ペアリングワイン

磯の香りがたまらない! 冬の味覚 牡蠣料理に合うデイリーワイン

木枯らしが吹いて紅葉が散りはじめると、産卵を終えた牡蠣の旨味と養分が増してくる季節です。

各地で牡蠣小屋がオープンするというニュースが聞こえてきて、みんなで炭火を囲んでワイワイと焼き牡蠣を食べたくなりますね。

筆者のいる福岡県では、多くの牡蠣小屋で酒類や食事の持ち込みが可能なので、お気に入りのワインを抱えて牡蠣小屋を訪ねるのが毎年の楽しみの一つです。

牡蠣といえば一番に思いつくのがシャブリ!と言えますが、定番の組み合わせ以外にもいくつかセレクトしてみました。

牡蠣に合うワインってどんなワイン?

◎生牡蠣
生牡蠣に合わせる場合は、牡蠣にかける調味料に注意を払ってワインを選ぶことが大切です。レモンやポン酢などの柑橘系の爽やかな香りの邪魔をせず、酸味に寄り添うワインを選びましょう。フランス北部の冷涼な産地であるシャブリ地区のシャルドネで作られる白ワインがまさにこの条件に合っています。また、磯の香りやミネラルを感じさせるよう澱と一緒に発酵させたシュールリー製法のミュスカデやソービニヨン・ブランの白ワインも魚介類と好相性です。

◎ホワイトソース系
ベシャメルソースを使った牡蠣のグラタンや、香味野菜やスパイスを使用するロックフェラーのようなリッチでクリーミーな料理に合わせるなら、しっかりと骨格と芳香のある白ワインやすっきりとした辛口の白ワインがおすすめです。ここでは白ブドウの果皮や茎と一緒に醸す工程でほんのりとオレンジに色づくことから「オレンジワイン」と呼ばれる白ワインを提案しています。

◎カキフライ
揚げたてサクサクのカキフライには、油切れを良くするドライな飲み口のワインがおすすめです。辛口のスパークリングワインやアルコール度数が高めのシェリーなどはいかがでしょうか。また、スペインのリアス・バイシャス地方では、アルバリーニョという品種を使い、潮風を感じさせる味わいと黄桃やバラの花のような華やかな香りをもつすっきりとした辛口のワインが生産されていて、こちらも天ぷらや火入れをした牡蠣によく合います。

牡蠣料理に合うデイリーワイン

▶︎シャブリ ドメーヌ ドルーアン ヴォードン

フランスブルゴーニュ地方の名門ワイナリーの多くがシャブリ地区に自社畑を所有していることもあり、シャブリを購入する際に迷ったときは、「ルイ・ジャド」「アルベール・ビショー」「ルイ・ラトゥール」など、良く見かける有名ブランドを選ぶのも一つの方法だと思います。

今回選んだドメーヌ・ドルーアンもブルゴーニュの伝統ある銘家で、シャブリのパイオニアの一つと言えるでしょう。

メゾン・ジョセフ・ドルーアンが自然農法で造るシャブリは、フルーティで柑橘やグリーン系の爽やかな香りが特徴です。

レモングラスのような香りと品の良い酸が、柑橘果汁をかけた生牡蠣や焼き牡蠣などシンプルな料理に合います。スクリューキャップのお手軽感もいいですね。

名称:Chabris Domaine Drouhin Vaudon
原産国:フランス
産地:シャブリ
品種:シャルドネ
タイプ:白/辛口
合う調理法:生牡蠣

▶︎甲州 オランジュ グリ

今や世界中で爆発的な人気となっているのが「オレンジワイン」ですが、白ブドウの茎や果皮に果汁をコンタクトさせることで、その味わいに複雑さと深みを持たせているため、ほんのりオレンジがかった色味をしたワインです。

この製法は繊細な甲州種にとっても、濃厚な香りや旨味を加えることができる相性の良い製法のようです。

「甲州オランジュ グリ」の豊かでボリュームのある香りは白桃やハチミツといった芳醇なもので、クリーム系の牡蠣料理にもよく合います。

名称:Koshu Orange Gris
原産国:日本
産地:山梨県
品種:甲州
タイプ:オレンジワイン/やや辛口
輸入元/製造元:本坊酒造株式会社+マルス穂坂ワイナリー
合う調理法:牡蠣のグラタン、ロックフェラー、チーズ焼き

▶︎シャトー テルトル ド ローネイ

フランスのボルドー地方で生牡蠣を食べるときに相性がいいとされるワインが、アントル ドゥ メールの手頃な価格帯の白ワインです。

ソーヴィニヨン・ブランを主体にミュスカデルなどの補助品種を合わせたものが一般的ですが、このシャトー・テルトル・ド・ローネイはセミヨンの割合が多く、より上品で複雑な味わいとなっています。

白い花を思わせる香りと明るく澄んだ黄色の色味が、心を浮き立たせてくれる一本です。

何よりコストと味のバランスが良い一本なので、屋外でのキャンプやBBQ 、牡蠣小屋などで賑やかに開ける白ワインに向いています。

名称:Chateau Tertre de Launay
原産国:フランス
産地:ボルドー/Entre deux Mers
品種:セミヨン35%、ソーヴィニヨン・ブラン20%、ソーヴィニヨン・グリ20%、ミュスカデル20%、ユニ・ブラン5%
タイプ:白/辛口
合う調理法:生牡蠣、焼き牡蠣

▶︎ボデガス バロン ミカエラ アモンティリャード

カキフライに合うお酒として、シェリー酒を一点ご紹介します。スペインの南、ジブラルタル海峡にも手が届きそうな海岸沿いの街に、ボデガス バロンのワイナリーがあります。

バロン ミカエラにはキリッとドライで香りの良い食前酒向きのフィノやマンサニージャもありますが、料理と楽しむなら少し熟成が進んだアモンティリャードがおすすめです。

カラメルやドライフルーツ、ヘーゼルナッツの落ち着いた香り。軽口で繊細な味わいなので牡蠣料理に良く合います。

名称:Micaela Amontillado
原産国:スペイン
産地:アンダルシア州 サンルカール・デ・パラメダ地区
品種:パロミノ
タイプ:シェリー酒/辛口
輸入元/製造元:Bodegas Barón S.A.
合う調理法:カキフライ、牡蠣の天ぷら、牡蠣めし、牡蠣のオイスターソース炒め

▶︎パスカル ジョリヴェ アティテュード

ソーヴィニヨン・ブランの名手、パスカル・ジョリヴェが手がけるリーズナブルなフランスロワール地方のワインです。

品質としてはA.O.C.トゥーレーヌを名乗ることもできるのに、飲む人が手に取りやすいようあえてロワールという大きなくくりで販売するこだわりです。

ハーブやフレッシュなレモンの様な活き活きとした香りで、新鮮な魚介類や和の味付けにも良く合う、縁の下の力持ち。

自然農法で栽培されたブドウを使ったジョリヴェのワインは、酸と香り・味の深みやミネラル感がバランス良くまとまっていて、ナチュラルな飲み口です。

日常に溶け込むワインとして、普段の食事に添えたい一本です。

名称:Pascal Jolivet ATTITUDE Sauvignon Blanc
原産国:フランス
産地:ロワール(A.C.Touraine)
品種:ソーヴィニヨン・ブラン
タイプ:白/辛口
製造者:Pascal Jolivet
合う調理法:カキフライ、焼き牡蠣、牡蠣のパン粉焼き、海鮮寄せ鍋

以上、冬の味覚「牡蠣」にスポットを当てて普段使いのワインをご紹介いたしました。

あなたのお気に入りになる一本を見つけられるよう、ぜひ参考にしてみてください。

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末吉 茜

J.S.Aワインエキスパート

美味しいものとワインが好きな主婦です。
子育て世代の目線で楽しめるワインライフを紹介していきます!
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