ペアリングワイン

今夜の晩酌が恋しくなる!小説とワインのペアリング

緩やかに気温が下がり始め、少しずつ冬の足音が聞こえる今の時期は一年の中で最も読書に集中できる季節ではないでしょうか。

というわけで今回は、ワインにまつわる小説を4冊と、ペアリングにぴったりのワインをご紹介します!

おいしいワインに殺意をそえて

スコット ミシェル (著)
青木 千鶴 (翻訳)
早川書房2009年

~あらすじ~

『ワイン職人はなぜ死んだ? ワイン好きの元女優が探偵するグルメ・コージー・ミステリー。

売れない女優のニッキィはレストランで働いて生計を立てていた。そこにある日、客として現われたのはデリック・マルヴォー、名門ワイナリーの若き敏腕オーナーだった。

ニッキィのワインの知識を見込んだ彼は、自分の補佐役として働かないかと誘ってくる。迷いながらもワイナリーの見学に訪れたニッキィだが、到着早々、ワイン職人の他殺体を発見してしまう。

この美しいナパ・ヴァレーで、いったい誰が何のために? ニッキィは自分なりに真相を探りはじめるが……。

ワインと絶品グルメが満載、思わず乾杯したくなるコージー・ミステリ。ワインの豆知識とおつまみに最適な料理のレシピ付き! ※引用:Amazon

【この小説におすすめのワイン】

▶︎ファイヤーストーン カベルネ・ソーヴィニヨン

◎ペアリングのポイント
本小説は、本格ミステリーという感じではなく、肩肘はらず気軽に読めるタイプの作品。もちろんワインの知識ゼロという方にも楽しく読んでもらえると思います。

そんな物語の舞台になっているのは自然豊かなカリフォルニア州のナパ・ヴァレー。昼夜の寒暖差が大きく、早朝には霧が立ち込めることもしばしば。

ファイヤーストーン カベルネ・ソーヴィニヨンは、ナパのカベルネ・ソーヴィニヨンらしさを発揮しながらもやや軽快な味わい。

チェリーやプラムなどの明るい赤系の果実感と紅茶やタバコのニュアンス。タンニンは上質な滑らかさを持っています。

飲みやすくて価格もリーズナブル。どなたにもおすすめできるワインです。

* 原産国:アメリカ
* 生産地:カリフォルニア州ナパ・ヴァレー
* 生産者:ファイヤーストーン・ヴィンヤード
* 品種:カベルネ・ソーヴィニヨン 100%
* タイプ:赤ワイン、ミディアムボディ
* 容量:750ml

真実はワインの香りの中に

阿部 容子 (著)
幻冬舎2022年

~あらすじ~

幼い記憶に残された、母親との思い出の香りを求めタイムトリップをつづける香織。旅の先で辿り着いた真実とは――

ワインの歴史が人を紡ぐ、心温まるファンタジー小説。
※引用:Amazon

【この小説におすすめのワイン】

▶︎ヴーヴ・クリコ ローズラベル

【ヴーヴ・クリコの葡萄畑】

◎ペアリングのポイント
主人公の香織がワインの香りに導かれて辿り着いたのは、シャンパーニュの名門ヴーヴ・クリコでした。

心地よく華やかなファンタジー感溢れる本作と、ピンク色に輝く星のような泡のペアリングはいかがでしょう。

ヴーヴ クリコは、1818年にロゼ・スパークリングを世界で初めて生み出しました。

通常のスパークリングワインにピノ・ノワールから造る特別な赤ワインを加え、美しい色合いのロゼに仕上げています。

味わいはイエローラベルに比べるとややドライめ。辛口ながらボリュームがあり、すっきりした飲み口となっています。

* 原産国:フランス
* 生産地:シャンパーニュ
* 生産者:ヴーヴ・クリコ
* 品種:ピノ・ノワール、シャルドネ、ピノ・ムニエ
* タイプ:ロゼ発泡、辛口
* 容量:750ml

ウスケボーイズ 日本ワインの革命児たち

河合香織(著)
小学館文庫2018年

~あらすじ~

日本ワインの知られざる誕生秘話。世界の常識からかけ離れていた日本のワイン造りに異を唱えた人物がいる。

「海外の銘醸地にコンプレックスを感じながら日本でワインを造る時代は終わった。

君たちは本気で海外に負けないワインを造りなさい」日本のワイン造りを主導した醸造家・麻井宇介(うすけ)の教え子の3人は、師の遺志を受け継ぎ「ウスケボーイズ」と自らを名乗る。

そして、それぞれが日本では絶対に無理と言われたワイン用ぶどうの栽培から醸造までを一貫して手がけるワイン造りにすべての情熱を傾けるようになる。※引用:Amazon

【この小説におすすめのワイン】

▶︎シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー

【シャトー・メルシャンHPより】

◎ペアリングのポイント
物語に登場する3人の主人公が魅せられたワインこそが、この『桔梗ヶ原メルロー』です。

日本ワインの一つの到達点と言われるほど国内外で高い評価を得ており、今なお進化を続ける日本の赤ワインの原点ともいえる存在です。

この情熱的なノンフィクションを読めば、きっと日本ワインが飲みたくなります!

成長した3人の主人公は、実際にそれぞれのワイナリーを創業していていますので、それらのワイナリーもぜひ調べてみてくださいね。

* 原産国:日本
* 生産地:長野県塩尻市桔梗ヶ原地区
* 生産者:シャトー・メルシャン
* 品種:メルロー
* タイプ:赤ワイン、フルボディ
* 容量:750ml

熱狂のソムリエを追え! ワインにとりつかれた人々との冒険

ビアンカ・ボスカー (著)
小西敦子 (翻訳)
光文社2018年

~あらすじ~

ワイン界の猛者たちを、素人の女性ジャーナリストがからだを張って取材したベストセラー・ノンフィクション!湧き上がる知的興奮。“ワイン教"の世界へようこそ!

「味蕾を磨くために岩を舐める」

「雨が嗅覚を鈍らすからと気象学を学ぶ」

「フロアを優雅に歩くためにダンスのレッスンを受けた」etc.

本書は私がフレーヴァー・フリーク、知覚科学者、希少ボトルのコレクター、嗅覚の達人、ほろ酔いの快楽主義者、規定無視のワイン生産者、そして世界でもっとも野心的なソムリエたちの中で過ごした日々を綴ったものだ。

ワインを買うためのガイドブックではないし、お人好しで信じやすいワイン愛好家賛歌でもない。(中略)ブドウからグラスまでの旅というよりグラスから喉までの冒険譚である。(本文より) ※引用:Amazon

【この小説におすすめの白ワイン】

▶︎ルイ ラトゥール シャサーニュ モンラッシェ ブラン

◎ペアリングのポイント
この小説は、ワインのかなり難解(というより変態的?)な部分について書かれていますので、ワイン世界の最深部に迫りたい方におススメの一冊です。

小説の中で、『ブルゴーニュは地球上で最も複雑なワイン生産地域で、まさにその点をファンは愛している。』の一節のあとに登場するのが、シャサーニュモンラッシュ村のワインです。

このワインの味わいは芳醇なトロピカルフルーツの果実味に溢れ、余韻も華やかで豊か。ほのかにスモーキーな香りが爽やかな酸味とよく調和しています。

味わいは、みずみずしい花の香りのする辛口です。ブルゴーニュの白と言えばシャブリ一択!と思っている方にも、ぜひ飲んで頂きたいワインです。

* 原産国:フランス
* 生産地:ブルゴーニュ
* 生産者:ルイ ラトゥール
* 品種:シャルドネ
* タイプ:白ワイン、辛口
* 容量:750ml

まとめ

いかがだったでしょうか?ワインはその背景を知るとさらに味わい深くなるお酒です。

読書を入り口に、よりディープなワインの世界を楽しんでみてくださいね。

Yuhei Shioya

JSA認定ソムリエ / フリーライター

横浜で30年以上の歴史を持つオーセンティックバーのマネジャーを経験。
ウイスキー、ワインをはじめとした酒類全般、ペアリングの分野で幅広い見識を持つ。現在はこれまでの経歴を活かしフリーライターとして、酒類やペアリング、翻訳業など、執筆を生業として活動している。
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