ペアリングワイン

しっぽり焼き鳥と飲みたいワインペアリング

「焼き鳥」といえば、串1本が100円前後で安くて美味しいB級グルメ。

ビールや乙類焼酎で食べるイメージが強いと思いますが、近年ではワインと焼き鳥を楽しめるオシャレな店が増えています。

価格重視の居酒屋スタイルでもオシャレなバル風焼き鳥店でも、共通して言えることは、焼き鳥は素材の良さが全てであることと、調理の手数は少なくシンプルであること。

店主こだわりのワインを楽しみに焼き鳥店を巡るのもいいですし、テイクアウトした焼き鳥を自宅でお気に入りのワインと楽しむのもいいですね。

タレ派? 塩派? 断然、塩派のあなたは…

炭火で焼いたモモに、胡椒を効かせたコリコリのなんこつ、余分な脂を落として香ばしく焼き上げた鶏皮やぼんじり……焼き鳥の部位には白身のものが多いですね。

あっさり塩味で食べる時には白ワインと合わせるのが基本とされています。キリリと冷やした冷涼な地で育ったソーヴィニヨン・ブランはいかがでしょうか?

冷やしすぎずにフワッと漂う柑橘系の香りをのんびりと楽しみたい時はシャルドネの、できればチリやカリフォルニア、南アフリカあたりの温暖な気候で作られた白ワインをおすすめします。

ここでは、カリフォルニアのモントレー産の白ワインをご紹介します。

▶︎ハーン ワイナリー シャルドネ モントレー

カリフォルニアワインというと、サンフランシスコからすぐ北のナパやソノマのような産地が有名ですが、南側にあるモントレーでも良質なピノ・ノワールやシャルドネの高品質なワインが生産されていて、値段も手頃なものが多いです。

「ハーン ワイナリー シャルドネ モントレー」ではサンタ・ルシア・ハイランズ(SLH)というブドウの栽培に適した地区のシャルドネを使用しています。

十分な日照を浴びて実ったシャルドネらしく、トロピカルフルーツやクロワッサンをトーストしたような豊潤な味わいと尖ったところのないまろやかな味わいをしています。

カラメルやスモーキーな香ばしさは、胡椒をふった塩味のジューシーな鶏肉とも相性が良く、炭火の香ばしさともよく合います。

名称:Hahn Winery Chardonnay
原産国:アメリカ
産地:カリフォルニア(モントレー)
品種:シャルドネ95% ピノグリ5%
タイプ:白/辛口

砂肝・ハツ・レバーが好き! 甘辛いタレで食べる時には?

「白身の肉でもタレで食べたい!歯触りのいい砂肝やハツが大好物!」という方には軽めの赤ワインをおすすめします。

南仏のグルナッシュ・シラーを使った甘さを感じさせる赤や、ボジョレーヌーボーで有名な品種ガメイを使った自然派のワインなども飲みやすく合わせやすいと思います。

「新鮮でトロけるようなレバーをタレで焼いてもらうのがやっぱり一番好き!」という方には、もう少し個性の強い赤ワインもいいですね。

イタリアのプリミティーボ(アメリカのジンファンデル)という品種の甘い芳香がレバーのコクにも負けず、アルコール度数も少し高めなものが多いので、スッキリとした後味であとを引きません。

▶︎ヴァンクゥール・ヴァンキュ・ルージュ

野趣溢れる地鶏の内臓部分を店自慢のタレで食べるなら、控えめながらも力強い味わいで華やかな芳香のガメイをおすすめします。

「ヴァンクゥール・ヴァンキュ・ルージュ」はロワール産で、カベルネフランをブレンドしているため酸もしっかりと感じさせ、より複雑みのある味となっています。

赤い果実を思わせる甘い香りが焼き鳥のタレとよく合います。鳥料理全般に合うワインなので、タレのみでなく塩味でも揚げ物でも美味しいです。

名称:Vincoeur Vincul Rouge
原産国:フランス
産地:ロワール
品種:ガメイ75% カベルネ・フラン25%
タイプ:赤 中軽口

焼き鳥といったらビールでしょ!そんなあなたも試してほしい

焼き鳥にはビール。それは否定できない至高のマリアージュですが、ビール派の人にもぜひ試してほしいのがスパークリングワインと焼き鳥です。

シャンパーニュではなく料理の格に合わせてもう少し廉価版のスパークリングワインを選びましょう。

ここではフランスのクレマン(クリームのようなきめ細かい泡をもつ発泡酒)を二つ紹介します。

他にもシャンパーニュメゾンが作る第三世界のスパークリングなども、手に入りやすく選びやすいでしょう。

▶︎クレマン ダルザス ブリュットナチュール プルミエール マルク・テンペ

親日家のオーナーが手がけるこのアルザスのクレマンは、日本で手に入りやすい一本です。

レモンのような明るく淡い黄色で、すっきりとした酸と持続するきめ細かい泡をもっています。

青リンゴや柑橘系の香りで軽い印象です。ほのかにトーストしたナッツなどの香ばしい香りもあり、スパイスを使用することが多い焼き鳥にも合います。

アルザスはキャベツ料理が名物。焼き鳥の付け合わせによく使用されるキャベツとも違和感なくマッチします。

名称:Mark Tempe Cremant D'Alsace Brut Nature Premiere
原産国:フランス
産地:アルザス
品種:ピノ ブラン・ピノ ノワール・ピノ オーセロワ
タイプ:発泡 白 辛口

▶︎モンムソー クレマン ド ロワール

「モンムソー」は、ANAが機内提供を採用した実績もあるため日本でもよく販売されている手に入りやすいクレマンで、コストパフォーマンスに優れています。

シャンパーニュと同じMethode Traditionnelleで製造されており、熟成感とまろみのある味わいが特徴です。

明るい黄色でグレープフルーツや黄色いリンゴを思わせる香りで、パンやブリオッシュ・ナッツなどのスモーク香もわずかに感じられます。

焼き鳥のみならず色々な居酒屋メニューに合わせやすいです。

名称:Monmousseau Cremant de Loire
原産国:フランス
産地:ロワール
品種:シュナンブラン58%・シャルドネ30%・カベルネ フラン12%
タイプ:発泡 白 辛口

シギ焼き(わさび付き)や、ねぎま・しそ巻き・野菜巻き

鶏肉とワインの相性に注目して見てきましたが、料理としての焼き鳥には薬味や野菜が深く関わってきます。

例えば、ささみ肉にワサビを乗せたシギ焼きにカリフォルニアのまろやかなタイプのシャルドネを合わせると、ワサビの青々とした感覚が突出してしまうことがあります。

シソやネギなど香味野菜を使う串にはソーヴィニヨン・ブランや、冷涼な地で作られたシャルドネなどが合うでしょう。

▶︎クラウディー ベイ ソーヴィニヨン・ブラン

もやに霞む山々を描いたエチケットが特徴的な「クラウディ ベイ ソーヴィニヨン・ブラン」は、冷涼なニュージーランドの気候の中では日照時間が最も長い場所で生産された白ワインです。

朝晩の冷え込みと日中の高温がこの地のソーヴィニヨン・ブランを他では出せない骨太で重厚かつエレガントな味わいにしています。

この品種ならではの緑がかった青草のような香りと小さな果実のようなボリュームは、ワサビの青っぽさをうまく調和して、味のバランスを整えてくれます。

名称:Cloudy Bay Sauvignon Blanc
原産国:ニュージーランド
産地:マールボロー
品種:ソーヴィニヨン ブラン
タイプ:白 辛口

全部一本のワインで済ませたい!

急にワイン選びの熱意を失ってしまったわけではありません。焼き鳥っていろんな串を順不同で食べますよね。

そして、焼き鳥屋には小規模な店舗が多いです。カウンター席で何種類ものグラスを並べるわけにはいかないかもしれません。

サクっと通して一種類で飲めるワインがあると便利ですね。そんな時には、先ほどおすすめした温暖な地域のシャルドネか、おとなしくエレガントな赤ワインをおすすめします。

フランスの銘醸地ではない、第三世界のピノ・ノワールはコスパも良くおすすめです。

▶︎メナージュ ア トロワ ピノ・ノワール

濃いめの赤が目を惹くカリフォルニアのピノ・ノワールです。渋みを感じさせない滑らかな舌触りで、ベリーの香りと熟した果実感が濃厚な味わいをもたらします。

ほんの少し早めの抜栓で空気で馴染ませて香りを広がらせてから飲むのがおすすめです。

長く余韻の続くエレガントさと、居酒屋メニューを拒まない気安さが混在する、日常使いにぴったりのピノ・ノワールです。

名称:Menage a trois Pinot Noir
原産国:アメリカ
産地:ナパ・ヴァレー
品種:ピノ・ノワール
タイプ:赤 中軽口

いかがでしたでしょうか。素材が勝負のシンプルな料理ほど合わせるワインに悩んでしまうものですが、ワインが変わると食べたい料理も変わってくる不思議な感覚を感じることができます。

焼き鳥の串や居酒屋メニューをずらりと並べて、料理の進み具合で白や赤、泡などワインを変えてみるなど、ぜひ色々試してお気に入りのワインを見つけてみてくださいね!

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末吉 茜

J.S.Aワインエキスパート

美味しいものとワインが好きな主婦です。
子育て世代の目線で楽しめるワインライフを紹介していきます!
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