ペアリングワイン

シャンパーニュテロワール探求!Part3

キンメリジャン土壌から生まれたシャンパーニュ!

シャンパーニュ地方南部に位置するオーブ県トロワの街の南に広がるブドウ栽培地域コート・デ・バールは気候は大陸性気候で、前回もお伝えしましたが、シャブリと同じ土壌が広がっています。

一般的にはシャブリと同じキンメリジャン土壌と一部ポートラディアン土壌も混ざります。コート・デ・ブランよりも南に位置するため、より熟度の高いブドウを収穫できます。

シャブリと同じ土壌と聞くとシャルドネの栽培に向いているのではないかと思われますが、実は、良質なピノ・ノワールの産地となっています。

◎キンメリジャン土壌とは?

キンメリジャン土壌とは、約1億5千万年前に遡るジュラ紀後期の地層のことです。粘土石灰質土壌で石灰岩にはエグゾジラ・ヴィルギュラ(※写真 Exogyra Virgula)と呼ばれる微小なカキ殻の化石を多く含んでいるのが特徴です。

◎ポートラディアン土壌とは?
ポートランディアンの呼び方は実は正式な呼び方ではありません。この地層の研究が行われたイギリス南部の地名に因んでそう呼ばれています。正式にはジュラ紀後期のキンメリジャン後にできた地層チトニアンです。キンメリジャンと同じく粘土石灰質土壌ですが、石灰岩に貝殻は含まれず、キンメリジャンよりも粘土が多いのが特徴です。

キンメリジャン土壌に植わるピノ・ノワールを使ったブラン・ド・ノワール

ブラン・ド・ノワールとは、ピノ・ノワールやピノ・ムニエなどの黒ブドウから造られたシャンパーニュのことで、フランス語で「黒の白」という意味です。

リッチでしっかりとした味わいのシャンパーニュが多く、黒ブドウがもつ華やかな香りと豊潤な味わいが人気です。キンメリジャン土壌に植わるピノ・ノワールは豊富なミネラルと伸びやかな酸が特徴です。

そして、コート・デ・バールは他のシャンパーニュ地方のピノ・ノワールの産地よりも南に位置する為、気温が高くより熟度の高い味わいとなります。

合わせるお料理も幅広く、牡蠣やお醤油を使ったもの、コクのあるソースのお肉料理なんかも合わせることが出来ます。

キンメリジャンのミネラルを感じる!

▶︎ドノン・レコルト・ノワール ドノン・エ・ルパージュ

こちらのブラン・ド・ノワールは、コート・ド・バールのシャンパーニュらしくキンメリジャン土壌に由来する溌剌としたミネラルが特徴的に顕れています。

造り手はドノン・エ・ルパージュのダヴィ・ドノン。生まれ育ったこの土地に約2ヘクタールの畑を所有し、「このバールという土地の個性を体現したシャンパーニュを造りたい」と携帯電話の電波も繋がらない可愛らしい小さな村アヴィレ-ランジェ村でシャンパーニュ造りを行っています。

キメ細やかな泡立ち。洋梨やグレープフルーツ、アカシアの花の蜜、カスタードクリーム、焼き立てのブリオッシュの香り。ピュアで甘やかな果実味にフレッシュで高めの酸味、豊かなミネラルが中盤から余韻にかけて感じられます。

クリーミーで甘やかな牡蠣と一緒に味わいたいシャンパーニュです。

* 原産国:フランス
* 産地:シャンパーニュ
* 品種:ピノ・ノワール
* 生産者:ドノン・エ・ルパージュ
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* 容量:750ml

シャンパーニュにおけるビオディナミのパイオニア!

▶︎ブラン・ド・ノワール・ブリュット フルーリー・ペール・エ・フィス

こちらのブラン・ド・ノワールは、粘土石灰質土壌に植わるピノ・ノワールを使った驚くほど豊潤で滑らかなシャンパーニュです。

造り手は病害の多いシャンパーニュの中でいち早くビオディナミを取り入れ、パイオニア的存在となったフルーリー。

フルーリーが位置するクルトゥロン村のブドウは、モンターニュ・ド・ランスやヴァレ・ド・ラ・マルヌのネゴシアンが、他のコート・デ・バールのブドウより高値を付ける程素晴らしい畑のブドウです。

キメ細やかで持続性のある泡立ち。タルトタタン、ブリオッシュ、クランブル、蜂蜜、香ばしい醤油のような香り。熟度の高い果実味にフレッシュな酸、豊かなミネラルと旨味が穏やかに広がります。

醤油を連想させる風味があることから、すき焼きとも相性良く楽しめるシャンパーニュです。

* 原産国:フランス
* 産地:シャンパーニュ
* 品種:ピノ・ノワール
* 生産者:フルーリー・ペール・エ・フィス
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* 容量:750ml

ブルゴーニュグラスで楽しみたい!

▶︎ラルジリエ・レ・ソンス・ボワゼ・エクストラ・ブリュット コサンス

こちらのピノ・ノワールは、シャブリのグラン・クリュと同じような構成のキンメリジャン土壌から生産されています。

ラルジリエは単独所有する3.5haの有機栽培の畑名。木樽を使って熟成させているキュヴェで、甘苦いスパイスの風味や複雑な風味が魅力的なシャンパーニュです。

オレンジのコンポート、ミラベル、シナモンやナツメグなどのスパイス、ローストしたアーモンドやブリオッシュの豊かな香り。優しく撫でるかのような心地良くキメ細やかな泡が持続的に続きます。コクのある豊かな果実味に、旨味エキスとミネラル、スパイスの風味が奥行きを感じさせます。

12℃〜14℃やや高めの温度帯でブルゴーニュグラスでいただくと複雑な香りとこのシャンパーニュがもつ複雑性のある魅力を存分に楽しめるので、おすすめです。

コサンスは2006年にスタートした比較的まだ新しいメゾン。当主ジェローム・コサンスは大手メゾンで7年勤め、独立しました。

こちらは甲殻類との相性が抜群です。ご家庭で試すならエビマヨなんていかがでしょう?スパイスの風味が良いアクセントになりますよ。

* 原産国:フランス
* 産地:シャンパーニュ
* 品種:ピノ・ノワール
* 生産者:コサンス
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* 容量:750ml

いかがでしたでしょうか?コート・デ・バールのピノ・ノワールを使ったブラン・ド・ノワールを是非楽しんでみてくださいね。

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Haruka Kageyama

JSA Sommelier
The Ritz Carlton Tokyo Azure45や、阿部誠氏が率いる「東京ぶどう酒店」、「サロン・ド・シャンパーニュ ヴィオニス」、フランスのシャンパーニュ地方ランス「Domaine les Crayéres」にて10年以上サーヴィス、ソムリエールとして働く。
現在様々な形でワインを広めるべく雑誌やウェブメディアにて執筆中。 Haruka Kageyamaの記事一覧 

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