ペアリングワイン

ロワールの隠れた人気者!ミュスカデの魅力

皆様「ミュスカデ」というブドウ品種をご存知でしょうか?

ソムリエとして働いてよく聞かれるのが、「シャルドネある?」や「ソーヴィニヨン・ブランのワインはある?」といったメジャー品種のワインを欲するお声。

それはごく普通のことですが、一度も聞かれたことがないのが、このミュスカデ。

実は夏におすすめで、こだわって造っている生産者のミュスカデは本当に美味しいのです。今回ぜひとも紹介させてください。

ミュスカデってどんなブドウ?

フランスのロワール地方ペイ・ナンテ地区で主に栽培されるブドウ品種で、別名「ムロン・ド・ブルゴーニュ」ブルゴーニュのメロンと呼ばれています。

このブドウは、かつてはブルゴーニュ地方で栽培され、メロンの香りがすることからそう名付けられました。

18世紀初頭に襲った厳冬によってそれまで栽培されていたブドウ品種が全滅したことから、ブルゴーニュ地方の修道院から寒さに強いミュスカデが植樹されました。

そして、ミュスカデが好む冷涼な気候と石灰質土壌が多い点と、この地域で食べられる海の幸を使った料理と相性が良いという点から、ペイ・ナンテ地区での栽培が定着しました。

ややグリーンがかったイエローの外観に、フレッシュな柑橘系の香り、溌剌としたキレの良い酸があり辛口に仕上げるのが一般的なミュスカデの特徴です。

また、品種特性的にブドウの水分が多いため、出来上がるワインも水っぽくなってしまうことがあり、シュール・リー製法を施すことが多いです。

◎シュール・リーとは?
フランス語で澱の上という意味で、ワインの発酵後に澱引きを行なわず、そのまま醸造を続けます。こうすることによって、澱からの旨味や様々な成分をたっぷりと含んだワインとなります。

それでは、ペイ・ナンテ地区のおすすめの生産者のミュスカデを使ったワインを紹介させていたださきます。

美味しいワインに肩書きは必要ない!

▶︎ムロニックス ドメーヌ・ランドロン

こちらのワインは、もともと香りがあまり強くでないミュスカデの特性を考慮し、かなり時間をかけてプレスを行い、果皮などから香りや旨味を抽出することで香り豊かなワインへと仕上げています。

この香りが、この地域の一般的なミュスカデと比べて「ミュスカデらしくない」ため、AOCを名乗る認可が取れなかったため、現在では申請すら行わずヴァン・ド・フランスとしてリリースしています。

美味しいワインに肩書きは必要ありません。このキュヴェは、彼の造るワインの中で最もナチュラルな仕上がりで一押しです。

グレープフルーツ、レモン、ヴァーベナの爽やかで香り。瑞々しさを感じる果実味に、豊富なミネラルと旨味エキスがフレッシュでクリーミーな酸とともに広がります。

相性料理は、今の時期ですと岩牡蠣なんていかがでしょうか?この地域の王道の楽しみ方です。

* 原産国:フランス
* 産地:ロワール
* 品種:ムロン・ド・ブルゴーニュ
* 生産者:ドメーヌ・ランドロン
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* 容量:750ml

規格外の美味しさ!

▶︎ミュスカデ・グラニット・クロ・デ・ペリエール ドメーヌ・ド・ベル・ヴュー

こちらのワインは、クロ・デ・ペリエールというミュスカデのクリュの1つクリソンの中でも特に優良な畑で栽培されたミュスカデを使ったワインです。

クリソンの特徴である力強いミネラル感と、伝統に返りガラス加工を施した地下セメントタンクで発酵後2年間も一度もタンクの蓋を開けずにシュール・リーで熟成したことによるとてつもない旨味が混ざり合い、規格外の美味しさです。

白桃のコンポート、白い花、蜂蜜、火打ち石のスモーキーな香り。凝縮した果実味に出汁のような旨味エキス、クリーミーな酸と柑橘果皮を想わせる苦味が余韻にかけて感じられます。一般的なスッキリ辛口のミュスカデとは全く異なる個性を発揮しています。

相性料理はスモークサーモンです。ワインのもつスモーキーなニュアンスが同調し、サーモンのコクのある旨味とワインの旨味がよくマッチします。

* 原産国:フランス
* 産地:ロワール
* 品種:ムロン・ド・ブルゴーニュ
* 生産者:ドメーヌ・ド・ベル・ヴュー
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* 容量:750ml

ピュアッピュアなブドウの心!

▶︎クール・ド・レザン マルク・ペノ

こちらのワインは、ヴァン・ド・プリムールのように気軽に楽しんでもらおうと造られたキュヴェです。キュヴェ名のクール・ド・レザンは、ブドウの心という意味でとってもチャーミング!

こちらのワインもランドロンと同様に、香りや旨味を最大限に引き出す為、低圧力で12時間ゆっくり時間をかけて丁寧にプレスして造られます。 蜜リンゴ、かりん、金木犀、カモミールの香り。完熟した甘さを感じさせる果実味に、豊かなミネラル感、穏やかな酸が心地良くゆったりと身体へ沁み渡るような味わいです。

2021年は大不作の為、ベルジュラックの生産者からセミヨンを買い付け、少しブレンドされています。これぞ癒やし系です。エチケットで微笑むムロン・ド・ブルゴーニュにもぜひ、癒やされてくださいね。

相性料理は、焼き上げたシェーブルチーズのサラダです。まるで蜜を含んだリンゴのような甘やかな風味がシェーブルチーズと良くマッチします。

* 原産国:フランス
* 産地:ロワール
* 品種:ムロン・ド・ブルゴーニュ
* 生産者:ドメーヌ・ド・ベル・ヴュー
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* 容量:750ml

是非、今までのミュスカデのワインの既成概念を覆すような味わいの素晴らしい生産者のミュスカデをお試しください。

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Haruka Kageyama

JSA Sommelier
The Ritz Carlton Tokyo Azure45や、阿部誠氏が率いる「東京ぶどう酒店」、「サロン・ド・シャンパーニュ ヴィオニス」、フランスのシャンパーニュ地方ランス「Domaine les Crayéres」にて10年以上サーヴィス、ソムリエールとして働く。
現在様々な形でワインを広めるべく雑誌やウェブメディアにて執筆中。 Haruka Kageyamaの記事一覧 

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