワイン検定の講師を務める一方、ワインに関連する記事やコラム等の執筆も多数手がけています。
2019年、日本ソムリエ協会高知支部副支部長に就任。 石関 華子の記事一覧 

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