【関西編】ご当地グルメとワインの最高のペアリングを楽しもう!
日本には各県に個性豊かなご当地グルメがあり、美味しいもので溢れています。
誰の胸にもある、旅行先で出会い美味しさに感動した料理や、生まれ育ったふるさとの懐かしい母の味。
そんな料理の数々を囲み、美味しいワインを合わせて乾杯しませんか?
日本の料理とワインを合わせるのは難しいと思われがちですが、昨今グルメ通から注目を浴びる食事の楽しみ方でもあります。
今回は前回の「中部編」 に引き続き、関西エリアの代表的なご当地グルメ5選とワインのペアリングをご提案します!
1. 松坂牛すき焼き(三重)
細かいサシが美しい和牛の芸術品とも呼べる「松坂牛」は、三重県が世界に誇る牛肉のブランドです。
上品に広がる脂の甘み、しっかりした肉の旨味が特徴的で、「すき焼き」ではコクのある割下に肉を絡める事で、より奥深い味わいが楽しめます。
ワインはやはり赤ワインがよく合い、割下と肉の脂の甘みがワイン選びのポイントです。
○白ワイン
カリフォルニアやチリのボリュームのあるシャルドネや、ボディのあるオレンジワインと楽しむことができます。
ライトな白ワインは料理に負けて風味が感じにくくなったり、甘みのある「すき焼き」の割下と合わせると、酸っぱく感じたりすることがあるので注意してください。
◎赤ワイン
お肉を主役にしたいならカリフォルニアやチリの果実味とアルコールのボリュームのあるピノ・ノワール。
アルコールやグリセリンから甘みが感じられ、肉の甘みとよくなじみます。
また、イタリアのアマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラは、凝縮した果実と甘い香り、ぽってりとしたボリュームや熟成香が「松坂牛」の肉の甘さと旨味、割下ともよく合います。
○ロゼワイン
全般的に合わせやすいですが、色の濃いロゼはタンニンや風味がはっきりしており、「すき焼き」によく合います。
甘辛の割下に合わせて少し甘口のものが良いでしょう。
○スパークリングワイン
シャンパーニュには複雑さとしっかりしたボディ、旨味があり、牛肉やすき焼きの様々な具と合わせて楽しめます。
2. 大和鍋(奈良)
「大和鍋」は、大和イモが特産の奈良県が平城遷都1300年を記念して創作した料理。
比較的新しい料理ですがご当地鍋として定着しており、地元で広く愛されています。
鶏と豆乳仕立てのスープに、すりおろして揚げた大和イモ、鶏肉、白菜などの野菜が入っている鍋料理です。
豆乳やミルクと鶏ダシの風味、揚げたイモの香ばしさがワイン選びのポイントです。
まろやかでクリーミーなスープが白ワインにとても合う料理です。
◎白ワイン
スープに使われる豆乳や牛乳により、クリームのような風味があるので、ブルゴーニュなど、樽香のあるシャルドネがよく合います。
樽や熟成から来るバニラやナッツの香りは大和鍋のスープや揚げた大和イモの香ばしさによく合います。
また、ローヌのヴィオニエの華やかな香りも、ミルクリッチなスープにマッチします。
△赤ワイン
赤ワインは食材の持つ繊細な風味より強くなってしまうのであまりオススメできません。
それでも赤ワインを選ぶ場合は、大和イモの特徴的な根菜の風味に、マスカット・ベーリーAが合わせられます。
○ロゼワイン
鶏肉とダシの味わいに、優しいタンニンとボディを持つロゼワインはよく合います。
明るく淡い色調のプロヴァンスのロゼが料理の持つ強さと同調しマッチします。
○スパークリングワイン
熟成したシャンパーニュなど瓶内二次発酵ワインの持つ、酵母からの風味にはパンやブリオッシュの風味があり、大和鍋のクリーミーなスープや具材によく合います。
3. すぐき漬け(京都)
京都の伝統的な漬物の一つである「すぐき漬け」は、京都でしか育たないカブの一種「すぐき」を塩で漬け込んだもの。
「すぐき」を漬込む過程で乳酸発酵し、多くの乳酸菌を含むことでシンプルながら風味ある漬物になります。
シャキシャキした食感、独特の酸味と深い旨味が特徴です。
「すぐき漬け」には白ワインがよく合います。
◎白ワイン
シャブリなど冷涼でミネラル感のあるシャルドネ。M.L.F(乳酸菌発酵)がしてあると分かるものが望ましいです。
乳酸を多く含む「すぐき漬け」と親和性が高く風味の複雑さが広がります。
ただ、M.L.Fを行うとワインの酸味が低くなります。
漬物の塩味や酸味に酸味の弱いワインは負けてしまうこともあるので、もともと冷涼な地域の酸が豊富なワインがオススメです。
○赤ワイン
赤ワインには乳酸が含まれており、同じく乳酸を含む「すぐき漬け」と合います。
風味の優しい日本のピノ・ノワールや、マスカット・ベーリーAが合わせられます。
○ロゼワイン
ロワールやドイツのピノ・ノワール、イタリアのサンジョベーゼなどから作られる酸味のはっきりしたロゼが合います。
○スパークリングワイン
ワインの泡が持つキレは漬物の酸味、塩味によく合います。
シャンパーニュやロワールの酸味、複雑さのある瓶内二次発酵ワインが良いでしょう。
4. たこ焼き(大阪)
大阪府民のソウルフード「たこ焼き」は、今や全国区で愛されるB級グルメです。
様々なスタイルがありますが、大阪のたこ焼きはふんわりトロトロで出汁の利いた生地が特徴。
具材はぷりぷりのタコ、香ばしい天かすが基本で、紅ショウガ、青ネギが入ることもあります。
ソースや具材に様々な味わいがあるため、赤白共に多くのスタイルのワインを合わせることができます。
中でも、スパークリングワインの弾ける泡は、出来立てを楽しむファストフードの「たこ焼き」にぴったりです。
○白ワイン
フレッシュ&フルーティを楽しめるワイン。シチリアのグリッロは桃やトロピカルフルーツなどの果実味豊かで酸味もあり、旨味と酸味のあるたこ焼きソースや、たこや紅ショウガなどの具材とよく合います。
○赤ワイン…スペインのガルナッチャのように果実味豊かで甘みが感じられる柔らかなワインや、イタリアのトレッビアーノのフルーティさの中にキリッとした酸味を感じられるワインも「たこ焼き」にマッチします。
○ロゼワイン
よく冷えたプロバンスのロゼやギリシャのアギヨルギティコのロゼ。
フルーティでスパイシー、さわやかな酸味が「たこ焼き」のソースとマッチして合います。
◎スパークリングワイン
イタリアの陽気ではつらつとしたスプマンテは、カジュアルフードの「たこ焼き」によく合います。
ドライから、少し甘口のプロセッコもマッチします。
5. ビフカツ(兵庫)
古くから洋食店が栄える兵庫県の神戸では、豚肉ではなく牛肉の「ビフカツ」が定番のメニューです。
また、兵庫は世界に誇るブランド牛、神戸牛が有名な地域です。
サクサク衣のカツを切ると、レアでピンク色の肉厚の牛肉が現れます。
各店独自のデミグラスソースに絡めていただくと、ソースのコクと爽やかな酸味、ジュージーな肉の旨味と甘みが口の中で広がります。
合わせるワインは赤ワインが良いでしょう。
赤ワインは牛肉に合う事は既知のうえ、材料に赤ワインが使われていることが多いデミグラスソースを使った料理ともベストマッチです。
○白ワイン
樽熟成したシャルドネ。マコネなど南ブルゴーニュや、チリなどの温暖な地域のトロピカルなニュアンスのあるワインがソースとマッチします。
樽や熟成香が放つビスケットやパンの香ばしいアロマは「ビフカツ」の衣に合います。
◎赤ワイン
まろやかでコクのあるボルドーワインはデミグラスソースや衣、レアのビーフとよく合います。
イタリアのネッビオーロはチェリーやプルーンなどのフルーツ、タバコやトリュフのようなコク、酸味がデミグラスソースや牛肉にぴったりです。
○ロゼワイン
全般的に合わせやすいですが、色の濃いロゼはタンニンや風味がはっきりしており、「ビフカツ」によく合います。辛口から、コクのあるソースに合わせて少し甘口のものも良いでしょう。
◎スパークリングワイン
シャンパーニュは複雑さとしっかりしたボディ、旨味があり「ビフカツ」に合います。薫り高く果実味豊かなスペインのカヴァもソースの酸味やコクとマッチします。
ぜひ、参考にしてみてください。
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日本ソムリエ協会ワインエキスパート、日本ドイツワイン協会連合会ドイツワインケナー、英国WSET LEVEL3 Award in Wine、ワイン検定ブロンズ&シルバー講師
オーストラリア大使館主催イベントの公式ワイナリーサポートや、恵比寿のミシュラン・ピグブルマンでのソムリエール経験のほか、クリエーターとして日本ワイナリーを撮影し大丸東京にてVRドームスクリーン展示を行う。
特にカリフォルニアワインを愛し、毎年現地に赴いてワイナリーの方々とワイン談義をするのを楽しみにしています。
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