ペアリングワイン

種類別ナチュラルチーズとワインのペアリング

「チーズとワイン」、このワードを聞くだけで胸がトキメク方もいるのではないのでしょうか?ワインとチーズは、切っても切れない縁で結ばれた至極のペアリングですよね。

しかし、チーズとひとことで言えど、その種類は数えきれないほど。チーズもワインと同じく、生産される地域によって「地理的表示」という地域特産品のお墨付き制度があり、その世界はとても深いものです。

今回は、チーズの中でも自然の原料のみでつくられる「ナチュラルチーズ」にスポットを当ててワインとの相性について考えていきたいと思います。

ナチュラルチーズとは

チーズは大きく分けて、ナチュラルチーズとプロセスチーズの2種類に分けられます。

ナチュラルチーズとは、動物の乳を固め発酵させたものをいい「モッツアレラ」「ゴーダ」「ゴルゴンゾーラ」など、チーズそのものに名前がついたものをいいます。

一方で、プロセスチーズは、ナチュラルチーズが原料で、溶かし、殺菌して固めたものをいいます。家庭でお馴染みのとろけるチーズや、さけるチーズなどはこちらのプロセスチーズに当てはまります。

ナチュラルチーズは、世界各国でつくられており、原料も牛の乳や山羊の乳などさまざま、原料や製造方法によって香りや味わいが異なります。では、どのようにワインに合うナチュラルチーズを選んだらよいのでしょうか?

ナチュラルチーズは製法で大きく7種類に分けられ、自分好みのチーズを探すにもわかりやすいポイントになります。

①フレッシュタイプ
②白カビタイプ
③青カビタイプ
④ウォッシュタイプ
⑤シェーブルタイプ
⑥セミハードタイプ
⑦ハードタイプ

今回は、この7つの種類をベースにワインとのペアリングを考えてみましょう。

①フレッシュタイプのチーズとワインのペアリング

◎モッツアレラ、マスカルポーネなど

日本でも大人気の、マルゲリータピザやカプレーゼでお馴染みのモッツアレラチーズ、ティラミスで使われるマスカルポーネチーズなどがフレッシュタイプチーズです。

名前の通り、熟成させずにフレッシュなうちに頂くタイプ。マスカルポーネチーズはスイーツに使われるイメージが多いですが、ソースにアレンジすることもできるので、以外とワインと合わせやすいんです。

フレッシュチーズのワインペアリングレシピのポイントは、新鮮なお野菜や果物と生のまま合わせることです。カプレーゼやサラダは定番ですが、簡単で美味しい一石二鳥なレシピですね。

【おすすめペのアリングワイン】
フレッシュタイプのチーズは、味わいもさっぱりとしたものが多いので合わせるワインもすっきり爽やかな白ワインがおすすめです。

▶Tinpot Hut Marlborough Sauvignon Blanc

すっきり系白ワインでおススメしたいのは、ハーブや柑橘系果実の個性が強いソーヴィニヨン・ブラン。

こちらのワインは、レモンやライムのような柑橘系果実と、ふわりと香るミントの様な爽やかなハーブ系の香りが特徴。

味わいは酸とミネラルのバランスがよく、グビグビ飲めてしまうので要注意。すっきりとした味わいは、フレッシュチーズにもよく合います。

・原産国:ニュージーランド
・産地:マールボロ
・品種:ソーヴィニヨン・ブラン
・容量:750ml

②白カビタイプのチーズとワインのペアリング

◎カマンベール、ブリーなど

名前の通り、カマンベールチーズやブリーチーズなど表面が白カビで覆われた(カビと言ってももちろん食べるもの)タイプ。一般的には、熟成の期間がそれほど長くないため味わいもマイルドなものが多いのが特徴です。

そのまま食べてももちろん美味しいですが、少し火で炙って、ベーコンや温野菜と一緒に頂くとそれだけで豪華な一品料理になりますね。

『おすすめペのアリングワイン』
まろやかな味わいの白カビタイプチーズには、ワインもコクを感じる白ワインがおすすめ。トーストやバターのような樽の香りが感じられるものと相性が良いです。

▶VINCENT GIRARDIN BOURGOGNE BLANC CUVEE SAINT VINCENT

フランスブルゴーニュ地方のムルソー、ピュリニー・モンラッシェ、シャサーニュ・モンラッシェの3つの村名畑のブドウから造られるブルゴーニュ・ブランです。

香ばしいトーストのように芳醇な香り、ミディアムボディでしっかりとした味わいが特徴。余韻にかけて長く酸が続きます。白カビチーズと合わせれば、もうそれだけで至極のペアリングです。

・原産国:フランス
・産地:ブルゴーニュ
・品種:シャルドネ
・容量:750ml

③青カビタイプのチーズとワインのペアリング

◎ゴルゴンゾーラやロックフォールなど

白カビチーズに対して、青カビタイプのチーズは表面ではなくチーズの内側から青カビを付着させ熟成させるチーズのことをいいます。

日本では、ゴルゴンゾーラチーズが有名ですね。青カビチーズは、独特の癖がありますが、「あ、これは青カビチーズに合うかも!」と思うワインが見つかると、堪らなく嬉しくなります。

青カビチーズは、ドライフルーツや蜂蜜など甘いものと合わせると、味わいがまろやかになり、ワインとの相性もグッとアップします。

【おすすめペのアリングワイン】
青カビチーズに是非合わせて頂きたいのは、貴腐ワインやアイスワインなどの甘口ワインです。青カビチーズの独特な風味と味わいは、とろっとした甘さとよく合うんです。一度試すと、ハマってしまう方も多いはず!是非お試しあれ。

▶Chateau Doisy-Daene Sauternes

世界3大貴腐ワインの1つ、フランス・ボルドー地方の「ソーテルヌ」。口に含んだその瞬間に、なんと贅沢な味わい!と感じることできる濃密な味わいです。

蜂蜜のような濃密な甘さですが決してしつこくなく、後味にはミネラル感すら感じます。「ブルチーズ × ソーテルヌ」是非お祝い事など、特別なシーンで試していただきたいペアリングです。

・原産国:フランス
・産地:ボルドー
・品種:セミヨン80%、ソーヴィニヨン・ブラン20%
・容量:750ml

④ウォッシュタイプのチーズとワインのペアリング

◎マンステール、モンドールなど

ウォッシュタイプの「ウォッシュ」とは、チーズの表面を海水やアルコール(ワインやビール)で洗い流すことからついたネーミングです。

海水やアルコールで表面を繰り返し洗い熟成させるといった少し変わった製法で造られ、独特の香りが特徴です。香りに対して、味わいはトロリとまろやかで食べやすいものが多いです。

フランスのモンドールチーズは、秋冬定番のチーズ。スプーンですくうとトロりとしたチーズが出てきて、それをバケットにのせて食べるのだそう。

フランス人の友人は、このモンドールを見ると秋冬を感じると言っていました。日本人の私たちにとっての焼き芋のような感じでしょうか?

【おすすめペのアリングワイン】
まろやかでコクのある味わいのウォッシュタイプのチーズに合わせたいのは、果実味が豊かな赤ワイン。テンプラニーリョやグルナッシュといったブラックベリー系の風味豊かなタイプがおすすめです。食後にしっとりと楽しみたい、そんなペアリングです。

▶Volver Bodegas Volver

ご紹介するのは、スペイン中部に位置するラ・マンチャ地方の赤ワインテンプラニーリョ。

ベリー系果実、チョコレートやスパイス等の複雑な香り。味わいにもブラックチェリーやプラムのような黒いベリー系の果実味が溢れます。

程よくタンニンも効いているので、ウォッシュタイプ個性的な風味にもピッタリ合います。

・原産国:スペイン
・産地:ラ・マンチャ
・品種:テンプラニーリョ
・容量:750ml

⑤シェーブルタイプのチーズとワインのペアリング

◎サント・モール・ド・トゥレーヌなど

シェーブルとは、フランス語で山羊のこと。英語ではゴートチーズなどとも呼ばれる山羊の乳を原料に造られるチーズの相称です。

ひとことにシェーブルチーズといえど、製法によって香りや味わいが異なります。一般的には、牛の乳から造られるチーズに比べて、風味が強い傾向にあるのが特徴です。

中でも、1本の棒に包まるような筒状な形状をしたチーズ「サント・モール・ド・トゥレーヌ」はチーズ専門店でみかけたことがある、という方もいるのではないでしょうか。

そのまま頂いてももちろん美味しいのですが、ローズマリーなどハーブと一緒にローストしたお肉にトッピングすると良く合います。

【おすすめペのアリングワイン】
風味が独特なシェーブルタイプにチーズには、タンニンを程よく含んだ赤ワインがおすすめです。ワインの渋みと、特有のうまみが相まってバランスが取れます。ワイン会など、食通が集まる場所で披露したい、そんなペアリングですね。

▶YEALANDS RESERVE Pinot Noir

シェーブルチーズとのペアリングでおすすめしたいのが、少し熟成したピノ・ノワール。ご紹介するのは、ニュージーランド セントラル・オタゴ地方のピノ・ノワールです。

熟成したピノ・ノワールは枯れ葉や土っぽい印象がでてくるので、個性の強いシェーブルチーズに負けない香りと味わいで調和が生まれます。プラムのような印象に白コショウのようなスパイスのニュアンスも感じる、コスパ高い1本です。

・原産国:ニュージーランド
・産地:セントラル・オタゴ
・品種:ピノ・ノワール
・容量:750ml

⑥セミハードタイプのチーズとワインのペアリング

◎ゴーダ、マリボーなど

セミハードチーズとは、製造過程で圧をかけ、乳に含まれる水分を減らしたもの。トロっと中身が柔らかな白カビタイプやウォッシュタイプと比べて固めの食感が特徴です。

良い意味で癖があまり強くないため、日本人にも馴染み深いのがこのタイプかもしれません。スーパーやコンビニでも簡単に購入できて保存がしやすいことからも、個人的にもワインのおつまみに選ぶことが多いです。

火を通さずそのまま食べても美味しいですが、リゾットなど火を通すお料理に使っても美味しさは抜群です!

【おすすめペのアリングワイン】
セミハードチーズは、水分量が他と比べて少ないことからも味わいが濃縮されています。合わせるワインは、しっかりとコクを感じられる赤ワインがおすすめです。果実味と適度なタンニンが感じられるカベルネ・ソーヴィニヨンなどの濃いめワインをどうぞ。

▶Cabernet Sauvignon Beaulieu Vineyard

セミハードチーズとのペアリングでご紹介したいのは、アメリカ カルフォルニアのカベルネ・ソーヴィニヨンです。

アメリカンチェリーを思わせる濃密なベリー系果実の印象に、カカオやコーヒーのような香ばしい香りも加わります。

味わいは力強さの中に繊細さがあり、タンニンは滑らかで余韻まで長く続きます。長期熟成したセミハードチーズを選ぶとさらにペアリング度が増します!

・原産国:アメリカ
・産地:カリフォルニア
・品種:カベルネ・ソーヴィニヨン
・容量:750ml

⑦ハードタイプのチーズとワインのペアリング

◎コンテ、チェダーなど

最後にご紹介するハードタイプは、セミハードタイプのチーズと比較してさらに水分量が低いタイプ。また、熟成期間も長いため、濃厚な味わいでワインが良くすすむチーズです。

コンテやチェダーなどのお馴染みのチーズ、粉チーズとしても良く知られるパルミジャーノ・レッジャーノ(家庭でお馴染みのパルメザンチーズはこれを手本としてアメリカでつくられたチーズ)もハードタイプに分類されます。

濃厚な味わいは、すりおろしてサラダなどに振りかけてもその旨みを感じることができます。おろし方も、粉状だけでなく薄いスライスにするなど形状を変えるとさまざまな食感を楽しめますよ。

【おすすめペのアリングワイン】
ハードタイプに合わせたいワインは、チーズをそのまま合わせるのならシラー(ズ)のような重厚な味わいのワインがおすすめです。スライスやトッピングとして使うのであれば、白赤問わず、ロゼやオレンジワインとも幅広く合わせて楽しむことができます!

▶Torbreck G.M.S. Old Vines

ご紹介するのはオーストリアを代表するシラーズの聖地バロッサ・ヴァレーのワイン。こちらは、グルナッシュ、ムールヴェードルの混合で造られるため、やや優しい飲み口です。

ブルーベリーやカシスのような果実味、スミレのような華々しさの香りも感じます。チーズの味わいに合わせてシラー(ズ)のみで造られたもの、ブレンドされているものなど比率でワインを選んでみるのも楽しいですよ!

・原産国:オーストラリア
・産地:バロッサ・ヴァレー
・品種:グルナッシュ、ムールヴェードル、シラーズ
・容量:750ml

終わりに

いかがでしたでしょうか。ひとくちに「ワインとチーズのペアリング」といってもペアリングの種類は三者三様です。

気分やシーンに合わせて是非いろいろなペアリングを試してみてはいかがでしょうか?

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高橋 宗子

【お家で楽しむワイン提案のワインエキスパート】
ニュージーランドワイン好きが高じて、ワイナリー・ブドウ畑巡りをする為ニュージーランドへ移住。
都内ワインインポーターにて星付きレストランにもワイン紹介をしてきた経験を活かし「お家でも気軽に楽しめるワイン時間」を提案しています。 高橋 宗子の記事一覧 

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